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元々の「コロナウィルス」というウィルスの存在と名称が初めて公刊された記事全文と日本語拙訳 [2020年03月23日(Mon)]

承前

以前紹介した、元々の「コロナウィルス」というウィルスの存在と名称が初めて公開されたとされるネイチャー誌の記事の、今回は全文を、原文英語とあわせ日本語拙訳を掲載します。煩わしいので注記なしの一センテンス毎の対訳形式にしましたが、下記の諸点に留意されることをお願いします。

@元々の「コロナウィルス」の記事であって、現「新型コロナウイルス」ではない。
A医学ましてやウィルス学、そして翻訳の専門家でない者の拙訳である
B専門家の間でも語彙の異同や変遷がみられることに留意しつつ、出来る限り、一般的な英語の原義に沿った、日本語への直訳につとめたものであり、厳密な時代(一般世間やウィルス学周辺での使用されていた英語の)考証はしていない。
C原文は黒色の太字
D拙訳は《》内に濃紺色のメディウム字で、補足が必要なものはさらに《》内に、普通名詞に見紛われる可能性のある固有名詞には【】内に、人名はファミリーネームを「一般的」な読まれ方と思われるものを片仮名書きした。

VIROLOGY《ウィルス学》

Coronaviruses 《コロナウィルス》

A NEW group of viruses with the name of coronaviruses has been recognized by an informal group of virologists who have sent their conclusions to Nature. (They are J. D. Almeida; D. M. Berry; C. H. Cunningham; D. Hamre; M. S. Hofstad; L. Mallucci; K. McIntosh; D. A. J. Tyrrell.)
《コロナウィルスと新しく名付けられたグループのウィルスが、非公式のウィルス学者達のグループによって認められ、その(研究の)結論がネイチャー誌に送られてきた:アルメイダ、ベリー、カニンガム、ハムレ、ホフスタッド、マルッチ、マッキントシュ、ティレル》

They point out that with negative staining, avian infectious bronchitis virus has a characteristic electron microscopic appearance resembling, but distinct from, that of myxoviruses.
《彼らは負染色を使うと、鶏伝染性気管支炎ウィルスが、電子顕微鏡で姿が、ミクソウィルスと類似性は見られるものの、明らかに異なる、特徴をもっていることを、指摘している》

Particles are more or less rounded in profile;
《輪郭をみると、粒子は、どちらかというと丸い:》

although there is a certain amount of polymorphism, there is also a characteristic "fringe" of projections 200long   which are rounded or petal shaped, rather than sharp or pointed, as in the myxoviruses.
《一定程度の多型性はあるものの、200オングストロームの長さの、ミクソウィルスよりは、鋭く、もしくは尖っている形の、円もしくは花弁の形の「縁」の突起という、もう一つの特徴がある》

This appearance, recalling the solar corona, is shared by mouse hepatitis virus and several viruses recently recovered from man, namely strain B814, 229E and several others.
《その、太陽コロナを思い起こさせる、姿は、マウスの肝炎ウィルスや最近人体より回収された、いくつかのウィルスと共有している。名前をあげるとB814、229E株その他だ》

These viruses also share a number of other properties as indicated in the table.
《これらのウィルスは表に示されるような結構な数の特徴を共有している》

(Anyone interested in the data on which the table is based may obtain a short bibliography on application to Dr D. A. J. Tyrrell at the Common Cold Research Unit, Salisbury, Wiltshire.)
《どなたでも、この表が根拠にしているデータに、興味を持たれる方はソーズベリー《州》のウィルトゥシャー《市》にある《英政府医学研究評議会の》【風邪研究ユニット】のティレル博士に申し込むと、短い文献リストが入手できます》

PROPERTIES OF THESE VIRUSES 《ウィルスの特徴》

 

Avian infectious bronchitis
《鶏・伝染性・気管支炎》

Mouse hepatitis
マウス・肝炎ウィルス

Human strains
人間・株

Size. 《大きさ》Filtration《濾過法》
     Electron microscopy*
《電子顕微鏡法》



80-120 mμ

80-120 mμ

100 mμ

89 mμ

80--160 mμ

Characteristic surface structure
《表面構造の特徴》

+

+

+

Essential lipid (ether lability)
《基礎脂質・エーテル不安定性》

+

+

+

Apparent ribonucleic acid content
(unsusceptibility to DNA inhibitors)

《顕在リボ核酸成分・DNA阻害剤非感受性》

+

+

+

Density of infectious unit
《感染性ユニット密度》

118

?

