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【12/22(土)新日本フィル 新クラシックへの扉】ベートーヴェン:交響曲第9番『合唱付き』 指揮:リュウ・シャオチャ [2012年12月23日(Sun)]
こんにちは、中村裕貴です。

昨日はベートーヴェン『第9』演奏会に行ってきました。

***

12月22日(土)14:00開演 会場:すみだトリフォニーホール

#26 新・クラシックへの扉

■プログラム    
ベートーヴェン作曲 交響曲第9番ニ短調『合唱付き』 op.125  

■出演者
指揮:リュウ・シャオチャ(呂紹嘉)
ソプラノ:天羽明惠
アルト:加納悦子
テノール:永田峰雄
バリトン:キュウ・ウォン・ハン
合唱:栗友会合唱団
合唱指揮:栗山文昭

※新日本フィル公式HPより

***

個人的には初めての第九演奏会!ということで前々からこの演奏会を非常に楽しみにしておりました。


せっかくなので、佐渡裕指揮の『1万人の第9』の動画をご紹介します。


【交響曲第9番『合唱付き』/ベートーヴェン】

あまりにも有名な4楽章の合唱ですが、今までCDで聴いていただけだったので、ライヴで聴く迫力は鳥肌ものでした。

実は新日本フィルは、今回の『新クラシックの扉』が終わってからも、年末にかけて第9演奏会が数多く控えているのですが、そのような状況下でも指揮のリュウ・シャオチャ氏の情熱溢れるタクトにのって魂の入ったサウンドがこちらに届いてきました。

ホルン吹きとしては、なんといっても3楽章!
3楽章全体を通してこれ以上とないほど美しい音楽である中で、中間部にあるホルンソロのB(H)dur音階はまさに天に昇るように美しいのです。

思わず気持ちよくなってしまうそんな3楽章を経て、フィナーレへ。
静かに始まるチェロとコントラバスによる「歓喜の歌」のメロディが、まるで遠くで演奏されているかのような夢見心地。
徐々にヴァイオリンや木管楽器が受け継いでいき、最後は金管楽器が高らかに歌い上げる。

突如として現れる轟かしいサウンドの後、バリトンの声が会場に響き渡りました。
コーラスを含めたオーケストラの壮大な響きには、終始圧倒されていました。

あっという間に曲は終了し、会場は拍手の嵐。

年末の風物詩とも言われているベートーヴェンの第9ですが、これで僕も素敵な年越しを迎えることができそうです。

中村裕貴

***

【新日本フィル 公式HP】
http://www.njp.or.jp/
【11/28(水)第501回定期演奏会 サントリーホールシリーズ】チャイコフスキー交響曲第4番、バレエ音楽『春の祭典』 指揮:ダニエル・ハーディング [2012年11月28日(Wed)]
みなさまこんばんは。中村裕貴です。

今日はサントリーホールにて行われた、新日本フィル第501回定期演奏会に行ってきました!

046.JPGカラヤン広場はイルミネーションが綺麗でした

これまで数々の演奏会に行きましたが、これほどまでに濃いものは初めてだったかと思います。
なんとチャイコフスキー4番で始まる演奏会!

***

#501 定期演奏会
疾風怒涛・豪華満載ハーディング。興奮の坩堝に身を任せ


11月28日(水)19:15開演 会場:サントリーホール

■プログラム      
チャイコフスキー作曲 交響曲第4番ヘ短調 op.36  
ストラヴィンスキー作曲 バレエ音楽『春の祭典』  

■出演者
指揮:ダニエル・ハーディング
※新日本フィルハーモニー 公式HPより

***

とにかく言葉には表せられない程、肌で感動を味わいました!
以前から変わらず、新日本フィルの奏者の方々は全員が力を籠めて演奏されています!
その姿勢が音の魂となってこちらに感動を与えてくれます。

オーケストラの膨大なパワーで感動をしたい方は、ぜひ新日本フィルの演奏会に足を運んで下さい!

