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MI ジャーナル

―はたけと芸術を楽しみつつ、仮説を立てながらいろんな人と協働して問題解決を図り、子どもとともによりよい社会を目指していきたい、そんなことを考えている人のヒントになりたい―


キーワードは、農業(はたけ)・仮説実験授業・楽しさ・子ども劇場・芸術文化・冒険遊び場(プレイパーク)・チャイルドライン・協働などなど(ただし、私の中でつながっているだけで、それぞれに直接的な関係があるわけではありませんので、誤解のないようお願いします)


「MI ジャーナル」とは、Micro Intermideate Journal(マイクロ・インターミディエット・ジャーナル)。元のタイトル「農芸楽仮説変革子ども」は私の関心領域のキーワードをつないだだけだったので、2010年3月3日より、私の日々の情報発信という意味で、MI(村夏至)ジャーナルとしたのですが、2014年9月4日から、MIの意味を変えて、小さいながら何かのきっかけや何かと何かをつなぐ内容にしたいという意味の名称にしました(詳しくは、カテゴリー「21MIジャーナル」をご覧ください)。

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『ナマケモノ教授のムダのてつがく―「役に立つ」を超える生き方とは』

[2023年05月31日(Wed)]
『ナマケモノ教授のムダのてつがく―「役に立つ」を超える生き方とは』
(辻信一著、2023年、さくら舎)

2304ナマケモノ教授のムダのてつがく.JPG

2001年に発刊された『スロー・イズ・ビューティフル』で知った辻信一さんの最新刊(たぶん)。

『スロー・イズ・ビューティフル』を読んでいて、そうそう、これを言ってほしかったということが多々あり、感銘を受けたものですが、辻さんがこの間、一貫して、刹那的にではなく、今を大切にゆっくり生きることの大切さ訴え続け、実践し続けているのだなあと感心しごく。

現代を生きていると、あっという間に絡めとられてしまいそうになる、経済効率主義やテクノロジー礼賛によってかえってむなしさや疎外感を感じてしまう私たちに、ムダや遊びこそ大切であることを思い出させてくれる。


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『巨大おけを絶やすな! 日本の食文化を未来へつなぐ』

[2023年05月17日(Wed)]
『巨大おけを絶やすな! 日本の食文化を未来へつなぐ』
(竹内早希子著、2023年、岩波ジュニア文庫)

2305巨大おけを絶やすな!.JPG

お酒や醤油などを仕込む巨大おけというものの実物は、テレビなどでしか見たことはありませんが、興味はありました。

うまく使えば100年以上使えることに加え、管理のしやすいステンレスやFRPに置き換わって、今や醤油では木桶で作られている割合は1パーセントまで落ち込んいるため、桶をつくる会社が将来なくなってしまうということがわかって、小豆島の老舗醤油屋の若社長が一大決心をして、旧知の大工さんと協力して自分たちで木桶を作るようになり、今では毎年「木桶サミット」と称して、全国の酒屋さんや醤油屋さんが集まってみんなで木桶を作るイベントも開催するようになるまでを追いかけた、血沸き肉躍るドキュメンタリー。

岩波ジュニア新書なのもあって、とても読みやすい。

木桶には、菌が住み着いていて、そのバランスが崩れると痛い目に合うけど、ちゃんと手入れすることによって桶ごとに独特の味わいが醸し出されるという面白味や深みがあるようです。

日々使うものを、じっくり作り上げていく。こういった仕事はある意味理想だなあと思ってしまう。

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『線虫 1ミリの生命ドラマ』

[2023年05月04日(Thu)]
『線虫 1ミリの生命ドラマ』
(長谷川浩一著、2023年、dZERO)

2304『線虫』.JPG

私自身は、線虫というものに対してほとんど認識がなくて、はたけでときどき悪さをするので、マリーゴールドを植えるといなくなるらしい、程度で(実際にマリーゴールドをはたけに植えたことはない)、はたけをしているとき気づいたことはありません。

