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【8/11 新日本フィル演奏会記録】新クラシックの扉より、サン=サーンス「オルガン付」 [2012年08月12日(Sun)]
【サン=サーンス:オルガン付】

サン=サーンスのシンフォニーの中で最もメジャーな3番。
表題の通りオルガンを伴う曲なので、演奏をできる会場が限られています。

本日のトリフォニーホールの他には、赤坂のサントリーホール、池袋の芸術劇場、上野の文化会館など、都内でも有数のコンサートホールでしか演奏されません。
いわば聴く機会の限られるシンフォニーの一つなのです。

オルガンの響きは、あの巨大な楽器からハーモニーが奏でられたとき、地を這ってまるで身体の中にまで共鳴するような感覚を伴います。
そこにオーケストラのffサウンドが加わったときは、今までに感じたこともない迫力を味わうことができるのです。
これはCDの録音では実現不可能です。実際にライヴでしか味わうことのできない感覚のひとつですね。




このオルガン付という曲は4楽章構成ですが、厳密には2部構成で、それぞれに前半と後半に分けて演奏されるのが通常です。

曲中で僕が一番感動したのは、第1部後半の弦セクションのメロディでした。
指揮の山田和樹さんのリーディングはもちろんですが、弦楽器のそれぞれの奏者が自然に音楽をしようという意思が、音となって空気を伝ってきました。
オルガンや金管楽器の迫力のあるサウンドとのコントラストが栄えていて、1部後半箇所がより際立っていた印象を受けました。


ちなみに、このオルガン付からホルンセクションはこの日初めての4人体制になります。
1stは変わらず吉永さん、3rdは金子典樹さんという男性の方でした。

この金子さん、実は僕が中学時代からファンのうちの一人だったのです。
プロホルンのアンサンブル団体で「アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン」というものがあり、そのメンバーの1人でした。
当時から凄まじいハイトーン奏法で、演奏の憧れの一人としていつも聴いていました。

アレキサンダーホルンアンサンブルジャパンの公式サイトはこちら(更新は止まっています)

その金子さんが本日のオルガン付では、文字通り大車輪の活躍でした。
この曲は3rd奏者の方が1st奏者よりも譜面の難易度が高く、1人で目立つパッセージを演奏することが多いのですが、
2部後半などの難しいフレーズも、金子さんはかっこよく演奏されていました。

楽器をしっかりとfで鳴らしながらフレーズを吹くのは相当難しいのですが、そのようなパッセージもハイクオリティの演奏を聴かせてくれる金子さんは、昔から僕の中では変わらないなとも思いました。

CDアルバム「ジュピター」はこちら。「ジュピター」収録の「ホルスト木星:ホルンアンサンブルVer.」は凄まじい演奏です。一見の価値あり。


また2部の後半においては、オルガンのdur和音が力強く奏でられた後、金管楽器がfのハーモニーをつくります。
本日の演奏会では、管楽器全員がこの場面でベルアップをして演奏をより盛り上げていました。

特に曲中ずっと通して、トロンボーンの輝きが突出していました。
こんなに興奮するトロンボーンセクションは聴いたことのないくらい、首席の箱山さんを始めとしたサウンドに終始鳥肌ものでした。
今後はあのトロンボーンのサウンドを目当てに演奏会を聴きにいこうと思うくらい、ファンになりました。そのくらいスゴイです



023.JPG本日のアンコール曲です。オルガン付の後は、ビゼーの「アルルの女」よりアダージェットでした。


【指揮者:山田和樹さん】

今回の指揮者は、若干33歳にして日本フィルハーモニー交響楽団の正指揮者に就任する山田和樹さんでした。
2009年のブザンソン国際指揮者コンクールで優勝した輝かしい賞を受賞しています。

指揮は終始王者の貫録を感じさせるオーラを放っていたように感じました。
佇まいから、とても30歳と少しには見えませんでした。

まだ1回の演奏会しか拝聴していませんが、今日だけでも山田さんの素敵な人柄を垣間見ることができました。
鳴り止まない拍手が聴衆から自分に対して送られていても、あくまで奏者をリスペクトして称えあう姿勢には、謙虚さを感じさせました。特にカーテンコールにおいては、そういったシーンが多く見受けられました。

