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『学力喪失―認知科学による回復への道筋』
[2025年04月01日(Tue)]
『学力喪失―認知科学による回復への道筋』 (今井むつみ著、2024年、岩波新書)
乳幼児は驚異的な「学ぶ力」で言語を習得できるのに、学校に入ると学力不振に陥って学ぶ意欲を失ってしまうのはなぜなのか?その原因を認知科学の知見から明らかにして、回復への道筋を提案しようとしている本書。
教育に、少なからず興味がある者として読んでみました。
著者の問題意識は、「現状の制度の背後にある「知識」「記憶」「思考」という、学びの根幹になる認知の仕組みについての誤解を指摘する」ことによって「子どもたちにとって役に立つ提案」をすることとあり、個別には興味深い指摘をしています。
例えば、 「試験で絶対的に客観的で正確な点数化が必要なのは、入学試験のように、多くの受験者の中から定員制のため限られた人数を選抜しなければならない場合のみである。学校で、学習内容を子どもが理解したり、誤解したりするかを確かめる目的で行うテストで、客観性や正確な点数化を行うことは最優先されることではない」
そして、少数や分数、そもそも数の意味が分かっていないことが躓きの原因で、それは丁寧に説明すればわかるようになるものではないので、そういう躓きポイントを見つけるためのテストを開発することに取り組んだり、より具体的によくデザインされたゲームで少数や分数、時間の概念が身につくようにする実践例なども示してくれています。
しかし、私もその研究会のメンバーであって、このブログでも何度か紹介している仮説実験授業の世界では、本書にか書かれていることの中には常識となっていることもままあり、しかも、子どもたちの学習の躓きの解決方法として、授業書と呼ばれる、授業案、教科書、ノートを兼ね備えた授業プランのようなものを開発しています。
そこで取り上げられている問題は、大人でも答えがわからないような、しかも考えたくなるようなもので、授業書に従って授業を進めることによって、多くの子どもが楽しく意欲をもって授業を受けることができるようになっています。何より知りたいという意欲が高められるので、本書で取り上げられている躓きのポイントが、別の角度から乗り越えられる可能性があるのです。
本書によって、仮説実験授業の面白さが逆に再認識できたような気がします。
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Posted by 村夏至 at 05:30 | 02読書メモ | この記事のURL | コメント(0) |
『土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る』
[2025年03月19日(Wed)]
『土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る』 (藤井一至著、2024年、講談社ブルーバックス)
土とは、「岩石が崩壊して生成した砂や粘土と生物遺体に由来する腐植の混合物」と定義されるらしい。
土の研究者である著者は、地球が生まれた46億年前からさかのぼって、岩石の成り立ちをその構成要素である原子レベルから解き起こし、その風化によってできた微粒子である粘土が電気をおびえているために、海中にできた生命の部品たるタンパク質やアミノ酸などを引き寄せ、化学反応を手助けすることによって生命が生まれた仮説を説明し、そこから生命の歴史が、土と切っても切れない関係を築きながら発展(進化)してきたことを俯瞰させてくれます。
いろいろと興味深いことが満載の本書ですが、例えば、人体の乾燥重量で3パーセントも占め骨や脳にとって欠かせないのに、土壌中で溶出しにくい栄養素であるリンは、肥料としては家畜の骨のリサイクルから始まり、古戦場の遺骨の利用、チリ沖の島々で採掘できる海鳥の糞尿の化石であるグアノの活用に至って、それでも間に合わなくなって遂には、アフリカや中国で見つかるクジラなどの脊椎動物の骨の化石(リン鉱石)に頼ることになり、現在の私たちの身体のリンの4割はそのリン鉱石由来だとのこと(私たちの身体に含まれる窒素2キログラムの半分は化学肥料由来だとも)。