写真 (1).JPG

指揮者はロンドン響など数多くの海外オケでの実績のあるダニエル・ハーディング氏。
あの小沢征爾氏から新日本フィルを継ぐと言っても過言ではない、間違いなく新日本フィルの今後を担う指揮者の1人であります。



【交響曲第4番/チャイコフスキー】

冒頭のホルンから始まり、終始落ち着いたテンポの1楽章。
ハーディング氏の明確に拍をもたせる音楽に、冷静さの中でも緩急の豊かな楽章となっていました。

金管楽器も決して乱暴にはならず、音のアタックの細部まで気を遣われていたのがとても印象的でした。

美しいオーボエのソロから始まる2楽章。
クライマックスの弦のtuttiは鳥肌ものでした。

弦のピッツの一体感が輝いていた3楽章を挟み、オーケストラは一気に4楽章の盛り上がりへ。

1楽章とは打って変わって前へ前へ進む音楽に。
ハーディング氏の全力投球のタクトで、息遣いまでこちらに伝わり、自分自身もオーケストラと共鳴しているかのように興奮が収まりませんでした

この曲ではホルンは6管でした。
何名かトラがいたのに関わらず一体感があり、これぞチャイコフスキーのホルン!という気持ちいいくらいのパリッとした音色を聴くことができました。

上にも書いた通り、新日本フィルは奏者1人1人の音楽が本当にこちらに伝わってくるのです。
それはコンマスの崔氏を始めとした弦セクション全員であってもそうであり、
1人1人が今にも飛び上がりそうなくらい感情を込めた演奏をするのです。
そんなプロのオーケストラが新日本フィル以外どこがあるでしょうか!?



【春の祭典/ストラヴィンスキー】

言わずと知れた、ストラヴィンスキーの名曲。
随時変拍子が続き、聴いている側も拍が途中で分からなくなってしまう程です。

ノンストップで続く35分間でしたが、ハーディング氏の熱の籠った"左手"の指揮が、脳裏に焼き付いています。
一体感という言葉が安っぽく聞こえでしまうほど、全身全霊のオーケストラでした。

静寂の中から始まるFg河村氏のソロは、これから何か奇妙なことが始まるのではないかと思うくらい、一気に『春の祭典』の世界に引き込まれる演奏でした。
カーテンコールではハーディング氏も迷わず河村氏を指名されておられました。

そしてやはり僕はホルン奏者に注目してしまうのです。
井手氏と金子氏のハイノートはとにかく感嘆でした。僕のような奏者では、あの楽器からどうしたらあのような音が出るのかが分かりません(笑)



【本日もオーケストラの友人たちと】

そして今回の演奏会には前回に引き続き同じオーケストラの友人と一緒に拝聴しました。
実は以前にこのメンバーで本日のプログラムであるチャイコフスキーの4番を演奏したことがあり、個人的にもその時のことが思い出されました。
(この曲は、音を聴くだけで「あぁ、あいつが吹いているところだな」と顔まで思い出してしまうほどなのです)

みな今まであまり新日本フィルの演奏会には来たことがなかったそうです。
中には今日が初めての新日本フィルという者もいました。
ですが、口を揃えて「誘ってくれてありがとう!」との言葉をもらいました!

演奏の感想を聴くと、
「今まで聴いた4番の中でも一番よかった」
「みんなが本気で演奏しているから、いい意味でプロじゃないみたい!」
「全力さが伝わって熱い演奏だった」

などと言っていました。

確かにこういった意見は同感で、僕も新日本フィルが好きになったのは、その演奏が沁み渡るように身体に共鳴していく感動を得られたからなのです。

また今日のように友人を誘って、一緒に演奏の感動を共有していきたいなと思いました!

051.JPG今日は彼らと一緒に聴きました。ありがとう!

終演後はいつも大変お世話になっている佐藤様の元へ。
今日も全員で御挨拶ができてよかったです。本当にありがとうございました。

今日はこれにて以上となります。
次回は12/22(土)の第九演奏会に行く予定でおります!
また記事にしたいと思いますので、みなさま今後ともよろしくお願いします〜!

