元祖 菩提樹の仲間―カトー研究所―国境なき記者団(報道の自由その34) [2009年04月28日(Tue)]
承前
さて、菩提樹の由縁とその仲間たちを紹介します。 インドの釈迦族のゴータマ・シッダッタ(Gotama Siddhattha)が、心身を衰弱させることとなった苦行を6年目にして終えます。、沐浴ののち、ガヤー村(Gaya)のとある木の下で、気力の回復を図るため、樹の下で49日間の観想に入りました。このとき村の娘、スジャータ(Sujāhtā)(あの名古屋製酪株式会社を中心とした「めいらくグループ」の「褐色の恋人」、コーヒー・フレッシュの商標名はこの娘に由来しています)から「乳かゆ」の布施を受けます。そして、ついに12月8日の未明に大悟、悟りを開き、すなわちは仏陀(Buddha)と尊称されるよう覚醒者、大悟者になりました。 以降この村はブッダガヤ(Bohdi Gaya)と呼ばれるようになり、木のあったところは世界遺産になった大菩提寺(Mahabodhi)ができ、木そのものはBohdiと呼ばれるようになったといわれます。「Buddha=ブッダ」が「仏陀」となったように、「Bohdi=ボーディ」とよばれたものが中国で音訳されて「菩提樹」になったわけです。この木は学名、Ficus religiosa、すなわち宗教的無花果、とよばれます。今日、日本ではインド菩提樹、中国では菩提樹と呼ばれていますが、英名ではPeepal, Bo tree, bodhi tree, holy treeなどとも呼ばれます。 また以下の通り、「まさらな日々(インド発信)」http://blog.livedoor.jp/samvisham/によりますと、 ヒンディー名..........Pipal サンスクリット名...ashwattha, bodhivriksha, plaksha マニプリー名.........Sana khongnang マラーティー名......pimpal タミル名.................aracu マラヤラム名.........arayal テルグー名............bodhi-drumamu, raavi カンナダ名.............arali, ashvattha ベンガリー名.........asbattha オリヤー名............jari コンカニー名..........pimpal ウルドゥー名.........peepal グジャラーティー名..piplo などと呼ばれるようです。 同じくインドにはインドの東やバングラデシュなど、ガンジス川の河口域のベンガル地域を原産地の一つとするFicus benghalensis ベンガル菩提樹というものもあり、これは英語ではbanyan treeあるいはIndian banyan、east indian fig-treeともよばています。高さ30メートル、直径100メートルに達するものもあるそうです。葉は卵形で、「インド菩提樹」のように先端が尾状にならないそうです。そして、インドの地方によってはこのベンガル菩提樹を夫に、インド菩提樹を妻に遇し、一緒に夫婦として植えられるそうです。 また、前述の「まさらな日々(インド発信)」によりますと、 ヒンディー名.........bargad, bargat,badh bar,bor,Barh サンスクリット名..Vat マニプリー名........Khongnang taru ウルドゥー名........Bargad タミル名................Alai テルグー名...........Marri chettu などと呼ばれるようです。 苦行の末の覚醒はいくつかの宗祖にみられる話ですが、仏教ではキリスト教の「聖書」のように「正伝」が限られていないこともあり、このスジャータや覚醒をめぐる話は「仏典」によって様々の異同があります。因みに、中国を通過した仏教で、スジャータは「よきカースト」という原語からの漢訳で「善生」とよばれます。 ベンガル菩提樹にはFicus benghalensis 'Krishhnae'(クリシュナボダイジュ)というものもあり、これは葉がカップ状になるため英語ではKrishna's cup、Krishna's butter cupと呼ばれ、これはこれでヒンドゥー教のビシュヌ神の化身の一つ、あるいは宗派によっては最高神とされるクリシュナに由来しているそうです。 植物の名前が宗教をはじめ文化、社会や歴史が育み、複雑に入り組んでいる様相はこの二種の「菩提樹」からだけでも垣間見えます。 続く xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx 「報道の自由」はここから始めました。 「閑話休題」の....... 最初はここです。 直近はこれです。 |