化学肥料の弊害(土中の微生物が死滅してしまったり、肥料過多になると微生物の働きが弱まったりする)や土地利用のし過ぎで土中の養分がなくなってしまうことを懸念している著者は、人工土壌ができないかという研究をしていて、土壌の本質を「超多様性と超個体という性格をあわせ持つ微生物群衆が有機物を循環させながら腐植を作り、砂、粘土と相互作用を展開しながら立体構造(団粒など)を作る自立的、持続的な生物と鉱物の集合体」としていて、「大脳を司る100億個の神経細胞の相互作用と大さじ1杯の土の100億個の最近の相互作用。多様な細胞があたかも知性を持つように臨機応変に機能する超高度な知性を、私は脳と土しか知らない」。とまで言っていて面白い。
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Posted by 村夏至 at 04:33 | 02読書メモ | この記事のURL | コメント(0) |
『僕には鳥の言葉がわかる』
[2025年03月06日(Thu)]
『僕には鳥の言葉がわかる』 (鈴木俊貴著、2025年、小学館)
四十雀(シジュウカラ)が文法のある言葉を発していることを、丹念な観察と実験を積み重ねることによって世界で初めて発見(確認)し、動物たちの言葉についての新しい学問「動物言語学」の創設を、スウェーデンのストックホルムで開催された国際行動生態学会の基調講演で高らかに宣言した著者による初の単著。
動物同士も言葉を交わしているということはよく言われることで、例えば、鯨(クジラ)はすごく遠く離れた仲間と交信することができるとかいうことを聞くと、たぶんそうなんだろうなと漠然と思っていたので、鈴木さんが四十雀の言葉を発見したというニュースを聞いても、少し詳しく分かったのかな程度の感想しか持っていなかったのですが、考えてみると、この言葉がどういう意味を持っているとか具体的な話は聞いたことはありませんでした。
例えば、蛇(ヘビ)が現れた時「ジャージャー」と鳴いたとしても、それがただの注意喚起の信号なのか、それとも恐怖を感じて発した声なのか、それとも蛇を表す単語なのかというのを確定するのは、四十雀の心を読み取ることができないので難しい。
それを、「ジャージャー」という音を聞かせると同時に近くの木に蛇のような枝を上下させると、それが蛇ではないかと注意深く観察するかどうかといった様々な実験を多くの個体で繰り返すことによって確定していったことを詳しく説明してくれていて、驚きの連続です。
単語を特定するだけでなく、語順によって文章を作り出していることを、確かめる実験の工夫にはびっくりですが、とても読みやすい本なので詳しくはぜひ読んでみてください。
同じ場所に生きている小動物たちは、お互いの言葉をある程度理解しているようで、もともとヒトも、身近にいる動物の言葉を理解して、危険を回避したりしていたのではないかという視点も著者は持っていて共感できます。
そして、15年以上の年月をかけて四十雀の言葉の一端を解明してきた経験を活かして、現在、東京大学に新しい研究室「動物言語学分野・鈴木研究室」を立ち上げ、いろんな動物の言葉について研究しようとしています。
今後の研究が楽しみです。 にほんブログ村 にほんブログ村
Posted by 村夏至 at 05:12 | 02読書メモ | この記事のURL | コメント(0) |
『樹は語る 芽生え・熊棚・空飛ぶ果実』
[2025年02月22日(Sat)]
『樹は語る 芽生え・熊棚・空飛ぶ果実』 (清和研二著、2015年、築地書房)
大学の林業試験場で、広葉樹の芽生えたばかりの姿に感動し、以来、樹の花の咲き方や種子散布など森林更新などの研究を続けている著者が、「成熟した森における樹々の生活をよく知ることが、ひいては森を再生し樹々の命に敬意を払うことに繋がる」と念じて書いた本。
タネが発芽のスイッチをオンオフにする「フィトクローム」というタンパク質のこと、タネのまわりについている綿毛が湿った土地にタネが行き着くと湿気を吸ってタネをそこに落とす仕組み、自家受粉をしないように雄花と雌花が咲くタイミングが変わる「ヘテロタイコガミー」という咲き方、「順次開葉型」と「一斉開葉型」という二パターンの成長様式、散布された種子が親木の近くでは生き残りにくい「ジャンゼン-コンネル仮説」の仕組みなどなど、研究途上の森林のなかで繰り広げられていることに関する新しい言葉や不思議な仕組みなどを知れて楽しい。
