『惑う星』
『惑う星』
(リチャード・パワーズ著、2022年(原著は2021年)、新潮社)
まず、日本語タイトルのことを。
原題が『BEWILDERMENT』で、当惑とか困惑などの意味になるのですが、本の中身が揺れ動く地球環境や宇宙のことにかかわるということで、地球が惑星の一つであることも加味して、『惑う星』としたのはなかなか秀逸。
地球外生命の可能性などを研究する父親と、動物の保護活動を続けていた母親との間に生まれた男の子は、母親が不慮の事故で亡くなってからとりわけ情緒不安定さを増し、学校での居場所がなくなる。
子育てに向いていないと自覚しているが、薬に頼りたくない父親は、母親の友人であった研究者が行っている実験に息子を参加させることとし、生前の母親の脳のスキャンデータを使って、母の感情を追体験させることに。
実験は目覚ましい成果を上げ、落ち着きを取り戻した息子の地球環境への感覚はますます研ぎ澄まされるのだが・・・。
父子二人のキャンプでの自然描写や、未知の生命体の住む惑星の話、多感な子どもと日常生活を営むことの困難性など様々なスケールが混在しつつ描かれる壮大で身近なかけがえのない物語。
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(リチャード・パワーズ著、2022年(原著は2021年)、新潮社)
まず、日本語タイトルのことを。
原題が『BEWILDERMENT』で、当惑とか困惑などの意味になるのですが、本の中身が揺れ動く地球環境や宇宙のことにかかわるということで、地球が惑星の一つであることも加味して、『惑う星』としたのはなかなか秀逸。
地球外生命の可能性などを研究する父親と、動物の保護活動を続けていた母親との間に生まれた男の子は、母親が不慮の事故で亡くなってからとりわけ情緒不安定さを増し、学校での居場所がなくなる。
子育てに向いていないと自覚しているが、薬に頼りたくない父親は、母親の友人であった研究者が行っている実験に息子を参加させることとし、生前の母親の脳のスキャンデータを使って、母の感情を追体験させることに。
実験は目覚ましい成果を上げ、落ち着きを取り戻した息子の地球環境への感覚はますます研ぎ澄まされるのだが・・・。
父子二人のキャンプでの自然描写や、未知の生命体の住む惑星の話、多感な子どもと日常生活を営むことの困難性など様々なスケールが混在しつつ描かれる壮大で身近なかけがえのない物語。
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