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MI ジャーナル

―はたけと芸術を楽しみつつ、仮説を立てながらいろんな人と協働して問題解決を図り、子どもとともによりよい社会を目指していきたい、そんなことを考えている人のヒントになりたい―


キーワードは、農業(はたけ)・仮説実験授業・楽しさ・子ども劇場・芸術文化・冒険遊び場(プレイパーク)・チャイルドライン・協働などなど(ただし、私の中でつながっているだけで、それぞれに直接的な関係があるわけではありませんので、誤解のないようお願いします)


「MI ジャーナル」とは、Micro Intermideate Journal(マイクロ・インターミディエット・ジャーナル)。元のタイトル「農芸楽仮説変革子ども」は私の関心領域のキーワードをつないだだけだったので、2010年3月3日より、私の日々の情報発信という意味で、MI(村夏至)ジャーナルとしたのですが、2014年9月4日から、MIの意味を変えて、小さいながら何かのきっかけや何かと何かをつなぐ内容にしたいという意味の名称にしました(詳しくは、カテゴリー「21MIジャーナル」をご覧ください)。

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『細胞が自分を食べる オートファジーの謎』

[2012年01月14日(Sat)]
『細胞が自分を食べる オートファジーの謎』(水島昇著、PHPサイエンス・ワールド新書、2011年)


オートファジーの語源は、「自分」(オート auto)と「食べる」(ファジー phagy)で、オートファジーとは、私たちの細胞の中で起こっている大規模な分解作用のこと。

細胞内にあるリソソームといわれる細胞小器官が、細胞内の劣化したタンパク質や細胞小器官、侵入してきた細菌、さらには脂肪や炭水化物をまでも分解するのですが、とりわけ、タンパク質を分解する機能が注目されているようです。

なにしろ、体重70キロくらいの人の場合、1日のタンパク質摂取量は70グラムなのですが、その3倍くらいにあたる200グラムのタンパク質が体内で分解され、新たに同量の200グラムのタンパク質が合成されているのだそうですから(分解しているのはオートファジーだけの作用ではないようですが)。

この本では、細胞の基礎知識から、そこで起こっているオートファジーの概略、そして、オートファジーの研究史から、研究の最前線まで、そのただ中にいる研究者がわかりやすく解説してくれています。

オートファジーは、単細胞生物でも起こっており、もともとは飢餓時に必要なタンパク質の材料(アミノ酸)を自らの細胞の中から調達するために発達したもののようです。そして、生物が進化して多細胞生物になって寿命が延びてくると、長く使う細胞の浄化システムとして活用されるようになったのではないかと考えられているようです。脳など一生使う神経細胞が正常に機能するためには、構成物質を更新したり、悪さをする老廃物を除去したりすることが重要になってくるというわけです。

それにしてもこういう本を読んでいると、生物の進化の妙というものを感じないわけにはいきません。様々なせめぎあいの中で、いろいろな対応がなされていくうちに絶妙なバランスが形成されている。それは、例えば本文の中のこういった文章にも表れています。

「オートファジーは腫瘍の発生を抑制する一方で、発生してしまった腫瘍細胞にとってはむしろサポート役として機能していると考えられる」

自然界の現象はどんな機能も諸刃の刃で、ここのスイッチを押したらこういう結果が出るという単純なものではないのですよね。さまざまな要因が絡みあって、同じ機能が別の結果を出してしまうことなど普通にあるのでしょう。

また、専門になり過ぎない範囲で、結構細かいことも書いてあります。生命にとって大切な複雑な機能を持ったタンパク質というのは、複雑な分子構造を持っているために、日々その役目を果たしていくうちにだんだん劣化してくる。だから、その構成単位であるアミノ酸に分解(その仕組みの一つがオートファジー)して再構成してやる必要があるわけでしょうが、その劣化したタンパク質がどうして分解する器官に運ばれていくかというと、劣化したタンパク質を監視する遺伝子があって、劣化したタンパク質や細胞小器官に、あるタンパク質がだんだんくっつくようになっており、その構造によって分解する器官に吸い寄せられるようになるようなのです。うまくできたものです。今こうしているうちにも、自分たちを構成している細胞の中では、こういった無数の仕組みが着々と機能していて、全体として生きているのですよね。

私にとって科学の進歩というものは、自然の仕組みを解き明かしてコントロールしていくというより、自然の妙(みょう)の素晴らしさを学んで、より謙虚な気持ちになれるもののように思えます。

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