とはいえ、気にはなっていたので、ちょっと面白そうなので読んでみました。

タイトルどおり、主なものは体長1ミリ程度(長いものだと数センチで、まれにもっと長くなるものも)の小さな生物なのですが、地球上のあらゆる環境に適応して生息していて、生活の仕方も単独で生きているものや他の生物に寄生したり、他の生物と共生したり、そして性のあり方も多様(つまり、細菌やウイルスと同じで、害を及ぼさないものがほとんど)であり、昆虫1種に1種以上の寄生や共生している線虫がいるらしいので、昆虫よりも種が多いともいわれ、バイオマス(生物の重量換算)でもほかの生物を圧倒するといわれているほどなのだそう。

そして、土中自活性線虫の一種である「エレガンス」は、全身の体細胞が959個、うち推進力を生み出す体壁筋が95個の細胞から、302個のニューロン(神経細胞)で神経系ができていて、多細胞生物の中で最初(1998年)にゲノム情報が発表されるなど、構造などがよくわかっている上に、飼育も容易である、世代交代がはやいなど様々な条件が整っていて、生物学のさまざまな課題を解決するための「モデル生物」の一つとして、基礎研究に使われているとのこと。

また、その研究の成果は、今日では当たり前になりつつあるものの、先駆的に「ワームベース(WormBase)」というホームページで共有され、誰でもがアクセスできるようになっているようです。

目につきにくいけど、身近にいる生物についての話でとても面白い。

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『古代ワインの謎を追う ワインの起源と幻の味をめぐるサイエンス・ツアー』

[2023年04月07日(Fri)]
『古代ワインの謎を追う ワインの起源と幻の味をめぐるサイエンス・ツアー』
(ケヴィン・ベゴズ著、2022年(原著は2018年)、原書房)

2303古代ワインの謎を追う.JPG

サイエンスライターでありかつワイン好きの著者が、ある時取材途中で泊まったホテルに置いてあった名も知らぬワインに魅せられて、以降9年にわたって追い続けたワインの起源をめぐる旅をまとめた本。

現在のワインに使われているブドウの品種はほとんど6種に限られているのだそうだが、それは大量生産大量消費をされるようになってからのことで、もっと多様な品種がもっと多様な作られ方で作られていたことを、遺伝子解析でブドウの品種の家系図をつくろうとしている科学者や、(農薬や添加物を使わない)昔ながらの方法ではたけから作り直そうとしている人々の地道な活動、ワイン発祥の地であることを証明しようとしている人などを取材する中で次第に明らかにされ、読み進むほどに興味が尽きない。

食の多様性の大切さをワインを通して、考えさせてくれる。

興味深い珍しいワイン生産者や、小売店、入手方法なども。


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『ウイルス学者の絶望』

[2023年03月24日(Fri)]
『ウイルス学者の絶望』
(宮沢孝幸著、2023年、宝島社新書)

2303ウイルス学者の絶望.JPG

長年ウイルス研究をしてきた著者が、今回のコロナ禍で自らの知見を活かすことができなかったことを残念に思いながら、改めて、現段階でわかっていることについて解説してくれている本。

ただ、私自身はウイルスや細菌のことについてもともと関心があって、著者の師匠にあたる山内一也さんの本なども読んでいるのですが、それでも若干専門的でわかりにくいところがあったので、なかなかわかりやすく説明するのは難しいのだろうなあと感じました。

今回のウイルスについては、最初こそ毒性が強かったものの、感染の広がりとともに弱毒化していったので、より汎用性のあるもともと備わっている自然免疫を強めたほうがよい可能性や、ワクチンを作るにしても、いろいろな作り方があって、別のターゲットに対応したワクチンにした方がよかった可能性などについて、また、妊娠時の妊婦と胎児の関係は免疫的に複雑なこと、流産の率が高いことなどから、ワクチンの影響が判断しにくいことなど。