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Posted by 村夏至 at 05:52 | 02読書メモ | この記事のURL | コメント(0) |
『土と脂 微生物が回すフードシステム』
[2025年02月13日(Thu)]
『土と脂 微生物が回すフードシステム』 (デイビッド・モントゴメリー+アン・ビクレー著、2024年(原著は2022年)、築地書房)
植物が根から細菌の養分を染み出させて、根のまわりに細菌を養う代わりに、細菌に植物が根から吸収しやすい形で必要な養分を産出させているという詳しい仕組みは、近年になってわかってきたことで、それはちょうどヒトの腸内の細菌が、腸内の栄養で生きながら得ているだけでなく、やはり人にとって必要な栄養分などを産出していることと同じような仕組みであることについて書かれた『土と内臓』と同じ著者コンビによる本。
原題は、What Your Food Ate で、直訳すれば、「あなたの食べたものが食べたもの」。
植物にしても、植物や動物を食べる動物にしても、私たちが食べているものは、もとをただせば土にあるものから作られており、土中の微生物をはじめとする生物環境が健全に保たれていることによってこそ、私たちの健康も保たれることについて、様々な実験や調査結果をもとに解説してくれています。
興味深かったのは、栄養について語るとき、未だに三大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物)やカロリーベースがメインの指標になっており、近年解明されつつある、ビタミンや微小金属、ファイトケミカルなどのような少量で多様な効果のある物質の産出量が、土中の微生物の影響が大きいということ、そして、農薬や化学肥料を使って土中の微生物の殺してしまうような慣行農法に合わせて多くの品種改良がおこなわれているが、土中微生物を生かしてなおかつ収量も減らないような品種改良もあり得るということなど、具体的な事例があげられていることです。 にほんブログ村 にほんブログ村
Posted by 村夏至 at 05:42 | 02読書メモ | この記事のURL | コメント(0) |
生活者のための総合雑誌『ちゃぶ台13 特集:三十年後』
[2025年01月08日(Wed)]
生活者のための総合雑誌『ちゃぶ台13 特集:三十年後』 (2024年、株式会社ミシマ社)
雑誌と言いながら年1回とかのペースで出版されている冊子(正式には雑誌に区分することはできないらしい)。
今回の特集は、三十年後ということで、主に常連さんの執筆陣によるエッセイや、周防大島関連記事、小説、漫画、論考などバラエティに富んだ内容。中でも自分の関心領域で、印象に残ったのは、伊藤亜紗さんの「会議研究(4)」。
様々な会議の場に見学に行って、その様子をレポートするというもので、今回の現場は福士事業所の会議。そこでは様々な施設利用者がいて、その「問題」行動にも職員間にさまざまな解釈が成り立つし、実際の対応もまちまち。そこを、調整して統一見解や合意を形成することよりも、雑談のような延々続く会議の中で、なんとなくお互いが共有しあうというスタイルになっているというとても現実的な対応をしているというのがとても面白かった。 にほんブログ村 にほんブログ村
Posted by 村夏至 at 04:48 | 02読書メモ | この記事のURL | コメント(0) |
『私が諸島である カリブ海思想入門』
[2024年12月30日(Mon)]
『私が諸島である カリブ海思想入門』 (中村達著、2023年、書肆侃侃房)
大航海時代?に真っ先に西洋の人々によって壊滅的な被害を受けたといわれている西インド諸島の現在については、私は正直言ってジャマイカのレゲエとかいったごく一部のイメージしかありません。
著者は、英語圏カリブ海文学研究を、西洋の思想家であるハイデガーさんやラカンさんを通じて進めようと考えていましたが、日本で十分指導が受けられないため、ジャマイカにある西インド諸島大学の博士課程へ進学することなり、その西洋とは全く別の独自の世界に踏み込むことになって、日本語では研究が進んでいなくて発表する場のない「カリブ海思想」について書肆侃侃房のweb情報誌のようなものに連載したものをまとめ、加筆して一冊の本にまとめたようです。
