「完全版」米国NPOナビ--セクター間の協働 [2006年05月11日(Thu)]
GuideStar=ガイドスターは米国の全てのNPOについての情報をインターネット上で提供する「完全版」米国NPOナビの呼称で、Philanthropic Research=フィランソロピー研究所によって1994年に設立され、運営さているものです。
http://www.guidestar.org/about/ 米国ではIRC(Internal Revenue Code=内国歳入法)に基づき、日本の国税庁に相当するIRS(Internal Revenue Service=内国歳入庁)に対し、多数の「サラリーマン」が源泉徴収を通じて納税する日本と違い、大多数の個人を含めた納税者が納税申告書を提出し、納税する制度をとっています。 ガイドスターでは、IRSが受領する納税申告書のうち、全ての課税控除を受ける非営利組織のものについて、スキャニングされた書類並びにデジタル化された約300項目のデータをIRSから直接電子的に受けとっています。 上記のデータを中心に、約150万を数える非営利団体のデータを中心にして、米国の約10の助成財団よりなる支援コンソーシアムからの支援を種にした年間予算1200万ドル(14億円)の予算で、日々2万人の利用者に対し情報を提供しています。コンソーシアムからの支援もあって、一般向けの通常のデータは無料ですが、助成財団関係者などプロ向けの最高で年会費1000ドルでの情報提供しています。 2002年に来日した創設者Buzz Schmidt=バズ・シュミット氏のセミナー記録にもある通り、この仕組みの要は、IRSとPhilanthropic Researchが民間助成財団界の三者による官民協働事業であることです。立ち上げ方も、前哨戦として、民間助成財団界の支援を受けたPhilanthropic ResearchがIRSに納税申告諸読み込み用のスキャナーを提供するいうところからはじまる、ギブ・エンド・テイクが上手く仕組まれています。 http://www.jcie.or.jp/japan/cn/n02/guidestar.html この仕組みは、英国にも伝わり、2003年にはGuideStar UK=ガイドスター英国として設立されました。「公」であるCharity Commission=チャリティ・コミッション(「慈善組織」を「評価」する「独立」組織)と「官」であるHome office=内務省(ACU=Active Community Unit =地域ボランティア活動担当部署)並びに「民」であるnpoのInstitute for Philanthropy=インスティテュート・フォー・フィランソロピーの三者の協働事業としてはじまっています。 http://www.guidestar.org.uk/guidestar.aspx Charity Commissionがどのような「公」なものであるかについては別の機会に譲りたいと思いますが、英国ガイドスターの場合は資金源がInvest to Save Budget (ISB)=「予算節約のための投資」というCabinet Office.=内閣府とTreasury=財務省の2官庁共管によるプログラムからの支援という形になっています。 http://www.guidestar.org.uk/pdf/20_03_03.pdf このプログラムは二つ以上の公的機関が協働して実施する事業に資金提供するもので、米国同様、官民など旧来のセクター、サブ・セクター間のの垣根が後ろ向きにいえば「崩れる」、前向きにいえば「再編」、過渡的な仕組みがこうした試みに該当するという意味でも興味深いものです。 |