酒とタルタル−国境なき記者団(報道の自由その11) [2008年02月07日(Thu)]
承前
「報道の自由」はここから始めました。 殺菌といえば、牛乳などで見かける、低温殺菌法のことをPasteurization パスチャライゼーションといいます。これは、最近のパン・エピデミック不可避論で、良く登場するようになった、あのワクチンで有名な「微生物学の祖」、Louis Pasteur ルイ・パスツールに因んでいます。 Louis Pasteur ルイ・パスツールは、ナポレオン軍の退役軍人である貧しいなめし皮職人の子として、以前紹介したジュラ地方に生まれ、学力優秀のため、アンシャン・レジームの崩壊を受けて広く人材育成するための機関として, フランス革命の申し子としても知られ、日本でも今日知られるようになったgrandes ecoles グランゼコールの一つであるパリの Ecole normale superieure 高等師範学校で最初は物理そして化学の学徒となります。 パスツールは化学者としては結晶の鏡像、chiral molecule キラル分子を発見します。分子式は同一だが構造が違う分子である異性体isomerの中でも、分子構造が鏡で見るように、掌のように、ある意味「僅差」の違いである単に面対称の違いしかない「対」になった異性体をenantiomerエナンチオマー =対掌体=鏡像異性体同士をさします。これは、ワインの澱に溜まるtartaric acid 酒石酸が偏向現象を示すのに、人工的に合成された酒石酸では偏向しないことから発見にいたっています。 ちなみに、酒石酸の英名のtartaricは、酒石酸が地獄の業火のごとく燃え盛る物質であることから、冥府の神ハーデースよりさらに下にある奈落ならびにそこを司る神Ταρταροs = Tartaros タルタロス から命名されているといわれます。因みに、生肉料理のタルタル・ソース、タルタル・ステーキそれから安彦良和のマンガ「韃靼タイフーン」の韃靼人、タタール人、タルタル人もtatar と r のあるtartar が意図的に、もしくは、無意識に入れ違ったというはなしも含め、今日では語源的に同じ系統に感覚的にはくくられます。 続く (本ブログでは、フランス語のアクセント記号等については、文字化けが避がたいため、問題あるとは思われ、また、残念ですが省略します) xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx 「閑話休題」の....... 最初はここです。 直近はこれです。 |