『つながる図書館―コミュニティの核をめざす試み』
『つながる図書館―コミュニティの核をめざす試み』(猪谷千香著、ちくま新書、2014年)
実は私は子どものころ、身近に図書館がなく(学校図書館というものの存在をあまり意識していなかった)、読書習慣のようなものもなかった(そういえば、高校生の頃、一般向けの科学入門的な本、講談社のブルーバックスシリーズを若干読んでたのを思い出した)ため、本を読み始めたのは大学に入ってからと遅いので、いまだに図書館をちゃんと使いこなしていないのですけど、本は好きです。
インターネットの中にはたくさんの情報が埋め込まれていて、うまく探せばいい情報もある(無駄な情報が多すぎるので、その山をかき分けるのが面倒)のですが、やはり、少なくとも編集者という第3者が関わっているという意味で、本は質が高いものが多い(あくまで傾向です)し、そういう人の思いがこもった作品である本というものの、実体を持った手触りや質感というのは他に換えがたいものがあります。
閑話休題。
この本は、「市民との協働で作られた図書館」「無料貸本屋批判を脱却し解決型図書館を目指す図書館」「指定管理者制度を導入してかつてないサービスを展開する図書館」「インターネットやソーシャルメディアの普及によるデジタル化の波に対応する図書館」など、ここ10年で進化・多様化の進む公立図書館の動きを、現地にも行って取材をしていて面白い。
私が最も興味を持ったのが最終章の第6章「つながる公共図書館」。公立図書館でも私立図書館(日本赤十字社や一般社団法人や一般財団法人が運営する図書館をそう呼ぶらしい)でもない「新しい公共図書館」について取り上げています。
例えば、市内30ヶ所に民間図書館の設置を目指す「船橋まるごと図書館」の取り組み。駅前ビルの空きスペースの有効活用をと投げかかられて、そこを図書館にすることを思い立つことからはじまって、蔵書管理システムも自分たちで作り、貸し出しを誰でもできるようにして、ボランティアベースで運営をしている。
酒店や自動車販売店、商店街の空き店舗、高齢者施設などのちょっとしたスペースに広がりつつあるという。いつも決まった曜日に来るボランティアのおじいちゃんと、小さな男の子の交流があったりと、小さなコミュニティがそこここに生まれている。いろんな人が関わって運営していることを見せているので、意外にも、本が返却されなかったり、損壊されたりするケースは少ないのだという。
もっと洗練?された形としてサービスをしているのが、「リブライズ」。カフェやコワーキングスペース、オフィスなど、いたるところにある本棚を手軽に貸し借りできるようにと、プログラムを開発して、フェイスブックのアカウントとスマートフォンを「図書カード」代わりにして、全国の本棚を図書館化しようという壮大な計画(実際に運用されている)。
本の裏側にもともとあるISBNバーコードと、フェイスブックのアカウントを活用するので、誰が何を借りたのかというのが瞬時に管理でき、しかもそれが誰でも見れる状態になるため(その情報を見えないようにすることも可能なようです)、本を通じてコミュニティができたりといろいろ可能性を秘めています。
フェイスブックで友達を作る気のない私としては、これは微妙ですが、誰が何を借りたかを個人情報として厳重に管理する通常の図書館と逆の取り組みとして、これはこれで興味深い。
いずれにしても、身近なところにミニ図書館(マイクロライブラリーと呼ぶらしい)ができて、それが緩やかにつながっているというのは、イメージとしてとても面白い。例えば、まちなかのような歩いて回遊できる場所のそこここに、それぞれ特徴のあるミニ図書館があって、その蔵書の傾向に沿ったコミュニティがあれば、何かについて調べたり知りたいときにそこに行けば本や人がいる。大げさに言うと、自分が拡張するイメージ。
サンフレッチェ好きの集まる居酒屋に、サンフレッチェやサッカーに関する本がたくさん置いてあっったり、東日本大震災に関する本や情報が置いてあるカフェがあったり、自然食に関して詳しい人のいるお店に関連本があるとか・・・。想像するだけで楽しい。
