『人類はどこで間違えたか 土とヒトの生命誌』
『人類はどこで間違えたか 土とヒトの生命誌』
(中村桂子著、2024年、中公新書ラクレ)
生物を分子の機械ととらえ、その構造と機能の解明に終始する生命科学に疑問を持ち、独自の生命誌を構想して「JT生命誌研究館」の設立に携わり、現在JT生命誌研究館名誉館長の中村桂子さんは、元来楽観的な自分でも最近人間社会がこのまま進んでいいのだろうかと不安に思っていると書いています。
そこであらためて、自らが構想した生命誌に基づく世界観で、まず生命が誕生してからの40億年を振り返り、そして私たち人類であるホモ・サピエンスの20万年の歴史を振り返って、「連続しながら不連続」な「「私たち生きもの」の中の私」という視点を多くの人が持つことの大切さを強調します。
そして、この本のタイトルになっている「人類はどこで間違えたのか」について、1万年前に始まったとされる農耕社会の始まりにあるのだと考えているようで、農耕が始まり、主要作物である穀物は貯蔵が効くために、働かなくてもいい人が生まれ、階級社会や富と権力の集中が始まったのだとしています。
そこで最後の第三部で、最近研究の進んできた生命活動によって作り出された土に注目して、「一人ひとりが楽しく生きることを支える食べものづくり」のため、権力者が支配しやすいような社会を作るのに適した作物を選ぶのでなく、それぞれの地域で、その土地の持つ在来植物の力を生かして食べものをつくるという本来の農耕に帰るということをともに考えていこうと呼びかけています。
科学技術を否定するのではなく、いろんな知見を活かしながら地球環境などの危機をいかに乗り越えていくのかについていろんなヒントに富んだ本です。
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(中村桂子著、2024年、中公新書ラクレ)
生物を分子の機械ととらえ、その構造と機能の解明に終始する生命科学に疑問を持ち、独自の生命誌を構想して「JT生命誌研究館」の設立に携わり、現在JT生命誌研究館名誉館長の中村桂子さんは、元来楽観的な自分でも最近人間社会がこのまま進んでいいのだろうかと不安に思っていると書いています。
そこであらためて、自らが構想した生命誌に基づく世界観で、まず生命が誕生してからの40億年を振り返り、そして私たち人類であるホモ・サピエンスの20万年の歴史を振り返って、「連続しながら不連続」な「「私たち生きもの」の中の私」という視点を多くの人が持つことの大切さを強調します。
そして、この本のタイトルになっている「人類はどこで間違えたのか」について、1万年前に始まったとされる農耕社会の始まりにあるのだと考えているようで、農耕が始まり、主要作物である穀物は貯蔵が効くために、働かなくてもいい人が生まれ、階級社会や富と権力の集中が始まったのだとしています。
そこで最後の第三部で、最近研究の進んできた生命活動によって作り出された土に注目して、「一人ひとりが楽しく生きることを支える食べものづくり」のため、権力者が支配しやすいような社会を作るのに適した作物を選ぶのでなく、それぞれの地域で、その土地の持つ在来植物の力を生かして食べものをつくるという本来の農耕に帰るということをともに考えていこうと呼びかけています。
科学技術を否定するのではなく、いろんな知見を活かしながら地球環境などの危機をいかに乗り越えていくのかについていろんなヒントに富んだ本です。
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