1−19

Replication in cytoplasmic vesicles
《細胞質性・小胞・複製》

+

+

+

* Negative contrast technique----projections are included in the diameter of the particle.
《陰的・明暗・法――粒子の直径には突起が含まれる》

Some other relevant properties should be mentioned.
《他のいくつかの関連する性格も言及しなければならないだろう》

There is an antigenicrelationship between the human and murine strains, but none has been detected between avian strains and the others.
《人間とネズミ《株》との間には抗原的関連性があるが、鳥・株や他のものとは検知されていない》

A haemagglutinin has been detected by certain workers using avian infectious bronchitis virus and also antigens separable from the virus particle, but these have so far not been recorded for the human or murine strains.
《鶏・伝染性・気管支炎・ウィルスやまたウィルスから分離可能な抗原を使っている何人かの従事者によって赤血球凝集素が検知されているが、今なお、これらは人間やネズミ株から記録されていない》

In the opinion of the eight virologists these viruses are members of a previously unrecognized group which they suggest should be called the coronaviruses, to recall the characteristic appearance by which these viruses are identified in the electron microscope.
8人のウィルス学者の意見では、これらのウィルスは、以前は確認されていないグループのもので、彼らは電子顕微鏡上で認められる特徴的な姿に基づいて、「コロナウィルス」とよぶべきだと提案した》

These suggestions have been received by members of the Myxovirus Study Group (chairman, Professor A. P. Waterson) under the International Committee for the Nomenclature of Viruses (ICNV) .
《これらの提案は国際 ウィルス命名法委員会の下のミクソウィルス研究グループ(座長:ウォーターソン教授)のメンバーによって受理された》

The suggestions were found acceptable and are now to be considered by the Vertebrate Virus Committee of the ICNV.
《これらの提案は受諾可能なものとして認められ、現在は国際 ウィルス命名法委員会の脊椎動物ウィルス委員会で検討されることとなっている》


https://www.nature.com/articles/220650b0.pdf


続く

追記 2020/03/30 1545

以下が今回の記事の元々の記事たちです。2020/03/30現在、7つの記事です。

全文をセンテンス毎の単純な対(拙)訳にしています。

上記の「コロナウィルス」(新型ではありません。その元です)が世界で使われ始めた記事を解説するにあたって、あまりに参照・引用すべきサイトが多いため、独立して投稿した記事です。
基本的には「ある程度の専門性や信用度が確保されているようにみえ、門外漢(筆者)にも、ある程度理解し得る情報が公開されているもの」、「公的な」行政、研究所、学会、メディアのものを選びました。
また、「以上」のあと「続きを読む…」というところをクリックすると、現在の「追記」のように追記したものが表示されます。
「補遺」の1には中央官庁のもの
「補遺」の2には多言語(日本語以外)表記のもの、その後気づいたもの、を中心に
いずれも「組織」という信用性と一般性がある程度担保可能なものです。

上記に続く「補遺」で基本的には感染症(学)、ウィルス(学)の包括的解説や歴史について解説してあるものを中心にまとめました。製薬会社・生命保険等の関連の「会社」「研究所」や研究者「組織」よりは研究者「個人」とによって掲載されたものが多く、それぞれの考え方に留意が必要です。

4.「新型コロナウイルス」という名称の背景――その1−1 命名の手順・権威 @
大元の記事です。WHOがパンデミック宣言を出す前に、「COVID-19」というウィルスの命名宣言に対し、世界で多用され、語源が曖昧になったり、多義になる前に、命名手順、経緯、歴史的背景を整理しておこうと始めた記事です。この回ではWHOの「命名宣言」そのものの手順を中心に紹介しました。

上記記事をさらに遡り、こうしたウィルスや感染症というものを(新型コロナやコロナに限らず)一般に関しての「命名手順」の発達経緯や背景を紹介しようとしました。

6. 「コロナウィルス」という名前の誕生
上記4.や5.を経て、それらを具体的にみるものとして、元々の「コロナウィルス」という名前の初出について紹介したものです。ブログにおいて「容量」と使えるフォントを気にしつつ。出来る限り文中の解説や抄訳、文末の解説を試みましたが、HTML等言語まで遡るなど手間暇が膨大でその後、上記1. の記事以下に整理することになりました。

こうした、命名物語に解説が幾重にも重なり遡らくなる必要があるのは、ウィルス、感染症、という「学問」、すなわち近代世界とこれらとの出会い、さらには近代世界自体が短いことが、垣間見えるのことを理解するに恰好の論文を差しはさみました、ピサからベニスという本ブログが探ってきた諸テーマと近づきました。

以上
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