몔
実は私は子どものころ、身近に図書館がなく(学校図書館というものの存在をあまり意識していなかった)、読書習慣のようなものもなかった(そういえば、高校生の頃、一般向けの科学入門的な本、講談社のブルーバックスシリーズを若干読んでたのを思い出した)ため、本を読み始めたのは大学に入ってからと遅いので、いまだに図書館をちゃんと使いこなしていないのですけど、本は好きです。
インターネットの中にはたくさんの情報が埋め込まれていて、うまく探せばいい情報もある(無駄な情報が多すぎるので、その山をかき分けるのが面倒)のですが、やはり、少なくとも編集者という第3者が関わっているという意味で、本は質が高いものが多い(あくまで傾向です)し、そういう人の思いがこもった作品である本というものの、実体を持った手触りや質感というのは他に換えがたいものがあります。
閑話休題。
この本は、「市民との協働で作られた図書館」「無料貸本屋批判を脱却し解決型図書館を目指す図書館」「指定管理者制度を導入してかつてないサービスを展開する図書館」「インターネットやソーシャルメディアの普及によるデジタル化の波に対応する図書館」など、ここ10年で進化・多様化の進む公立図書館の動きを、現地にも行って取材をしていて面白い。
私が最も興味を持ったのが最終章の第6章「つながる公共図書館」。公立図書館でも私立図書館(日本赤十字社や一般社団法人や一般財団法人が運営する図書館をそう呼ぶらしい)でもない「新しい公共図書館」について取り上げています。
例えば、市内30ヶ所に民間図書館の設置を目指す「船橋まるごと図書館」の取り組み。駅前ビルの空きスペースの有効活用をと投げかかられて、そこを図書館にすることを思い立つことからはじまって、蔵書管理システムも自分たちで作り、貸し出しを誰でもできるようにして、ボランティアベースで運営をしている。
酒店や自動車販売店、商店街の空き店舗、高齢者施設などのちょっとしたスペースに広がりつつあるという。いつも決まった曜日に来るボランティアのおじいちゃんと、小さな男の子の交流があったりと、小さなコミュニティがそこここに生まれている。いろんな人が関わって運営していることを見せているので、意外にも、本が返却されなかったり、損壊されたりするケースは少ないのだという。
もっと洗練?された形としてサービスをしているのが、「リブライズ」。カフェやコワーキングスペース、オフィスなど、いたるところにある本棚を手軽に貸し借りできるようにと、プログラムを開発して、フェイスブックのアカウントとスマートフォンを「図書カード」代わりにして、全国の本棚を図書館化しようという壮大な計画(実際に運用されている)。
本の裏側にもともとあるISBNバーコードと、フェイスブックのアカウントを活用するので、誰が何を借りたのかというのが瞬時に管理でき、しかもそれが誰でも見れる状態になるため(その情報を見えないようにすることも可能なようです)、本を通じてコミュニティができたりといろいろ可能性を秘めています。
フェイスブックで友達を作る気のない私としては、これは微妙ですが、誰が何を借りたかを個人情報として厳重に管理する通常の図書館と逆の取り組みとして、これはこれで興味深い。
いずれにしても、身近なところにミニ図書館(マイクロライブラリーと呼ぶらしい)ができて、それが緩やかにつながっているというのは、イメージとしてとても面白い。例えば、まちなかのような歩いて回遊できる場所のそこここに、それぞれ特徴のあるミニ図書館があって、その蔵書の傾向に沿ったコミュニティがあれば、何かについて調べたり知りたいときにそこに行けば本や人がいる。大げさに言うと、自分が拡張するイメージ。
サンフレッチェ好きの集まる居酒屋に、サンフレッチェやサッカーに関する本がたくさん置いてあっったり、東日本大震災に関する本や情報が置いてあるカフェがあったり、自然食に関して詳しい人のいるお店に関連本があるとか・・・。想像するだけで楽しい。
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