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民間非営利助成財団の両雄、商業メディアへの支援開始--メディアとは?非営利とは?非政府とは? [2012年08月01日(Wed)]

The Chronicle of Philanthropy によると、フォード財団は昨31日、The Washington Post ワシントン・ポストに50万ドル助成することを発表した。

同財団は、これまで公共放送への支援は行ってきたが、商業メディアへの支援は5月の Los Angeles Times ロサンゼルス・タイムへの100万ドルに引き続き、これで2件目で、今後増やしていく予定。

ロサンゼルス・タイムスは移民問題等の報道強化だったが、ワシントン・ポストは市、州、連邦各政府についてのアカウンタビリティを報道するための4っつのニュースルーム職を設けるためで、3年間助成の予定。

The Bill & Melinda Gates Foundation ビル&メリンダ・ゲーツ財団も The Guardian に250万ドル、 ABC News に150万ドル、The Chronicle of Higher Education 等の商業メディアに世界の健康、貧困、そして米国の教育のために助成してきている。

COP紙ではこうした傾向が続くことは、非商業メディアにとって競争相手が増えることになり脅威となろうと報じている。また、報道の独立性への脅威ととらえる意見も紹介している。

ここでは3つの点に着目したい。

一つは既存の商業メディアもしくは非商業メディアへの支援という動きだ。

営利、非営利にかかわらず、いわゆるマス・コミ、マス・メディアといわれてきたものとは何かという問題だ。

かつて、ワールド・スタディーズの一手段として、高校生たち自身を、体育館の床に描いた世界地図に政治区分、人口比に応じて配置して、世界政治を味あわせる、ワールド・ゲームとよばれる米国発のシミュレーション・ゲームがあった。インドも中国も数十人と人数が多いのだが、インドの大半はマスクをして喋ってはいけないことになっていた。識字率の反映だ。

そんな配分の中で、国際機関役が何人かいるのはともかく、数人のマスコミ役を配置することが印象的だった。子供たちに、良くも悪くも、国際社会でのマスコミの果たせる、果たす役割を実感させるのだ。第4権力だ。

311、或いは最近の官邸前デモ、地中海革命のようにネットを通じたメディアの役割も浮上してきている。

紙であろうが、電波であろうが、ネットであろうが、メディアといっても、かつて「プロフェショナリズム」に彩られた「世論」という不思議な言葉が奇妙ながらも通じていた時代から変わってきた現在だ。それは送り手の個人化やP2Pという側面以上に、情報開示、或いは日本でいう説明責任、アカウンタビリティという社会の要求に受動的に反応せざるを得ないメディアなるものの側面を、人間社会がどのように仕掛けられるか、問われていることだと思う。

もう一つ注目しておきたいのは、非営利から営利へのサポートというものだ。

非営利と営利の境目の不鮮明化だ。CSRがノン・ペイド・ワークとすると、それらとペイド・ワークとの境目だ。別項での連載に任せたい。

さらに、もう一つ注目しておきたいのは、米国における、これまでの資本主義、自由主義下の民主制度の申し子というべき政府や議会と、非政府の助成財団との緊張関係だ。これも、今回は簡単に触れておきたい。

カーネーギー、ロックフェラー、或いはフォードとった「資本」が、社会問題の深刻化、或いはそれらに対応するために政府が肥大化、社会主義化する懸念から、政府に任せず直接「公益」事業に投資し始めた時代。その後、第二政府ともなり得る、財団の影響力の増大に歯止めをかけようとした時代。そして、政府のアカウンタビリティのチェックに財団が起動し始めたことだ。

これも、いずれかの機会に詳しく触れたい。
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