『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』
『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』(福島原発事故独立検証委員会著、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン、2012年3月11日)

4月最初に買って、読み始めたのですが、ようやく読み終えました。400ページを超えるページ数もさることながら、さらには判型も変形で大きいので持ち歩きにくいというハンディもありながら、書き物としてくどいというか、まどろっこしくて読みにくいという部分があるので時間がかかってしまいました(報告書にありがちな、「これだけ調べましたよ」的なデータのてんこ盛りと丁寧すぎる記述によって、結論があいまいになっている)。
また、この本を読んでいる途中で、いろいろ本を読んでしまい、決定的だったのが、昨日読んだ『ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ』(この本については、2012年5月12日付の同名の記事参照)。この本を読んでしまったために、例えば、第3部以降の150ページ以上の部分は、『ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ』のほうが、詳しく抜けがない上に要点がわかりやすい。

この本は4部構成になっていて、時々私が行うグラフ化を見てもらうと一目瞭然。第2部の「原発事故への対応」が一番ボリュウムがあり、力が入っていると同時に、読み応えがあります(地震発生直後の首相秘書官室では、首相秘書官らが六法全書を持ち出して慌ただしくページをめくりながら、原災法や炉規法など原子力災害に関する基本法制を自分たちも一から確認している状態であった、など結構細かいことが官邸関係者へのインタビューなどをもとに書かれています)。
そういった、官邸をはじめとする事故の初期対応のドキュメントなどは興味深いですが、せっかくだからもう少し突っ込んでほしかった。
例えば、事故当時、福島原発の現場には、原子力安全・保安院の現場での目となり耳となるはずの保安検査員が8人もいたのに、3月12日(事故翌日)の5時までには、退避していたことは書かれているのですが、それが職務命令によるものなのか、それとも自主的なものなのか書かれていなくて、責任の所在がよくわからない。
全体としてこの報告書に足りないと感じたのは、下記のような点です。
1 ツイッターなど新しいソーシャルメディアが一定の役割を果たしたことを書いているが、既存のマスメディアについては、その影響や問題点も含めてほとんど触れられていない(事故のことを一般の人がどういうふうに知り、行動したかについてはマスメディアの影響は無視できないと考えられるので、報告書にも十分取り上げる必要があったと思う)。
2 先行の資料の中で、重要だと思われるものが参考にされていない。
特に、私のブログの2012年3月1日の「民間事故調の事故報告書に関する疑問について考える」という記事でも紹介した、政府も協力して2011年10月28日に提出された、大前研一さんを中心として作成された報告書「福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか」がまったく無視されていること。
こういう問題は難しく、わざと無視したのかそれとも気づかなかったのかはわからないでしょうが、事実としてまるで書かれていないというのは、例えば、科学論文のようなものであれば、あり得ないことで、こういった報告書もそれに近いものである(当然、先行事例の上に立って検証すべき)とすれば、大きな瑕疵ということにはなるでしょう。
3 グローバル・コンテキスト(という難しい言葉が使ってある)における事故に関する日米関係が、あまりに無批判に書かれている。
今後出る予定の、政府の報告書、さらには国会の報告書が、この報告書を参考にして、さらに詳しく、問題点を明らかにし、今後の方向性を提案できる基礎資料になればいいなと思います。
また、今回事故に関して、第一義的に責任を持つ東京電力の報告と、今後の対応も広く一般にわかる形で提出され、今後の判断資料となることを願っています。
とりあえずこの本、一応全部読みました。データ的にはいろいろとり揃っているので、こんなデータが書いてあるかどうか知りたければ、ひと声かけてください。お答えできると思います。