中村裕貴

【新日本フィルハーモニー公式HP】
http://www.njp.or.jp/ 

【本日の演奏会詳細 公式HP】
http://www.njp.or.jp/archives/5095
【10/26(金)新日本フィル第500回定期演奏会】『トリスタンとイゾルデ』より前奏曲と愛の死、ベートヴェン交響曲第3番『英雄』 指揮:ドミンゴ・インドヤン [2012年10月29日(Mon)]
みなさんこんにちは。中村裕貴です。

先週金曜日の夜は、第500回定期演奏会に行って参りました!

***

#500 定期演奏会
祝500回!『英雄』は結成記念公演から


10月26日(金)19:15開演 会場:すみだトリフォニーホール

■プログラム
ワーグナー作曲 楽劇『トリスタンとイゾルデ』より 前奏曲と愛の死
ベートーヴェン作曲 交響曲第3番変ホ長調『英雄』 op.55

■出演者
指揮:ドミンゴ・インドヤン
※当初予定の指揮者、ヴォルフ=ディーター・ハウシルトの急病により、上記のとおり変更となりました。

***

記念すべき、新日本フィルの500回目の定期演奏会でした。
まずは、新日本フィル定期演奏会が500回記念ということで、
おめでとうございます!!

写真 (1).JPG

指揮者は、ヴォルフ=ディーター・ハウシルト氏が急病で来日することができず、代役としてドミンゴ・インドヤン(Domingo Hindoyan)氏が出演されました。

※ドミンゴ・インドヤン氏のプロフィールはこちら

ベルリン国立歌劇場で、あのバレンボイムのアシスタントを務めることが決まっている、エル・システマ出身の期待の新進若手指揮者ということです。

インドヤン氏は若干32歳(!)である上、今回の急遽の来日で2日のGPしか練習ができなかったというのに、実際に聴いた演奏は、素晴らしく感動しました。

148.JPG    ※新日本フィル 公式Facebookページより引用

【ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調『英雄』 op.55】

ベートーヴェンのシンフォニーの中でも、個人的にも大好きな『英雄』。
今回新日本フィルの記念演奏会で聴いたのが、生で聴く初めての経験となりました。

冒頭のE♭durのtuttiが2回鳴り響いた瞬間、そこは一瞬にして新日本フィルの世界が広がりました。
かねてより好んでいた管弦のバランスのとれたハーモニーが、インドヤン氏の手によって更に統一感を増していたような気がしました。

とにかく新日本フィルのハーモニーは美しい。
先月聴いた同じベートーヴェンの『田園』のときもそうでしたが、身体にスッと沁み込んでいく音色を奏でてくれるのです。

その後に続く弦と木管の流れるようなメロディも、金管のフォルテも、
それぞれのパーツが1つになって一連の音楽になっていく様子がとても気持ちがよかったです。



インドヤン氏の指揮は、エネルギッシュでとても印象に残る指揮でした。
リードが物凄く明解で、楽器ごとで異なるパッセージを立体的にまとめあげることが得意なのでしょうか。
それだけメロディが際立ち、場面ごとの移り変わりをより感じることができました。

これは終演後に新日本フィルの方々から伺った話なのですが、インドヤン氏指揮のオーケストラは、いつもと比べてサウンドが全く異なっていたとのことでした。
僕ではその微妙な違いまで把握することができませんでしたので、まだまだオーケストラの深みへの理解が足りていないのだなと感じた次第であります。

==========================================

そして今回は、僕と同じオーケストラに所属する仲間を5人連れて聴きに行きました!

僕たちは立教大学交響楽団に所属しており、今回聴いた『トリスタンとイゾルデ』を2月に演奏することになったのです!
(僕は大学は明治ですが、オーケストラのみ立教に所属しています。)

立教大学交響楽団HP

彼らも
「英雄も凄く良かったけど、トリスタンも感動したよ!」
「新日本フィル初めて聴いたけど、上手だった!」
「この金額(学生チケット\1,000)でこんな上手な演奏会聴けるなんていいね!」
と喜んでくれて、僕も彼らを誘ってよかったなと思いました。

156.JPG   一緒に演奏会に聴きにいった友人たち

終演後は、今回チケットについてお世話になった広報の佐藤様にご挨拶のため、総勢6名で舞台袖へ。
御礼をすることができてよかったです。お忙しい中、ありがとうございました。

また舞台袖には指揮者のインドヤン氏の姿が!
拍手で見送ったのですが、写真を撮ってもらえば…と後悔。

最後に、佐藤様、この度は誠にありがとうございました。

今回だけでなく、友人やオーケストラに興味のある人に新日本フィルのよさを伝えていきたいと思います。

本日の記事は以上となります。

次回はきたる11/28(水)、ハーディング氏によるチャイコフスキー4番・ストラヴィンスキー『春の祭典』というアツいプログラムを聴きに行きます!