今後一層飛躍していく指揮者の方なのかなと、噂ではなく今日で僕の中でも確信に変わったような感じです。これからも積極的に応援していきたいですね。

***


本日の記事はこれにて終了です。

次回は9/1(土)に。これまたトリフォニーホールにて「新クラシックへの扉」シリーズを聴きに行ってまいります!
最後までお読みいただきありがとうございました。

中村裕貴


【新日本フィルハーモニー交響楽団 HP】
http://www.njp.or.jp/

【萩原麻未さん】
http://jp.yamaha.com/sp/products/musical-instruments/keyboards/pianist-lounge/hope/005/

【8/11 新日本フィル演奏会記録】新クラシックの扉 [2012年08月12日(Sun)]
本日は新日本フィルの「新クラシックへの扉」シリーズの演奏会に聴きにいきました。
このブログを立ち上げてから、記念すべき初めての演奏会となりました!

今回の演奏会の「新クラシックへの扉」シリーズは、年に8回、それぞれ金曜と土曜の14:00から行われています。サントリーホールとすみだトリフォニーホールで行われる定期演奏会とは別で、客演の指揮者による演奏を楽しめるのが大きな特徴です。

今回の会場は錦糸町駅にあるすみだトリフォニーホールでした。ここは新日本フィルの本拠地でもあり、僕も何度か足を運んだことがありました。

そしてなんと、今回は1階の後方という素晴らしい席で聴くことができました!
インターネット経由でチケットを手に入れたのですが、学生席はS席が2,000円!
馴染みのない方には分からないと思うのですが、これ物凄くお買い得なのです。
例えばトリフォニーホールで海外のオーケストラの演奏をS席で聴いたら、軽く2万円程度は飛んでいってしまうのです。

学生でも聴きに来やすいように、という楽団の配慮が伺えてすごく嬉しく思っています。


019.JPG公演のチケットです

本日のプログラムは以下の通りでした。
(こちらでもご覧いただけます=新日本フィル公式ページ)

***

◆ラヴェル
亡き王女のためのパヴァーヌ

◆ラヴェル
ピアノ協奏曲 ト長調(Piano:荻原麻未)

◆サン=サーンス
交響曲第三番 ハ長調「オルガン付」op.78(オルガン:室住素子)

コンサートマスター:崔文洙
指揮:山田和樹

***

【ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ】

冒頭のホルンソロは首席奏者の吉永さん。
綺麗な出だしと伸びる音のヴィブラートが美しく、思わず目を瞑って聴いてしまいました。

7分という短い時間でしたが、オーケストラのサウンドが洗練されて美しく、初めて生で聴く新日本フィルの音のライヴ感を味わうことができました。

下の動画は新日本フィルの演奏ではないですが、曲を聴いたことのない人は試聴してみてください。




【ラヴェル:ピアノコンチェルト】

ピアノソロは、2010年第65回ジュネーヴ国際コンクールピアノ部門で日本人初優勝をされた、萩原麻未さんでした。

萩原麻未さんのインタビュー

曲はラヴェルのピアノコンチェルトでは最もメジャーな1曲です。ドラマから映画にもなった「のだめカンタービレ」でも、この曲は使われていました。

3楽章構成になっており、聴きどころは2楽章前半のピアノ独奏部分でしょうか。
また後半部分のイングリッシュホルンとの掛け合いは、息を飲むほど繊細で美しく、オーボエ奏者なら一度は憧れるパッセージなのではないでしょうか。

またホルンを演奏している身として気になるのは、1楽章の5分あたりにでてくるホルンソロです。
ピアノソロが休みの中、ソロホルンがpでハイトーンのメロディを演奏します。
このpで長いフレーズ(しかもハイトーンで!)を演奏するのが我々ホルン吹きにとっては格別に難しいのですが、本日の首席の吉永さんは見事に決めていらっしゃって、これまた感服でした。

ジュネーヴ国際コンクールのときの荻原さんの演奏は、1楽章のみですが下記のURLで聴くことができます。


荻原さんの凄まじいところは、そのピアノに向き合う姿だなと感じました。

ひとたびピアノの前に座ると目の色が変わる。
決して言葉面ではなく、今日の演奏では本当に演奏中の緊張感が張りつめていました。

これが演奏家の姿勢であり、ライヴでしか知ることのできないもう一つの”演奏”だなという感じを受けました。

荻原さんのピアノ、本当にブラボーでした。
正真正銘の「鳴り止まない拍手」。今でも脳裏に焼き付いています。

(前半終)