ちょっと衝撃なのは、今回のウイルスに対するワクチンについて、2回目接種以降のブースター接種は、ブースター接種によってワクチンを取り込んだ細胞がスパイクタンパク質をつくり出すようになると、先の2回の接種によって既に誘発された免疫がその細胞をウイルスに感染した細胞と勘違いして攻撃してしまうリスクがあるのだそう。

著者は、本当は、ウイルスによる動物の共進化の研究に集中しようとしていた矢先、今回のコロナ禍があって、そちらに奔走されてしまったらしく、私も関心のあるテーマなので是非、そちらの研究を頑張ってほしいなと思いました。

最後に、ウイルス学者を悩ませた16の質問ということで、ミニQ&A集みたいなのがあって、こんなデマが手回っているんだということを知ることができるのですが、最近はインターネットを誰もが普通に見ていて、とんでもない誤報が多くの人を惑わせているということをあらためて感じます。

それと、こういった科学的知見に関する解説本と言える本には、特に最近書かれている本に必ずと言っていいほど、一見役に立たない基礎研究に対して予算が削られていることについて書かれていて、これはお決まりなのかとも思わせるところがあったりします。特に理系の研究には研究費が必須なので、なかなか切実なのだなと思わせます。

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『錦帯橋 ヒマラヤ山脈で発生した技術が岩国で奇跡の結実』

[2023年03月18日(Sat)]
『錦帯橋 ヒマラヤ山脈で発生した技術が岩国で奇跡の結実』
(宮田伊津美著、2022年、ロゼッタストーン)

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岩国の博物館である岩国徴古館に学芸員として三十数年勤め、最終的には館長となった著者がこれまで調べてきた錦帯橋に関する知見をまとめた本。

さまざまな渡河手段から紐解いて、中国での木造橋を中心とした橋の実例、江戸時代の岩国におけるさまざまな橋などについての解説、錦帯橋創建の歴史などについて解説してあります。長年、その時々の現場合わせで施工されたこともあって、意外と記録が残されていない部分もあることなどについての言及も。

錦帯橋本体も改良が加えられているし、洪水時に橋脚が流されないための敷石の工夫や、川の流れをある程度制御するための土木工事などについても触れられていて、錦帯橋に関する基礎文献として参考になると思う。


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『植物考』

[2023年03月07日(Tue)]
『植物考』
(藤原辰史著、2022年、生きのびるブックス)

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農業史や食の思想史を専門とする著者は、歴史の中の小さな、不都合とも不快とも言えるような記録にも、そこから無理に希望を見出すわけでもなく、正面から向き合い、独特の読後感をもたらすような印象を私は勝手に持っています。

本書は、「植物」を巡って、連想に連想を重ね、イメージにイメージを重ね、文系、理系にこだわらず、また科学的な正しさより、自由に思考の翼を広げる楽しみを優先しているような筆致で楽しませてくれます。

植物が「知性」を持つという言い方への違和感、だったり、協同組合が植物的な組織であるという言及、動物では普通性的に成熟した後は、もう老いるだけなのに、植物は大人と子どもの間を行ったり来たりするという言説に触れたり、葉を飛翔できない鳥ととらえる考え方を紹介したり、ところどころハッとさせられる。

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『ネット右翼になった父』

[2023年03月03日(Fri)]
『ネット右翼になった父』
(鈴木大介著、2023年、講談社現代新書)

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若い女性や子どもの貧困問題をテーマとしたルポルタージュをなどを書いている文筆家の著者が、晩年ヘイトスラングを使ったり、テレビの報道番組に毒づくようになり、ネット右翼になってしまったと疎ましく思ったままに見送ることとなった父親について、そのすぐ後に自分なりの分析をしてWebメディアに投稿。

近年の「家族あるある」として多くの評価を受けるものの、なにか釈然としないものを感じてそれから2年以上にわたって、父親のパソコンを調べ、関連書籍による分析、生前付き合いのあった叔父や友人、母親や姉からの聞き取りなどを行い、自分の直後の分析がいかに一面的だったかを検証していく。