最後までお読みいただきありがとうございました!
【新日本フィルハーモニー CDレビュー】朝比奈隆:ブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」 [2012年10月15日(Mon)]
こんばんは。

最近は9月のコンサート以来、足を運ぶことができていないので、本日の記事は新日本フィルのCDを聴いた感想を書いていきたいと思います。

【ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」】
指揮:朝比奈隆
収録:1979年3月8日/東京文化会館 第67回定期演奏会(Live)

011.JPG

FM東京さんから出ている新日本フィルの演奏会ライブ盤です。

指揮は朝比奈隆さん。
朝比奈さんといえば大阪フィルのイメージがどうしても強いですが、(大阪フィルの前身となった関西交響楽団を設立)
新日本フィルのCDもいくつかリリースされています。
その大阪フィルとの「ブルックナー全集」を発表したことで一躍”ブルックナーの巨匠”と言われるようになったのは有名です。



実は僕はこれまで10年間のホルン生活の中で、ブルックナーのシンフォニーをまともに聴いたことがありませんでした・・・!(この時点でホルン奏者として失格ですね・・・笑)

自分の中でクラシック一大ブームが到来した中学2年の頃に聴こうとしたのですが、ブルックナーのシンフォニーは「長い」というイメージがどうも抜けなかったのです。
※4番においては、4楽章構成で実に1時間10分にも渡るのです!



つまりほぼ初めて「ロマンティック」を聴いたのですが、1楽章を聴いただけでも「今まで聞いた新日本フィルとは何かが違う」と思いました。

何と表現すればいいのか、聴いたことのない重々しいサウンドがしたのです。

とここでCDに同封されている解説に目を向けました。
するとそこには、音楽評論家で元FM東京ディレクターの東条碩夫さんのこんな一文が。

「70年代の新日本フィルは、音楽監督・小泉和裕氏、首席指揮者・小澤征爾氏という、比較的精緻でスリムな音楽を身上とする、バトン・テクニックの精妙な指揮者に率いられており・・・(以下省略)」

なるほど、まさに今まで僕が感じてきた新日本フィルの演奏は、まさに東条さんの仰ることの所以なのだなと感じた次第なのです。

確かに今まで聴いた演奏会も、メロディーラインがはっきりしていて、優雅に綺麗に僕たち観客に魅せてくれていたなと思うのです。(そういう選曲なのかも知れないですが)
でもそれが新日本フィルの真骨頂であり、美しい音楽を楽しませてくれることへの期待がいつもあるのです。

今回の”ロマンティック”は、ブルックナーの代表曲らしく、重厚感のあるサウンドを「これでもか!」という具合に聴かせてくれる名曲です。

それ故に、これまであまり耳にしてこなった新日本フィルの一面として映ったのかもしれません。

これからもこういう気づきが増えていくと演奏を聴く側も楽しみが広がっていきますね!

CDはこちらで見ることができます

***

最後にここで1つ、ホルン吹きの僕からの「ちなみに」をご紹介します。
この収録がされた1979年、ホルンの首席奏者には守山光三さんという、日本ホルン界の巨匠が在籍をされていました。
現在は東京芸大の教授をされており、数多くのプロホルン奏者を輩出されてきました。
殆どのホルン奏者の経歴を見ると「守山光三に師事」という記載の多さにびっくりするはずです。

しかしこの守山さんが、今年度一杯で芸大の教授を退任されるそうです。

守山光三退任記念演奏会

出演者の名前を見るだけで、その偉大さが解るような気がいたします。

CDの録音だけではあくまで推測にはなりますが、このホルンサウンドが往年の守山さんの演奏だとすると、これもまたずっと聴いていたくなる新日本フィルの珠玉の一枚といったところになりますでしょうか。
【9/1 新日本フィル演奏会記録】新クラシックへの扉 ベートーヴェン「田園」他 [2012年09月02日(Sun)]
昨日は新日本フィルの2012-2013シーズンの幕開けでもある『新クラシックへの扉』コンサートに行ってきました!