支配した西洋の国々によってそれぞれ英語圏、仏語圏、スペイン語圏、オランダ語圏と分けられた島々は、しかし、もともと住んでいた人々は虐殺や伝染病によって壊滅し、主にアフリカから運び込まれた奴隷によってプランテーションが営まれるという共通の背景を持つがゆえに「ひとつの世界」を作り上げていて、それを表現するために新しい言葉(クレオライゼーション、ミサイル文化に対する円環性のあるカプセル文化、弁証法に対するその場で潮が満ちたり引いたりするように思弁する弁潮法、カリビアン・カオス、カリビアン・フェミニズム、カリビアン・クィア・スタディーズなど)を、詩人や思想家の言葉を引用しながら具体的に説き起こしてくれます。
知らず知らずのうちにしみついている西洋的な考え方を、見直させられるような刺激に満ちた本です。
あまり具体的に書きにくいので、印象に残った文章を引用しておきます。
「ブラスウェイトをはじめとするカリブ海思想家たちは、奴隷制、年季奉公制、植民地支配を経験してきたカリブ海という世界では、直線性ではなくて円環性こそが、その時間的・空間的な特殊性を表現できると主張する。ブラスウェイトのミサイル、カプセル、そして弁潮法といったカリブ海思想から私たちが学ぶべきことは、私たちの意識が常に標的を探してはいないか、ミサイル的意識に支配されてはいないかと、自省的に自分たちの思想を何度でも問い直すことの重要性である。私たち他者と遭遇する時、接する時、抱き締める時でさえ、その他者を標的としてはいないだろうか。誰かを蹴落としながらどこかへ到達しようとするのではなく、真理を証明しようとするのでもなく、ただ潮の満ち引きに合わせて海をたゆたいながら、互いに手を取り合えないだろうか。」 にほんブログ村 にほんブログ村
Posted by 村夏至 at 07:35 | 02読書メモ | この記事のURL | コメント(0) |
『みちかとまり』
[2024年12月23日(Mon)]
『みちかとまり』1、2 (田島列島著、2022年から「モーニング」に連載中、講談社)
自然がたっぷりの田舎に住む8歳の女の子が主人公。
ある日彼女は、竹やぶに生えてきた?横たわる同じ年頃の子どもを最初に発見してしまう。その子は神になるか人間になるかの可能性があるらしい。
夏休みの少し前、学校に行くのが嫌なことを話すと、その子は入れ替わってくれることになり、かねてからのいじめっ子の大切なものを奪ってしまい、彼は記憶喪失になってしまう。
いじめられていたとは言え、責任を感じた彼女に不思議な夏休みが始まる。
子どもにもある複雑な心持ちを描いてあって面白い。展開が楽しみ。 にほんブログ村 にほんブログ村
Posted by 村夏至 at 05:26 | 02読書メモ | この記事のURL | コメント(0) |
『天気でよみとく名画 フェルメールのち浮世絵、ときどきマンガ』
[2024年12月01日(Sun)]
『天気でよみとく名画 フェルメールのち浮世絵、ときどきマンガ』 (長谷部愛著、2024年、中公新書ラクレ)
もともと絵画やマンガ、アニメが好きだった天気予報士である著者に、東京造形大学から「天気や環境とアートをテーマに授業を担当してほしい」と声をかけられたのがきっかけでまとめられた本。
ただ、案外既存の研究のようなものはあまりないようで苦労したようです。
西洋絵画と日本絵画の歴史的な過去作品について天気や環境との関わりをよみといていくわけですが、特に西洋ではもともと宗教画や肖像画が多く、17世紀あたりから風景画が描かれるようになって、天気などが主役になることが多くなってきて、当時は「小氷期」にあたっていて地球全体が寒い時期で、その中で低気圧の活動が活発な時期があり、太陽の光が求められていたのではといった考察や、狩猟民族では好天が好まれ、農耕民族で農作物を育てる雨が大切にされることで描かれる題材や表現に差が出るとか、興味深い。
そのほか、同じ島国である日本とイギリスでは共通の気象条件をもっているがために、似たような技法が用いられることや、フランスで開花した印象派は、当時の天気の特徴やフランス特有の天気が表現されていること、いろんな気象条件が描かれた日本の浮世絵のこと、マンガやアニメの物語構成やキャラクター設定に色濃く反映される日本人の天気に対するとらえ方や文化についてなど、発展していきそうなテーマが書かれています。
巻末には、さまざまな雲をはじめとする気象用語の解説もあります。 にほんブログ村 にほんブログ村
