CGIARの出資者、資金の配分、ジーンバンク、NPOの境目の組織 [2012年09月24日(Mon)]
<承前>
2010年のCGIAR経理報告(以下本稿1ドル=80円で参考のため概算)によると、総収入、6億9,600万ドル(557億円)のうち収益の2,330万ドルを除いた6億7,300万ドル(538億円)の内、メンバー国・組織によるCGIARへの拠出金額は5億8,400万ドル(467億円)だった。 これは、65のメンバー国・組織のうち61がCGIARへの拠出金の前年比11%の伸びによるところが大きい。上位15カ国は次のようであった。 米国――――――――――8,630万ドル(69億円) ゲイツ財団―――――――7,130万ドル(57億円) 世銀――――――――――5,000万ドル(40億円) 英国――――――――――4,910万ドル(39億円) EC――――――――――4,270万ドル(34億円) 以下、加、豪、スイス、ノルウェー、独、日、蘭、スウェーデン、ベルギー、アイルランド。 同年の支出内訳は人件費 43%、諸経費 27%、コラボ・パートナーシップ経費 18%、旅費 8%となっている。 そして、上記収入で各傘下組織個々に分配されている金額により金額順に並べると次の通り。 IFPRI 国際食料政策研究所―――――――――――――――――――7,050万ドル(56億円) ICRISAT国際半乾燥熱帯作物研究所―――――――――――――――6,470万ドル(52億円) CIAT 国際熱帯農業センター―――――――――――-―――――――6,220万ドル(50億円) CIMMYT国際トウモロコシ・コムギ改良センター―――――――――6,080万ドル(49億円) IRRI 国際稲研究所――――――――――――――――――――――-5,840万ドル(47億円) IITA 国際熱帯農業研究所―――――――――――――――――――-5,220万ドル(42億円) ILRI 国際畜産研究所―――――――――――――――――――――-4,440万ドル(36億円) ICRAF国際アグロフォレストリー研究センター――――――――――4,210万ドル(34億円) Bioversity International 国際生物多様性センター――――――――3,950万ドル(32億円) ICARDA国際乾燥地農業研究センター――――――――――――――3,940万ドル(32億円) CIP国際馬鈴薯センター――――――――――――――――――――3,410万ドル(27億円) IWMI 国際水管理研究所―――――――――――――――――――--3,080万ドル(25億円) CIFOR国際森林・林業研究センター―――――――――――――――2,710万ドル(22億円) AfricaRiceアフリカ稲センター―――――――――――――――――2,240万ドル(18億円) ICLARM国際海産資源管理センター/ワールドフィッシュセンター―-1,770万ドル(14億円) 総職員数8,559人の内、国際採用は 1,278 名、各国採用は 7,281 名。内、前出の外務省地球規模課題総括課省資料によると、日本人職員/研究者は ( 2009 年) 33 名。 最後に。CGIARがどの程度の世界的影響力をもつかをみるために、少し古いが、遺伝子資源の保有について、農林水産省の農林水産技術会議の農林水産研究開発レポート No.25(2008)「農業を支える基盤リソース−遺伝資源−」の図3「 植物遺伝資源の保存点数の比較」(2006年実績)を紹介したい。 <国内> 農林水産省 農業生物資源ジーンバンク(2005年実績) ――――――241,000 (イネ 44,000 、ムギ類 62,000 、マメ類 18,000) 文科省 遺伝研 ――― 13,000 (イネ) 大学 岡山大 ――― 10,000 (オオムギ) 横浜市立大 ― 16,000 (コムギ) 京都大 ――― 20,000 (コムギ) 都道府県 北海道 ――― 33,000 <海外> アメリカ ―550,000 中国 ―――350,000 ロシア ――333,000 インド ――342,000 CIMMYT ―137,000 (コムギ・トウモロコシ) ICRISAT ―110,000 (マメ等) ICARDA ―109,000 (オオムギ) IRRI ――― 81,000 (イネ) CGIARについては多くの話題があるので、将来、また紹介したい。 一つ、留意いただきたいのは、CGIARのような組織は、四つの境にあることで、NPOとは何かを見つめていくのに恰好の対象であること。 NPO(非営利組織)とFPO(営利組織)の境、 GO(政府組織)とNGO(非政府組織)の境、 ローカルとグローバルの境、 ドメスティックとインターナショナルの境、 にあることだ。CGIARは「農業」という分野であることもあって、そうしたことがより鮮明に理解しやすくもあるが、CGIARのような組織は他の分野でも多々あるので、NPOとは何かであることを考えるために、折に触れて紹介したい。 |