044.JPG

今回のプログラムは以下の通りです。
>>新日本フィル公式HPより引用

***

【#25 新・クラシックへの扉】

9月1日(土)14:00開演 会場:すみだトリフォニーホール

■プログラム
シューマン作曲 ピアノ協奏曲イ短調 op.54   
ベートーヴェン作曲 交響曲第6番ヘ長調『田園』 op.68   

■アンコール
シューマン作曲 トロイメライ(ピアノ:弓張美季)
バルトーク作曲 ルーマニア民族舞曲 より 棒の踊り

指揮:クリスティアン・アルミンク
ピアノ:弓張美季

***

【シューマン:「ピアノ協奏曲イ短調 op.54」】

2プログラムの前半は、シューマンの傑作とも言われるピアノコンチェルト。
ピアニストはスタインウェイ・コンクールで優勝経験のある、弓張未季さん。

>>弓張未季さん 公式ウェブサイト

神戸生まれで幼少期にドイツに渡り、スタインウェイ・コンクールで優勝。今ではウィーンを活動拠点にしていらっしゃるんですね。

今回演奏されたシューマンのコンチェルトの弓張さんの動画がありました。


ピアニストの演奏を聴くことは何度もあるのですが、
あれほどまでに体全身を震わせながら音楽を表現するピアニストは、初めて見ました。

同じ演奏を前方で聴いていた大学の講師である久米信行先生が仰るには、「彼女は、ピアノの前に座るとヒールを脱いで裸足になりました。」という風に、演奏に臨むために物凄い集中力を発揮されているのでしょう。
>>久米先生のつぶやき

弓張さんのピアノからは音がまるで踊って向かってくるかの感覚になり、今まで聴いたこともない演奏を魅せてくれました。
更には上にもあるように全身で表現するその姿勢は、見る芸術でもあり、「まさに”音楽”だな」という原点すら感じさせる名演でした。

ぜひまたアルミンク×弓張さんで、今度は別のコンチェルトを聴いてみたいものです。

045.JPG昨日の演奏会のパンフレットです

【ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調「田園」op.68】

メインはベートーヴェンの田園。
5番の「運命」と同じ時期に作曲され、同じコンサートで初演されたそうです。
「運命」と「田園」を一緒に演奏するとは、今考えると内容の非常に濃いプログラムですね。

>>こちらが「田園」シンフォニーです。演奏はオランダのコンセルトヘボウで。


実はこの「田園」、演奏会でライヴで聴くのは今回が初めてでした。

ですが、初めて聴く「田園」が昨日の新日本フィルでよかった!と思っています。

ウィーン郊外の田園風景を描写してベートーヴェンが作曲したと言われるこの曲は、全5楽章あり、3〜5楽章を続けて演奏することが殆どのため聴き側は3部構成のように映ります。
楽章毎に田園の様々な表情がモチーフとなっており、1楽章から
・田園に到着したときの楽しく明るい表情
・小川のほとりの情景
・田舎の人々の楽しい集い
・雷雨、嵐
・牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち
と標題が設けられています。(※新日本フィル演奏会パンフレットより引用)

1楽章の第一主題のメロディはあまりにも有名ですが、僕は特に2楽章が好きです。
小川の側で鳴くカッコウなどの鳥たちのさえずりも美しく、日本人の心には必ずあるであろう、昔の田舎の記憶を呼び戻してくれるような心地よいサウンドが気持ちよいのです。

個人的には新日本フィルの演奏で2楽章を聴いて、先月上旬に訪問した新潟県の大地の芸術祭「越後妻有アートトリエンナーレ」の本拠地でもある十日町の「キナーレ」周辺の景観を思い起こしました。
>>大地の芸術祭「越後妻有アートトリエンナーレ」の記事はこちら

