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ガリレオの望遠鏡、レンズ、ヴェニスのアースナル―カトー研究所―国境なき記者団(報道の自由その65) [2010年11月04日(Thu)]

承前

ガリレオ自身がレンズを研磨したといわれることを含めて、ガリレオが作った望遠鏡については多数作ったとされながら、製作の記録のようなものを含めて、直接的に確定する材料はないようです

現存物、本人の文書での直接の言及、他人の文書での言及、或いはレンズに関する文書、そして、ガリレオ本人が望遠鏡を使用した結果得られた観測や分析から、いずれも帰納的に類推されており、そのこともあって、精度や倍率、製作数について諸説あります。

現存物は少なく、たった二つの望遠鏡と割れたレンズ一つです。いずれも、ガリレオが生前の頃まで遡って、「ガリレオ製」といわれていたことは確かなようで、そのようにいわれてそれなりの風雪はありながら大事に保管されてきました。しかし、これらとて、ガリレオ自製だというには、残念ながら、否定する根拠がない一方、完全に断定する決定的な根拠もないようです。

使用したレンズについては、最終的にメディチ家の工房の Ippolito Francini イポリット・フランチーニ(1593-1653)に出会うまではヴェニスの友人のGiovanni Francesco Sagredo ジョヴァンニ・フランチェスコ・サグレド(1571–1620)の仲介を得て、ヴェニスのMurano ムラノの 鏡職人の Girolamo Bacci ジロラモ・バッチや眼鏡職人 の Armannoアルマーノから入手していたと推察されています。

また、そもそもガラス自体を作ったかどうかは別として、眼鏡などのレンズとして商品化されたものをさらに最終的にはガリレオ自身が研磨したと考えられるくらいなので、史実として解釈するのあたって、中間で研磨を加えた人たちとの区分も難しいようです。

ガリレオが顧問をつとめ、頻々に通っていたArsenale di Venezia ベニスのアースナルで働いていたところを見出され(1597)、家族ともどもガリレオのパドゥアの家に住み込み、計算尺などの製作をはじめ手伝ったとされる職人、(Maestro) Marcantonio (/Marc’ Antonio) Mazzoleni マエストロ・マークァントニオ・マッツォレーニ(? – 1632) も多分に手伝ったと考えられています。

因みに、造船所などと訳される元々はアラビア語のdar as-sina'ah(工場)が語源といわれるヴェニスの、元祖、アーセナルの存在は、海洋国家ヴェニスと表裏一体です。アーセナルは、おそらく史上初めて、各地から優秀な職人・技術者を多数集めることとなった造船という巨大産業を中心にした産業センターで、技術史上、産業史上はもとより軍事史、欧州史、世界史の文脈の中で大きな位置を占めていると考えられますが、いずれ機会を改めて紹介したいと思います。

さて、レンズについては、様々な逸話があります。例えば、入手したレンズ300のうち、使えるものは3つしかなかった、、、、等という Sagredo サグレドからガリレオの手紙(1616.04.23)があります。或いは、フランチーニは類稀な才能だったため、ガリレオ用に、特別に例えば太陽観測用に、青いラピス・ラズリのレンズを作ったともいわれ、また、その後彼自身が作ったとされる望遠鏡が残されています。様々です。

因みに、最初の頃、レンズの入手に仲介の労をとった上記のサグレドは、あの「天文対話」で「ガリレオ」役のサルヴィアチ、と「シンプル」な役のシンプリチオの間にたつ、第三の人物、サグレドのモデルになっています。

続く
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