『学力喪失―認知科学による回復への道筋』
『学力喪失―認知科学による回復への道筋』
(今井むつみ著、2024年、岩波新書)
乳幼児は驚異的な「学ぶ力」で言語を習得できるのに、学校に入ると学力不振に陥って学ぶ意欲を失ってしまうのはなぜなのか?その原因を認知科学の知見から明らかにして、回復への道筋を提案しようとしている本書。
教育に、少なからず興味がある者として読んでみました。
著者の問題意識は、「現状の制度の背後にある「知識」「記憶」「思考」という、学びの根幹になる認知の仕組みについての誤解を指摘する」ことによって「子どもたちにとって役に立つ提案」をすることとあり、個別には興味深い指摘をしています。
例えば、
「試験で絶対的に客観的で正確な点数化が必要なのは、入学試験のように、多くの受験者の中から定員制のため限られた人数を選抜しなければならない場合のみである。学校で、学習内容を子どもが理解したり、誤解したりするかを確かめる目的で行うテストで、客観性や正確な点数化を行うことは最優先されることではない」
そして、少数や分数、そもそも数の意味が分かっていないことが躓きの原因で、それは丁寧に説明すればわかるようになるものではないので、そういう躓きポイントを見つけるためのテストを開発することに取り組んだり、より具体的によくデザインされたゲームで少数や分数、時間の概念が身につくようにする実践例なども示してくれています。
しかし、私もその研究会のメンバーであって、このブログでも何度か紹介している仮説実験授業の世界では、本書にか書かれていることの中には常識となっていることもままあり、しかも、子どもたちの学習の躓きの解決方法として、授業書と呼ばれる、授業案、教科書、ノートを兼ね備えた授業プランのようなものを開発しています。
そこで取り上げられている問題は、大人でも答えがわからないような、しかも考えたくなるようなもので、授業書に従って授業を進めることによって、多くの子どもが楽しく意欲をもって授業を受けることができるようになっています。何より知りたいという意欲が高められるので、本書で取り上げられている躓きのポイントが、別の角度から乗り越えられる可能性があるのです。
本書によって、仮説実験授業の面白さが逆に再認識できたような気がします。

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(今井むつみ著、2024年、岩波新書)
乳幼児は驚異的な「学ぶ力」で言語を習得できるのに、学校に入ると学力不振に陥って学ぶ意欲を失ってしまうのはなぜなのか?その原因を認知科学の知見から明らかにして、回復への道筋を提案しようとしている本書。
教育に、少なからず興味がある者として読んでみました。
著者の問題意識は、「現状の制度の背後にある「知識」「記憶」「思考」という、学びの根幹になる認知の仕組みについての誤解を指摘する」ことによって「子どもたちにとって役に立つ提案」をすることとあり、個別には興味深い指摘をしています。
例えば、
「試験で絶対的に客観的で正確な点数化が必要なのは、入学試験のように、多くの受験者の中から定員制のため限られた人数を選抜しなければならない場合のみである。学校で、学習内容を子どもが理解したり、誤解したりするかを確かめる目的で行うテストで、客観性や正確な点数化を行うことは最優先されることではない」
そして、少数や分数、そもそも数の意味が分かっていないことが躓きの原因で、それは丁寧に説明すればわかるようになるものではないので、そういう躓きポイントを見つけるためのテストを開発することに取り組んだり、より具体的によくデザインされたゲームで少数や分数、時間の概念が身につくようにする実践例なども示してくれています。
しかし、私もその研究会のメンバーであって、このブログでも何度か紹介している仮説実験授業の世界では、本書にか書かれていることの中には常識となっていることもままあり、しかも、子どもたちの学習の躓きの解決方法として、授業書と呼ばれる、授業案、教科書、ノートを兼ね備えた授業プランのようなものを開発しています。
そこで取り上げられている問題は、大人でも答えがわからないような、しかも考えたくなるようなもので、授業書に従って授業を進めることによって、多くの子どもが楽しく意欲をもって授業を受けることができるようになっています。何より知りたいという意欲が高められるので、本書で取り上げられている躓きのポイントが、別の角度から乗り越えられる可能性があるのです。
本書によって、仮説実験授業の面白さが逆に再認識できたような気がします。

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