そしてこの「田園」を、新日本フィルは見事に感動的な音楽にしてしまうのです。

何がいいかって、管楽器奏者の演奏姿勢が聴いていても見ていても本当に気持ちいいのです!(僕がホルン吹きなのでどうしても管楽器に目が集まりがちなのです・・・。)

Flの荒川さん、Obの古部さん、Clの重松さんの木管トップの御三方の演奏は本当に感動しました。

Clの重松さんは女性らしく表情豊かで優しい演奏をされていて、透き通った音色が自然と体の中に吸収されていきました。
ぜひ今度はラフマニノフの2番を、この重松さんの演奏で聴いてみたいなと思いました。

特に古部さんは、3楽章のソロはもちろんよかったですが、ソロでない箇所では常に同じメロディを奏でる奏者の方向を意識して演奏されているのです。
例えば2楽章でFlの荒川さんとのデュエットを奏でる際は体を少し右に向けて一緒に演奏をする姿勢を表し、Obの2ndに対しても体を左に向けてリードをするのです。もちろんコンマスとの目線での呼吸の良さにも脱帽しました。まさにObトップとはこういう姿勢が必要なのだなと改めて感じたのです。

なぜこういった姿勢に感動をしたかというと、新日本フィルの奏者の方々は「本気で音楽をしよう」という姿勢がこちらに強く伝わってくるのです。

例えば日本のトップの楽団のObトップであれば、自信に驕って演奏に多少手を抜いたりしてしまうこともあるかもしれません。実際プロの他楽団の演奏会でそういう場面に出くわしてきました。

それ故「プロの演奏より、必死に演奏するアマチュアの演奏の方が好き」という考え方もあったのですが、新日本フィルはこれを見事に打ち砕いてくれたのです。

今回の演奏会でも特に木管楽器の首席奏者の姿勢を見て聴いて、今後もより一層期待してコンサートに足を運んでも間違いはないなと確信もしました。

改めて、僕に新日本フィルの魅力を伝えてくださった、新日本フィルの評議員も務められる久米先生には感謝いたします。

===================

長くなりましたが今回もこれにて記事を締めたいと思います。

次回の演奏会は10月の下旬に行く予定です。
また11月のハーディングのチャイコフスキー4番は意地でも行きたいですが、もう既にC席も完売とのことで間に合わないかもしれませんね・・・。

10月もまだチケットを手配していません・・・。早く準備しなくては・・・。


今後も新日本フィルの演奏にはたくさん足を運びたいと思います!

【弓張美季さん 公式HP】
http://mikiyumihari.com/

【音楽監督 クリスティアン・アルミンク】
http://www.njp.or.jp/profile/profile_arming.html

【新日本フィル公式HP 楽団員紹介】
http://www.njp.or.jp/profile/member.html
【8/11 新日本フィル演奏会記録】新クラシックの扉より、サン=サーンス「オルガン付」 [2012年08月12日(Sun)]
【サン=サーンス:オルガン付】

サン=サーンスのシンフォニーの中で最もメジャーな3番。
表題の通りオルガンを伴う曲なので、演奏をできる会場が限られています。

本日のトリフォニーホールの他には、赤坂のサントリーホール、池袋の芸術劇場、上野の文化会館など、都内でも有数のコンサートホールでしか演奏されません。
いわば聴く機会の限られるシンフォニーの一つなのです。

オルガンの響きは、あの巨大な楽器からハーモニーが奏でられたとき、地を這ってまるで身体の中にまで共鳴するような感覚を伴います。
そこにオーケストラのffサウンドが加わったときは、今までに感じたこともない迫力を味わうことができるのです。
これはCDの録音では実現不可能です。実際にライヴでしか味わうことのできない感覚のひとつですね。




このオルガン付という曲は4楽章構成ですが、厳密には2部構成で、それぞれに前半と後半に分けて演奏されるのが通常です。

曲中で僕が一番感動したのは、第1部後半の弦セクションのメロディでした。
指揮の山田和樹さんのリーディングはもちろんですが、弦楽器のそれぞれの奏者が自然に音楽をしようという意思が、音となって空気を伝ってきました。
オルガンや金管楽器の迫力のあるサウンドとのコントラストが栄えていて、1部後半箇所がより際立っていた印象を受けました。


