00-00 再びの前口上 2005/10/07、金曜日、CANPANがスタートした頃の15年前の昨日、このブログを始めました。当時の、国際的な助成事業という、生業を活かして幾ばくかの役に立つものかと、次の前口上で、起筆しました。 「BBS、ホームページ、メルマガ、ブログ、ミクシィと、コンピューネットワークの変遷につれて色々書き損じてきましたが、財団界に四半世紀ほど働かせていただき、少しでも後に残せるものになるかは定かでは判りませんが、一昔前のブログ風に、引用形式で、仕事上の斜読に近い形で、主に米国のオンラインもしくはオンラインで面白くもしくは興味深く見られるNPO界のニュースや論説を引用していきたいと考えています」 00-01 言い訳 このように始めましたものの、数回書き進んでいくうち、海外のNPO界のニュースや論説を引用するには、想像以上に、その日本と諸外国の彼我の背景の違いを、僕自身を含めて、整理して解き明かさないことには、誤解を生みかねないことが明らかになり、そのまま続けられないことを痛感しました。 そういった思いで、あちこちの注の注にさらに注のようなものを加え、脱線しながらも、前口上に想定していた、直接的なニュースの掲載が成し得ず、いくつかの話題を出発点にして、僕が理解する限りの「NPO」の背景にあるものを、長く掲載することになりました。 00-02 未完の脱線のテーマから――近代の先駆者、ガリレイとバイロン 15年が経ち、現役を離れ、年金生活を送り、間もなく昔だったら「古希」を迎える、現在まで、未完のテーマは多くありますが、今もって、気にかかって、追求しているものも多々あります。 人を中心にしたものでは、ガリレイとバイロンが今もって気になっています。 ガリレイは、近代科学の先駆者で、望遠鏡のみならず顕微鏡使いとして、今日、コロナ禍によってなおさら、兆しが見え始めた可視的世界観から不可視的世界観へのパラダイムチェンジの先導者として、追求しなければとおもっています。 バイロンは、近代文化の先駆者で西欧世界と非西欧世界、あるいは、古典世界と近代世界の出会いを、身をもって表現した覚醒者として、とりわけ西欧世界・近代世界の産物であるNPOにとって、追求しなければ、と思い続けています。 00-03 ロマンティスト、バイロンの折り返し点――レマン湖 今回は、先ずは、バイロンを巡って、昔の記事を、歳を重ねての、幾分かの追記を含め、編集し直して、整理したものの、最初を掲載したいと思います。レマン湖という、バイロンとガリレイが交錯し、現代と古代、海と陸、西欧と非西欧が重なるものとして、ゆっくりと続けられる限りの連載を始めたいと思います。 01-01 ジュネーヴとレマン湖――地中海と内陸を繋げる水源 01-01-01 ローザンヌ――オリンピックの都 オリンピックの元締めIOC (International Olympic Committee、国際オリンピック委員会、 1915/04/10 - )は世界に冠たる「国際」_「NPO」です。本部はスイスのLeman レマン湖の湖畔のLaussane ローザンヌ*に、オリンピック博物館とともにあります。 Laussane (ローザンヌ)*:IOC、スポーツの外に、現代世界文化、現代舞台芸術と現代美術の源流の一つとなっている所在地。 @ダンス:Béjart Ballet Lausanne (1987 - )というMaurice Béjart モーリス・ベジャール(1927/01/01 – 2007/11/22 )が開いたダンスのスクール、本拠地がある。ベジャールはマルセイユ生まれ、育ちで、各地で活躍した後、還暦を迎えて、ローヌ川を溯上して終の棲家とした地。「春の祭典」、「ボレロ」1986、勲三等旭日中綬章受勲するなど日本との関係は深い http://tarot-ballet.jugem.jp/?eid=15 Aアール・ブリュ:Collection de l'art brut ( 1976/02/26 - )という小さな美術館がある。画家の Jean Philippe Arthur Dubuffet ジャン=フィリップ=アルチュール・デュビュッフェ(1901/07/31 – 1985/05/12 )が第二次大戦後にあって「脱植民地主義」を模索する中で出会い、シュールレアリスムのAndre Breton を始め Jean Paulhan ( writer, linguist, and Editor of the La Nouvelle Revue Francaise), Charles Ration (Parisian dealer in African art), Michel Tapie ( art critic), and Henri-Pierre Roche ( translator, journalist, and novelist) の仲間と、Gaston Gallimard、 Jean Cocteau、 Claude Lévi-Strauss、 Henri Michaux、 Francis Ponge、Tristan Tzara 、Joan Miròの支援も得て、パリで創設した「 La Compagnie de l'art brut 」( 1948 – 1951 )が名称の発祥といわれる。デュビュッフェのコレクション、133作家の5,000作がローザンヌ市に寄贈されて、ここにある。アウトサイダー・アート、ナイーブ・アートが類縁語としてある。