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補題――暦とは(その5)――旧暦対照表 全日版の少し長めの註釈その2――インディクティオとラテン語 [2016年03月16日(Wed)]

承前

6.15年周期:インディクティオ、徴税:三つの周期、その一

◎古代ローマの時の流れ。人々にとっての用

○古代ローマ世界の紀年法

古代ローマは広い版図と長い歴史があるため紀年法は様々ではあるが、indictio インディクティオはその中でも、一般的な「紀年法」だったといわれる。

○徴税のための調査

古代ローマにおいて徴税のために施していた調査が起源で、5年おきから、その後15年おきになったといわれる。帝国が拡大し、豊かになったうえで巨大な農業生産を抱えるエジプトが属州になったころ始まったようだ。

○恣意的、不定期な調査よりは安定した定期調査

帝国発展期の収奪、よくいわれる「徴税請負人」等の時代から、広大な領土の中でも、本土ではなく、ほどほどの支配、効率的な属州からの徴税という構図だ。取る方、取られる方にもシンプルで安心できる515年という一定期間安定した徴税法というものが定着したのだ。

○人々の人生の刻み

そして定期的なインディクティオは、そのうちに人々の人生・生活の刻みのリズムとして定着していき、「年」を表す「紀年法」になったといわれる。

○十二支とインディクティオ

このインディクティオの2年目とか、前のインディクティオの3年目といったように使われていたので、15年のスパンでしか「使えない」ものだった。申年とか、辰年といったレベルだ。

しかし、「使えない」というよりは、当時の人々にとって、15年のスパン以上のものが「使わなかった」といった方が実態に近いのかも知れない。

○個人の時の流れ、人々の時の流れ

現代の人々でも「30台のころ」と「1980年代のころ」と個人の歳を基準にする場合と、「社会」の年代を基準にする場合と比べると、そもそも「社会」の「時代」を表現する要不要がみえる。

過去も未来も個人的なものだった。

◎古代ローマの時の流れ。為政者にとっての用

fasti consulares執政暦

インディクティオと併用されたのが、fasti consulares と今日よばれている、原則1年任期であった執政官(2)の名前えを併記して、年を表していた。現代日本や一昔前のの東洋社会にみられた元号のようなものだ。

古代ローマ、ラテン語の「fasti」は古代中国の「祀、まつり、とし」のような「まつりごと」をつかさどった為政者の時代といった感覚のことばのようだ。

7.補題の補項――ラテン語とは

◎多様なラテン語

ここで、少し脇道にそれるが、暦の話といわず、西欧の事物には、グレゴリオ、ユリウス、インディクティオといったラテン語・古代ローマ起源のものが多く、indictio を例に、僅かばかりの解説をしておきたい。

古代ローマ共和国でのラテン語から、カソリック教会・バチカンでの公用語、あるいは生物や化学等での学術名としてのラテン語まで、ラテン語も、口語として、書記言語として、広く拡がり、変遷し、多様だ。

西欧諸語が古代ラテン語の影響を受けているように、古代ラテン語もまた、古代ギリシア語その他の影響を受けているが、中世ラテン語以降になると、アラビア語から、退避していた諸物のように、移入され、変形したりしたものもある一方、 alcohol のようにアラビア語そのものが現代の日本語でいう外来語のように影響、移入した。

漢字文明圏もしくは中国語文明圏での漢字、中国語のようなものだ。日本史で多少の中国語、漢字の理解があったほうが便利だ。

◎西欧社会の共通文化――ラテン語、その文法の必要最小限

○ラテン語の名詞の曲用=格変化

前述の「 indictio 」は(古代)ラテン語の名詞だ。

ラテン語の名詞は「格変化」する。「 declension 曲用」と元々日本では原義に近くよばれ、動詞の「 conjugation 活用」とともに「屈折/語形変化 inflection / inflexion」として併称されるものだ。

英語文法のようにいえば、当該の名詞が主語であるか目的語であるか等によって格が違い、語尾が変わる。

この名詞などの格変化があるおかげで、基本的にラテン語は語順に拘泥しない。

印・欧語族が屈折語といわれる所以だ。ちなみにこれに対置して、日本語は「膠着語」とよばれる。語尾が変化すのではなく別の「語」が「膠着」していくからだ。

名詞は一般的に、「 gender 性」・「 number 数」・「 case 格」

によって曲用し、

動詞は一般的に、「 mood 法」・「 tense 時」・「 voice 態」・「 number 数」・「 person 人称」

によって活用する。

ラテン語の名詞の場合は「格」が主格、呼格、属格、与格、対格、奪格、の6格がある。

通常のラテン語の辞典では名詞の「見出し」で、単数の「主格」と「属格」が示される。

格の(語尾)変化は5種類で、基本的に不規則変化のない「規則正しい」言語だ。

indictio」の格変化は次のようになる。

 

単数

複数

主格

indictio

indictiones

呼格

indictio

indictiones

属格

indictionis

indictionum

与格

indictioni

indictionibus

対格

indictionem

indictiones

奪格

indictione

Indictionibus

主格は「語尾」がなく、あとは、ninisnenemnesnibusという語尾がつく。

◎ラテン語の発音

日本で本件が引用されるときの記述の殆どが、この名詞の「主格」を通常のラテン語の発音にした「インディクティオ」だ。

○奇妙な「言語」

カソリック教会で伝承されとはいえ、2000年以上の歴史があり、日用の話し言葉としては使われていないし、古代どのように発音されていたかは「想定」もしくは「慣例」でしかないのいに、そうしたものとして発音もされている奇妙な言語だ。

梵字とか読経や仏典など、東洋や日本でも同じような奇妙な「言語」がある。日本における漢文も妙な読み方をする。

○言語の相互乗り入れ

ラテン語は、各西欧言語に取り込まれたり、引用されたり、その逆もある中で、一方において、その語圏に合わせた「古代ラテン語」風のシンプルな発音で、たとえば英国では、ラテン語劇や教会や小・中学校からの「古文」の授業をはじめとして、日本での古文や漢文、或いは、時代劇での古日本語以上に広く使われている。

中国の言語が、日本やアジア諸国に時代、地域、分野それぞれにいかに影を落としているかで想像できよう。より精確に言えば、全ての言語は互いにそういう関係であり、それこそが言語なるものの本質といえよう。

言語は文化であり、文化は言語である。文化の多様性、社会の多様性は、言語の多様性と通底している。

○言文一致だった古代言語、変化する言語

とまれ、現在では、結果的に大概、アルファベットの原音を保つような感じで、日本でのローマ字読みのような素直な読み方になる。語尾のtioは素直にインディクティオであって、インディクショのようにはならない。実際的にも発生間もない書記言語として「言文一致」していたと推察できる。

一方、古仏語を経由する、この暦のインディクティオを意味する英語は indiction と綴られるが、発音はインディクティオンにならず、インディクションと英語として英語風に発音される。

アクション、インフォメーション、イマジネーション、コンディション、ステーション、フォーメーション等と同じように「ション」と発音される。

発音が変化、転訛したのに、書記法は変わらなかったのだ。日本語の「は」と「ワ」のようなものかもしれない。

ラテン語でindiction という単語があれば、日本語の資料の一部にあるように「インディクティオン」と発音されるだろうが、実際はないようだ。現代のドイツ語やロシア語など他の西洋諸語でも違うようだ。

では、次回より「暦」に戻ろう。

続く

この項は、筆者が作成した、
の解説の一部です
この補題の最初は
です

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