著者の最初の分析に、ついつい、そういうこともありそうだなと思っていた自分が、読み進むにつれて、自ら(の思い込みについて)も振り返るようになってしまいました。

ただ、コミュニケーションの問題についていえば、私自身は、家族は近しいからこそ難しい面があるので、あまり無理して理解し合わなくてもいいのでは、とも思うのですが。


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『進化には生体膜が必要だった―膜がもたらした生物進化の奇跡―』

[2023年02月23日(Thu)]
『進化には生体膜が必要だった―膜がもたらした生物進化の奇跡―』
(佐藤健著、2018年、裳華房)

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細胞の中で、それぞれの場所で必要なタンパク質を運ぶ物流システム(小胞輸送)を主に研究している著者が、まず、

「「脂質二重層」とよばれる生体膜の骨格となる構造が持つ特別な性質があったからこそ、この地球上に最初に現れた生物が、われわれヒトのような高度な知能をもつ生物にまで進化できた」という結論を提示したうえで、

その結論に至る、生体膜を中心とした細胞の不思議な仕組みについて、わかりやすく説明してくれています。

リン脂質という、水になじみやすい(親水性を持つ)部分と、水になじみにくい(疎水性を持つ)部分からできている分子が、疎水性の部分を内側に、親水性の部分を外側に列を作ってお互いに弱い力で結合しているのが「脂質二重層」と呼ばれる生体膜を構成している基本構造なのだそう。

それは、生物が生まれたときから、さまざまな生物が進化してきた今に至るまで変わっていなくて、そのやわらかく、簡単に形を変えることができ、にもかかわらず水は通すが、イオンは通さないという特徴を持っているがゆえに、細胞内にほかの細胞を受け入れたり、膜がくびれて細胞の中に膜で囲われた構造を作ることができたりと、膜を活用して行われる様々な細胞の活動(タンパク質や酵素を作ったり、エネルギーを作り出したり)をさらにうまく活用できるように変化できたことがわかって、本当にうまくできたもんだなあと感心します。

一言加えておくと、著者の研究もいわゆる基礎研究の範疇の中に入り、特に理科系の研究者が一見何の役に立つのかわからない基礎研究の大切さをこういった本の中で訴える場面がよくみられるのは、役に立つ研究や、目的のはっきりした研究がもてはやされ、はては時の為政者のご機嫌を伺うような研究者を重用しようとする傾向が感じられる中、基礎研究にあてられる研究費が削られつつあるという背に腹を変えられない危機感もあるのでしょう。気になるところです。


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『未来とは何か ―1秒先から宇宙の終わりまでを見通すビッグ・クエスチョン』

[2023年02月11日(Sat)]
『未来とは何か ―1秒先から宇宙の終わりまでを見通すビッグ・クエスチョン』
(デイビッド・クリスチャン著、2022年(原著も、2022年)、株式会社ニューズピックス)

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著者は、宇宙誕生から現代までの歴史を一望する新しい「ビッグストーリー」を提唱している歴史学者なのだそうで、私は関連本を読んでいないのでよくはわからないのですが、著者によると、「過去をあらゆるスケールとさまざまな学術的観点から見つめ、いわば三角測量によって歴史をもっと深く理解することを目指」していて、その観点で、未来について考えてみたいということでこの本を書いたのだそう。

歴史上、人が未来についてどういうことを考えていたのかということについて、大きく分けて、(「川」のように流れていく)A系列時間と、(「地図」のようにあらかじめ存在しているが場所が変わっていく)B系列時間というアプローチ方法があるということからはじめて、そもそも生物は単細胞であったときから、自分の存続のために未来を予測することを習わしとしているということ、その中でも人類がことさら未来についての考えを発展させてきたこと、そして、人類の動向がいやおうなしに未来に影響を与えるようになってきている現状について、いろんな面で考察してくれています。

とくに、最初のほうの話は知らないこともあり、興味深かったのですが、後半になるにつれて、スケールは宇宙レベルに広がってくるものの、SFや最新研究などをつまみ食いしている感じで、さまざまな可能性を提示しているだけになっている感が否めない印象。


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