Posted by 村夏至 at 04:30 | 02読書メモ | この記事のURL | コメント(0) |
『武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別』
[2024年11月17日(Sun)]
『武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別』 (藤田早苗著、2022年、集英社新書)
1999年にエセックス大学で国際人権法を学ぶために渡英し、その後研究員などを経て現在はフェローとして同大学に所属し、イギリス国内や日本の人権問題に国際人権法の立場からかかわる著者による本。
国連の女性差別撤廃委員会は、女性差別撤廃条約を批准している各国の取り組みを定期的に審査していて、この10月にも、2003年以降4度目となる夫婦の同姓を定めた日本の民法が条約に反するとして改正するよう勧告をしたことがニュースになっていました。
さすがに、4回目なので、何らかの動きがあるかもしれないのですが、これまで日本政府は、こういった国連機関の勧告に対して、法的拘束力がないとか一方的な意見だとかというコメントを出していて、それが報道されるので、その意味するところがどうもピンときにくい部分があるなあと感じていたことについて、仕組みなどが具体的な例も含めてわかるようになっています。
まず、前提として、日本での人権のイメージが、教育の場面で「思いやり」の面が強調されるために誤解されているとし、
「生まれてきた人間すべてに対して、その人が能力・可能性を発揮できるように、政府はそれを助ける義務がある。その助けを要求する権利が人権。人権は誰にでもある。」
という国連の人権高等弁務官事務所による人権の説明から始め、
人々の思いやりとかではなく、政府こそが人権を守る責務があり、政府がその責務を果たさなければ、それを正すように闘わなければならないものであるという考え方のもと、
その根拠として、1948年に採択された「世界人権宣言」がもととなって1966年に「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」と「市民的、政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」という二つの人権条約ができ、さらに核となる国際人権条約として
「人種差別撤廃条約」「女性差別撤廃条約」「拷問等禁止条約」「子どもの権利条約」「 すべての移住労働者とその家族の権利保護に関する条約」「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」「障害者権利条約」などが作られていること、
日本はそのほとんどを批准しているため、通例であれば、条約を批准するに際して、事前に国内法が条約に即していなければならないので、実際に改正する。
それでも、見落としやその後の条約に適合しない法律が制定される場合などがあるため、専門家がメンバーとして参加している国連の委員会が批准国の状況を定期的に審査して、問題があれば勧告を行うわけなので、勧告を受けて国は反論はできるにしても、是正の方向で考えなければならないし、多くの国はそうしている。という、言ってしまえばシンプルな話ではあるようです。
ただ、日本には、日本以外の先進国が受け入れている「個人通報制度」が適応されてないし、政府から独立し独立の調査権限を有する国内人権救済機関である「国内人権機関」もないという制度的な問題があって、改善が進みにくい面があるとのこと。
そして、国際人権から見た日本の人権問題である、貧困、経済活動に伴う人権、情報・表現の自由、女性差別、入管における人権侵害などについて具体的にどういう取り組みがなされているかについて詳しく書かれています。
最後に、勧告が具体的な改善につながっていくために、勧告を受けるメンバーに立法機関である国会の議員が加わるとか、弁護士など司法機関にかかわる人に対する国際人権法を学ぶ機会を増やす、国内人権機関の設置など改善のための提言も示されています。 にほんブログ村 にほんブログ村
Posted by 村夏至 at 06:47 | 02読書メモ | この記事のURL | コメント(0) |
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