『奇跡の脳』
『奇跡の脳』(ジル・ボルト・テイラー著、竹内薫訳、2009年(原著は2006年)、新潮文庫)
知り合いから進められて手に取ってみた本で、とてもおススメです。
左脳と右脳は違う働きをすると言うのは聞いたことがあったりするものの、私は日ごろあまり意識することがなかったのですが、この本を読むとそのことをいやがうえにも考えさせられるというか、世界をどう認識するかとか、どう感じるか言うのも、脳の働きにとても左右されていると言うのがよくわかります。
最前線で活躍中の30代後半の脳科学者が、脳の血管の先天性の奇形のため、ある朝脳卒中に襲われてしまうことから話は始まります。脳の機能を知っている著者だからこそ、左脳の機能が失われて、運動機能や言語認識機能が失われていく様を克明に思い起こして記録してくれていて驚きです。
助けを呼ぶために電話をかけなければならないことはわかって、何とか名刺を探し出しても文字や数字が読めなくなっていたり、電話口で声を出そうと思っても頭の中では言葉が思いついても、実際にはなんとかうめき声が出るだけだったり。
右脳は、感覚器官から入ってきた情報を、感情と共に全体としてとらえ、その瞬間瞬間を自由に分け隔てなく感じ幸福感につながるのに対して、左脳は情報を時間ごとに整理し、予測したり計算したりし、細部の異差を分類し、自分と他者を明確に分けたりして、不安や怒りにつながりやすいようで、普通は、人それぞれにバランスをとって一つの人格を作っているのですが、左脳が優勢だった著者の場合、左脳の機能が漏れ出た血液によって失われて、激しい痛みがあると同時に、右脳が優勢になることによって、自他の区別がなくなり、世界を一体のものと感じられる幸福感に満たされたと書いています。
私もたまにですが、日常生活の中で世界との一体感というものを感じることがあります(それは、例えば野鳥観察をしているときとか)が、それって、右脳の活動が全開ってことなのでしょうか?
脳の仕組みなどについての科学的な分かりやすい解説や、脳卒中からの回復に向けてのおススメや役に立ったことについての箇条書きなどが巻末に書いてあって、実際に役に立つと共に、脳卒中で倒れた初期に、その外見上の無力さとは違って、内面ではいろいろと感じていて、看護する人がバカにしているか親身に接してくれているかがはっきり分かり、回復の助けになるかならないかの分かれ目にもなることも書いてあり、看護する立場の人にもとても参考になると思います
後半部分では、8年かけて著者が回復していく過程で、左脳と右脳のバランスを保っていくことの大切さを、具体的な方法と共に、繰り返し説明してくれているのですが、若干スピリチャル系に感じられるというか、なかなか人によってはそういう調整は書いてあるほど簡単ではないとも思えました(少なくとも、左脳と右脳の働きには違いがあって、どちらかに引っ張られすぎて極端な感情を持ってしまうことは、現実とは違うかもしれないと意識することは大切なんだろうとは思いますけど)。

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知り合いから進められて手に取ってみた本で、とてもおススメです。
左脳と右脳は違う働きをすると言うのは聞いたことがあったりするものの、私は日ごろあまり意識することがなかったのですが、この本を読むとそのことをいやがうえにも考えさせられるというか、世界をどう認識するかとか、どう感じるか言うのも、脳の働きにとても左右されていると言うのがよくわかります。
最前線で活躍中の30代後半の脳科学者が、脳の血管の先天性の奇形のため、ある朝脳卒中に襲われてしまうことから話は始まります。脳の機能を知っている著者だからこそ、左脳の機能が失われて、運動機能や言語認識機能が失われていく様を克明に思い起こして記録してくれていて驚きです。
助けを呼ぶために電話をかけなければならないことはわかって、何とか名刺を探し出しても文字や数字が読めなくなっていたり、電話口で声を出そうと思っても頭の中では言葉が思いついても、実際にはなんとかうめき声が出るだけだったり。
右脳は、感覚器官から入ってきた情報を、感情と共に全体としてとらえ、その瞬間瞬間を自由に分け隔てなく感じ幸福感につながるのに対して、左脳は情報を時間ごとに整理し、予測したり計算したりし、細部の異差を分類し、自分と他者を明確に分けたりして、不安や怒りにつながりやすいようで、普通は、人それぞれにバランスをとって一つの人格を作っているのですが、左脳が優勢だった著者の場合、左脳の機能が漏れ出た血液によって失われて、激しい痛みがあると同時に、右脳が優勢になることによって、自他の区別がなくなり、世界を一体のものと感じられる幸福感に満たされたと書いています。
私もたまにですが、日常生活の中で世界との一体感というものを感じることがあります(それは、例えば野鳥観察をしているときとか)が、それって、右脳の活動が全開ってことなのでしょうか?
脳の仕組みなどについての科学的な分かりやすい解説や、脳卒中からの回復に向けてのおススメや役に立ったことについての箇条書きなどが巻末に書いてあって、実際に役に立つと共に、脳卒中で倒れた初期に、その外見上の無力さとは違って、内面ではいろいろと感じていて、看護する人がバカにしているか親身に接してくれているかがはっきり分かり、回復の助けになるかならないかの分かれ目にもなることも書いてあり、看護する立場の人にもとても参考になると思います
後半部分では、8年かけて著者が回復していく過程で、左脳と右脳のバランスを保っていくことの大切さを、具体的な方法と共に、繰り返し説明してくれているのですが、若干スピリチャル系に感じられるというか、なかなか人によってはそういう調整は書いてあるほど簡単ではないとも思えました(少なくとも、左脳と右脳の働きには違いがあって、どちらかに引っ張られすぎて極端な感情を持ってしまうことは、現実とは違うかもしれないと意識することは大切なんだろうとは思いますけど)。

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