CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

«怪物からFBI、斧まで。各種国コードCオリンピック。国とは?その15。―閑話休題(再三) | Main | テロからマヨネーズまで。各種国コードCオリンピック。国とは?その15。―閑話休題(再三)»
プロフィール

t_itoさんの画像
<< 2021年07月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
Google

Web全体
このブログの中

タグクラウド

https://blog.canpan.info/nonpo/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/nonpo/index2_0.xml
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
my website (03/08)
西欧の波紋、反射と干渉。各種国コードCオリンピック。国とは?その16。―閑話休題(再三) [2006年10月05日(Thu)]

<承前>

前回の「フランケンシュタイン」とともに同じディオダディ館で、西欧「近代」に生まれた「ヴァンパイヤ」、ロマンについて紹介します。

元々はバイロンの着想を拝借し、嵐の晩の約束を履行し、バイロンの「従医」ポリドリが書き上げた吸血鬼物語は、ベストセラーにはならなかったものの吸血鬼小説の嚆矢であり、ドラキュラと並んで、現代の吸血鬼イメージの源流です。

吸血鬼伝説は世界各国、欧州各地にみられます。シェリーの創作であった「フランケンシュタイン」と違い、源流を辿ると無数の源泉が見られます。しかし、客観的に、あるいは「近代的」に「吸血鬼」をみるといくつかのことが大凡言えると思われます。

一つは、吸血鬼伝承が生まれた素地は、原因不明の、おそらくは昆虫や小動物による咬み傷と出血をともなう、小集落における、これら生物を仲介した小規模感染症による死亡事件が発端であったろうことです。現代の感染症同様、人間の新開地の「開発」や戦乱によって、既存の生態系が破壊されることによって、お互い未知の人間と生物、微生物とが遭遇する事件がその大きな背景の一つであろうことです。

もう一つは、いつでも、どこでもあり得るこれらの事件に、「土俗的」な恐怖や神秘性が付け加わりながら、これらが「伝承」、「都市伝説」といして生き残り他所へと伝わる余地もしくは利用する理由のある歴史と社会があったことです。

18世紀には、西欧でも話題になるほど、政府などの「公式」調査が行われた多くの「吸血鬼」事件が東欧で起こりました。前回紹介しように、西欧社会は、5世紀に、異教徒の改宗でその幕を開け、異端審問や宗教改革などローマ教会を軸に形成されていきました。一方東欧は、オリエント、東方社会に接する地として、コンスタンティノープルの陥落、あるいはオスマン朝など、宗教的にも、民族的にも多層化を経ながら、様々な「異教徒」が混在し、古くからの「民俗」伝承が繋がる社会できました。

キリストの復活を唯一無二とする西欧では、天と地を彷徨う、吸血鬼のような実体のある死者伝説は表から消えたとも言われます。

因みにアイルランド人の作家、Bram Stoker (ブラム・ストーカー)が1897年に描いた吸血鬼小説の主人公、Dracula (ドラキュラ)は神聖ローマ帝国からドラゴン勲章を受けていた父、Vlad U (ヴラド2世)の子として「Dracul (ドラ・クル)、Dragon (悪魔)の子」とよばれ、バルカンにおしよせるオスマン・トルコ兵をとらえ、生きたまま2万人を串刺しにし、トルコを恐れおののかせ撤退させた、ルーマニアの救国の英雄ともいわれる、Wallachia (ワラキア)君主、ヴラド・ツェペシュVlad V (ヴラド3世)を発想の語源とする説もあります。

いずれにしろ、それぞれの形での多民族社会を抱え込みながら、一方は、ヨーロッパの火薬庫といわれ、ユーゴはもとより前世紀から今世紀にいたるバルカン半島での混乱と、一方はアイルランド紛争やフランスでの暴動など、ヨーロッパ世界の拡張の歴史とその現代に続く反作用、池の波紋の広がりと跳ね返りの波紋が干渉し繰り返される様々な姿がみえます。

近代化、産業革命、ヨーロッパの拡張、都市人口の増大、出版の拡大、植民と移民、信仰と科学等々、同じようでいて、また違う、フランケンシュタインと吸血鬼が、同じとき、同じ場所で、ロマンティストの発案によって、フィクションとして生まれたこの事件は、絵のように勝手に解説を加えられる話題がまだまだ豊富です。

<この項続く>

本記事ーー19世紀初頭バイロンの足跡をたどる記事ーーは最初はここから開始しました。
トラックバック
ご利用前に必ずご利用規約(別ウィンドウで開きます)をお読みください。
CanpanBlogにトラックバックした時点で本規約を承諾したものとみなします。
この記事へのトラックバックURL
トラックバックの受付は終了しました

コメントする
コメント