追記:この記事は3月12日から13日にかけて書いたのですが、13日の朝、中国新聞(中国地方のローカル新聞)の朝刊を見てびっくり。日曜日の書評欄にこの本が取り上げられていたのです。むしろ私は、中国新聞の書評をよく見ていて、面白そうな本を読んだりするのですが、こういうふうにシンクロすることもあるのですね。本の取り上げ方が、私と全く違っているので、中国新聞をお読みの方は比較してみても面白いでしょう。
ただ、私は個人的には、この本については会計上不明瞭な点があるので、たくさんの人が買うことをお勧めしません(そのあたりのことは、上記でも触れた私の2012年3月1日の記事に少しだけ触れています。3月1日の記事は7つもあるのでご注意)。
会計上不明瞭ってのは、昨日テレビで見た、国の会計検査院の職員が主人公の映画『プリンセス・トヨトミ』の影響?(この映画、とても素敵なのですが、私的には、原作にあった重要な落ちが映画には描写されてないのが不満)
4月最初に買って、読み始めたのですが、ようやく読み終えました。400ページを超えるページ数もさることながら、さらには判型も変形で大きいので持ち歩きにくいというハンディもありながら、書き物としてくどいというか、まどろっこしくて読みにくいという部分があるので時間がかかってしまいました(報告書にありがちな、「これだけ調べましたよ」的なデータのてんこ盛りと丁寧すぎる記述によって、結論があいまいになっている)。
また、この本を読んでいる途中で、いろいろ本を読んでしまい、決定的だったのが、昨日読んだ『ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ』(この本については、2012年5月12日付の同名の記事参照)。この本を読んでしまったために、例えば、第3部以降の150ページ以上の部分は、『ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ』のほうが、詳しく抜けがない上に要点がわかりやすい。
この本は4部構成になっていて、時々私が行うグラフ化を見てもらうと一目瞭然。第2部の「原発事故への対応」が一番ボリュウムがあり、力が入っていると同時に、読み応えがあります(地震発生直後の首相秘書官室では、首相秘書官らが六法全書を持ち出して慌ただしくページをめくりながら、原災法や炉規法など原子力災害に関する基本法制を自分たちも一から確認している状態であった、など結構細かいことが官邸関係者へのインタビューなどをもとに書かれています)。
そういった、官邸をはじめとする事故の初期対応のドキュメントなどは興味深いですが、せっかくだからもう少し突っ込んでほしかった。
例えば、事故当時、福島原発の現場には、原子力安全・保安院の現場での目となり耳となるはずの保安検査員が8人もいたのに、3月12日(事故翌日)の5時までには、退避していたことは書かれているのですが、それが職務命令によるものなのか、それとも自主的なものなのか書かれていなくて、責任の所在がよくわからない。
全体としてこの報告書に足りないと感じたのは、下記のような点です。
1 ツイッターなど新しいソーシャルメディアが一定の役割を果たしたことを書いているが、既存のマスメディアについては、その影響や問題点も含めてほとんど触れられていない(事故のことを一般の人がどういうふうに知り、行動したかについてはマスメディアの影響は無視できないと考えられるので、報告書にも十分取り上げる必要があったと思う)。
2 先行の資料の中で、重要だと思われるものが参考にされていない。
特に、私のブログの2012年3月1日の「民間事故調の事故報告書に関する疑問について考える」という記事でも紹介した、政府も協力して2011年10月28日に提出された、大前研一さんを中心として作成された報告書「福島第一原子力発電所事故から何を学ぶか」がまったく無視されていること。
こういう問題は難しく、わざと無視したのかそれとも気づかなかったのかはわからないでしょうが、事実としてまるで書かれていないというのは、例えば、科学論文のようなものであれば、あり得ないことで、こういった報告書もそれに近いものである(当然、先行事例の上に立って検証すべき)とすれば、大きな瑕疵ということにはなるでしょう。
3 グローバル・コンテキスト(という難しい言葉が使ってある)における事故に関する日米関係が、あまりに無批判に書かれている。
今後出る予定の、政府の報告書、さらには国会の報告書が、この報告書を参考にして、さらに詳しく、問題点を明らかにし、今後の方向性を提案できる基礎資料になればいいなと思います。
また、今回事故に関して、第一義的に責任を持つ東京電力の報告と、今後の対応も広く一般にわかる形で提出され、今後の判断資料となることを願っています。
とりあえずこの本、一応全部読みました。データ的にはいろいろとり揃っているので、こんなデータが書いてあるかどうか知りたければ、ひと声かけてください。お答えできると思います。

追記:この記事は3月12日から13日にかけて書いたのですが、13日の朝、中国新聞(中国地方のローカル新聞)の朝刊を見てびっくり。日曜日の書評欄にこの本が取り上げられていたのです。むしろ私は、中国新聞の書評をよく見ていて、面白そうな本を読んだりするのですが、こういうふうにシンクロすることもあるのですね。本の取り上げ方が、私と全く違っているので、中国新聞をお読みの方は比較してみても面白いでしょう。
ただ、私は個人的には、この本については会計上不明瞭な点があるので、たくさんの人が買うことをお勧めしません(そのあたりのことは、上記でも触れた私の2012年3月1日の記事に少しだけ触れています。3月1日の記事は7つもあるのでご注意)。
会計上不明瞭ってのは、昨日テレビで見た、国の会計検査院の職員が主人公の映画『プリンセス・トヨトミ』の影響?(この映画、とても素敵なのですが、私的には、原作にあった重要な落ちが映画には描写されてないのが不満)






