テトラパック創業者、欧州屈指のフィランソロピスト一族をおそった不幸 [2012年07月12日(Thu)]
あまり、前向きな話題ではないので、紹介するのを控えようかと思っていたが、欧米紙での掲載が増すばかりなので、簡単に紹介しておきたい。
妻の腸詰作業をみて思いついたともいう、テトラ・パックの創業者はRuben Rausing ルーベン・ラウジング (1895.06.17 – 1983.10.08)。そのテトラパック社を飛躍させ、2011年のフォーブス誌の世界長者番付で83位であった、英国在住のその子息Dr. Hans Rausing, ハンス・ラウジング博士 ( 1926.03.26 - )をはじめ、その一族は故国スウェーデンや英国での長者番付の上位を占めている。 因みに、日本でも4面体、三角錐のテトラパックはあまり見かけなくなったが、テトラパックの後に、Tetra Classicテトラ・クラシックという名のテトラ・カテドラル型、煉瓦型のTetra Brikテトラ・ブリック、無菌のTetra Brik Asepticテトラ・ブリック・アセプティック、枕型のTetra Fino Aseptic テトラ・フィーノ・アセプティック、等と新型のパッケージを次々と同社は市場に出してきた。 テトラの語源はテトラポッドと同じく、ギリシア語の「4」。 さて、一族には学者も多く、また、慈善家としても知られるものも多い。 ハンス・ラウジング博士は二女一男の父。二人の娘はそれぞれリンネの研究者、あるいは文化人類学者であって、様々な慈善活動家として知られている。 長女のDr Lisbet Rausing リスベット ( 1960 - ) は分類学、自然史で権威あるLinnean Society of Londonリンネ協会の会員でであり、リンネ研究者として知られる。 同協会はスウェーデンのCarl von Linne カール・フォン・リンネ ( 1707.05.23 – 1778.01.10 ) に因んだ協会で、日本の天皇は皇太子の当時1980年に外国会員、1986年から名誉会員となり、2007.05.29のリンネ生誕300年での同協会ロンドンでの講演が、長崎のオランダ商館ではじまるエッセイ「Linnaeus and taxonomy in Japan」として、Natureネイチャ ー誌2007.07.12号に掲載された。 リスベットは2001年にArcadia Fund アーカディア財団を設立、2011年には同財団は2億1,900万ドル、約175億円の危機にある自然や文化のために助成すると決定した。 また、2000年以来、国際NGOのFauna & Flora International (FFI)、元・国際野生動植物保護協会、の副会長職をはじめ、多くの公益団体に関わっている。 次女のSigrid Rausing シグリッド ( 1962 - ) は社会文化人類学者であり、2005.10より英国の文芸誌 Granta グランタのオーナーでもある。 シグリッドが1995年に立ち上げた財団、Sigrid Rausing Trust シグリッド・ラウジング財団は国際的な人権擁護を中心に助成してきており、これまでに1億5,400万ドル、約123億円、助成してきた。 さて、ハンスの一人息子、Hans Kristian Rausing ハンス・クリスチャン・ラウジング ( 1963 - )は家業を継がず、インドをはじめ、世界を巡り、米国サウス・カロライナ在住のペプシコーラの元幹部Thomas Kemenyトマス・ケメニーの娘Eva エヴァとめぐり合い、結婚し、資産家一家同士の夫婦として、姉妹同様、やはり、多くの薬物依存症に関する慈善活動でも知られてきた。 ところが、一方、2008年には夫婦ともども、薬物所持で逮捕され、スキャンダルとなった。実は、二人は薬物依存症リハビリ施設で知り合っている。 そして今週7月9日には夫が迷走運転をしていたところ、警察に車内を調べられ、麻薬が発見され逮捕された。そして、その後、自宅を家宅捜査したところ、妻が遺体となってみつかった。 ということで、以来、連日、欧米のメディアで取り上げられている。 |