日本で本格的に、栃木県立美術館から、栃木県人の支援もあって、大島清次( 1924/11/13 – 2006/11/23 )初代館長として就任しての衝撃的な開館記念展『芸術と素朴』以来、この分野で幾度ともなく展覧会を続けているのは世田谷美術館だ。 因みに、大場啓二( 1923/02/10 – 2011/09/01日)、世田谷区長( 1975 – 2003 )7期 28年の時代、「世田美」だけでなく「世田パブ」(世田谷パブリックシアター等)の開設、「羽根木公園」(羽根木プレーパーク等)の「開放」など、その後の各界の嚆矢となった一連の文化的諸施策は、下北沢の再開発にまで繋がりのあるものとして、戦後都市文化政策史や市民活動史でもっと研究されことを期待したい。 https://www.artbrut.ch/en_GB/art-brut/chronology https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00001 https://www.proud-web.jp/magazine/town/town_12/ https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpasurban/2018/36/2018_114/_pdf https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/tachiyomi/0226430.pdf https://www.neowing.co.jp/product/NEOBK-1824156 01-01-02 レマン湖の位置と形――ティアラ 米国はニューヨークの自由の女神像の冠といったら良いのだろうか、左の顔の前を斜め横下から見上げ、ティアラをみるようなひしゃげた三日月形のレマン湖*。その湖の北岸の真ん中より少し右、東、つまりは北東側寄りに、ティアラの左目の左端の上、にローザンヌはあります。東端には、ジャズ・フェスティバルで有名なMontreuxモントルーがあり、湖の南岸の真ん中、ローザンヌの対岸には、湧き水で名を馳せるEvianエヴィアンがあります。そして西端には国連欧州本部をはじめ、各種国際機関の所在するGeneve/Genevaジュネーヴがあります。レマン湖を囲む行政区域としては、スイスの3つのカントンとフランス領*にがあります。 レマン湖*:内陸国、スイスには公用語が4つあって、それぞれでの正式名称は@ Schweizerische Eidgenossenschaft (独)、A Confédération suisse (仏)、B Confederazione Svizzera (伊)、C Confederaziun svizra (ロマンシュ語)の諸語に語源的に内在する「同盟のための誓約」だが、日本語では一般的に「連邦国家」に分類される。日本での「正式日本語名称」は外務省「在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律」の「別表第一」に政府各省は統一につとめているようだ。これとて在外公館の所在地を主としているので限界がある。国名・地名・人名にとっての「外名」による「正式名称」とは何かという問題は複雑で長くなり、本ブログでも、種々の「命名」ということを巡って長々と連載したものどもも未完でもあり、ここでは省略する。 だが、そもそもの在外公館の所在地の名称をどう決めているかの舞台裏が、このNHKの 2019/03/13 のサイトで紹介されていて、極めて興味深い。前記の法律改正を担当し、インタビューを応じている外務省大臣官房総務課課長補佐が名称命名「起案」にあたって参考にしているらしい、次の9点10冊の書物が写っている写真だ。@『記者ハンドブック -新聞用字用語集第10版』(共同通信社 編)、A『NHKことばのハンドブック』(NHK放送文化研究所 編)、B『NHKことばのハンドブック第2版』(NHK放送文化研究所 編)、C『広辞苑 第七版』(新村出 編・上下2巻)、D『広辞苑 第五版』(新村出 編)、E『世界の国一覧表―国際理解のための基本データ集 2006年版』(外務省 編集協力)、F『現代用語の基礎知識 2019年版』(大塚陽子 編集長)、G『大辞林 第三版』(松村明 編)、H『ブリタニカ国際百科事典』(国際地図?:TBSブリタニカ発行)。この記事は御覧の通り、他ならぬ、地名にあるカタカナの「ヴ」が「ブ」に変更されてときのものだ。 何れにしろ「連邦」の中で、緩い方に得てして分類され、各「邦」=「州」を外務省のサイトで「国・地域」の「基礎データ」での解説でも「1 政体」:連邦共和制(20の州(カントン)及び6の準州により構成される)」とただ「州」とだけでなく(カントン)と括弧付きで書かれている。 http://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/15156.html スイスの3つのカントンとフランス領*:エヴィアンのある南岸の真ん中の半分をフランス(Savoy サヴォイ州)が占める以外は、西端を小さく囲む都市国家ならぬ、仏語が公用語のカントンがジュネーヴ、大半である残りの北岸を中心とした仏・独両語が公用語で人口第二のカントンが Bern ベルンであり、その州都がローザンヌで、第二の都市がモントルーだ。モントルーの東端からわずかに西よりの南岸に接している、アルプスの高峰の大半を擁する、仏・独両語が公用語のカントン、 Valaisヴァレー州だ。 続く |