ちなみに、このオルガン付からホルンセクションはこの日初めての4人体制になります。
1stは変わらず吉永さん、3rdは金子典樹さんという男性の方でした。

この金子さん、実は僕が中学時代からファンのうちの一人だったのです。
プロホルンのアンサンブル団体で「アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン」というものがあり、そのメンバーの1人でした。
当時から凄まじいハイトーン奏法で、演奏の憧れの一人としていつも聴いていました。

アレキサンダーホルンアンサンブルジャパンの公式サイトはこちら(更新は止まっています)

その金子さんが本日のオルガン付では、文字通り大車輪の活躍でした。
この曲は3rd奏者の方が1st奏者よりも譜面の難易度が高く、1人で目立つパッセージを演奏することが多いのですが、
2部後半などの難しいフレーズも、金子さんはかっこよく演奏されていました。

楽器をしっかりとfで鳴らしながらフレーズを吹くのは相当難しいのですが、そのようなパッセージもハイクオリティの演奏を聴かせてくれる金子さんは、昔から僕の中では変わらないなとも思いました。

CDアルバム「ジュピター」はこちら。「ジュピター」収録の「ホルスト木星:ホルンアンサンブルVer.」は凄まじい演奏です。一見の価値あり。


また2部の後半においては、オルガンのdur和音が力強く奏でられた後、金管楽器がfのハーモニーをつくります。
本日の演奏会では、管楽器全員がこの場面でベルアップをして演奏をより盛り上げていました。

特に曲中ずっと通して、トロンボーンの輝きが突出していました。
こんなに興奮するトロンボーンセクションは聴いたことのないくらい、首席の箱山さんを始めとしたサウンドに終始鳥肌ものでした。
今後はあのトロンボーンのサウンドを目当てに演奏会を聴きにいこうと思うくらい、ファンになりました。そのくらいスゴイです



023.JPG本日のアンコール曲です。オルガン付の後は、ビゼーの「アルルの女」よりアダージェットでした。


【指揮者:山田和樹さん】

今回の指揮者は、若干33歳にして日本フィルハーモニー交響楽団の正指揮者に就任する山田和樹さんでした。
2009年のブザンソン国際指揮者コンクールで優勝した輝かしい賞を受賞しています。

指揮は終始王者の貫録を感じさせるオーラを放っていたように感じました。
佇まいから、とても30歳と少しには見えませんでした。

まだ1回の演奏会しか拝聴していませんが、今日だけでも山田さんの素敵な人柄を垣間見ることができました。
鳴り止まない拍手が聴衆から自分に対して送られていても、あくまで奏者をリスペクトして称えあう姿勢には、謙虚さを感じさせました。特にカーテンコールにおいては、そういったシーンが多く見受けられました。

今後一層飛躍していく指揮者の方なのかなと、噂ではなく今日で僕の中でも確信に変わったような感じです。これからも積極的に応援していきたいですね。

***


本日の記事はこれにて終了です。

次回は9/1(土)に。これまたトリフォニーホールにて「新クラシックへの扉」シリーズを聴きに行ってまいります!
最後までお読みいただきありがとうございました。

中村裕貴


【新日本フィルハーモニー交響楽団 HP】
http://www.njp.or.jp/

【萩原麻未さん】
http://jp.yamaha.com/sp/products/musical-instruments/keyboards/pianist-lounge/hope/005/

【8/11 新日本フィル演奏会記録】新クラシックの扉 [2012年08月12日(Sun)]
本日は新日本フィルの「新クラシックへの扉」シリーズの演奏会に聴きにいきました。
このブログを立ち上げてから、記念すべき初めての演奏会となりました!

今回の演奏会の「新クラシックへの扉」シリーズは、年に8回、それぞれ金曜と土曜の14:00から行われています。サントリーホールとすみだトリフォニーホールで行われる定期演奏会とは別で、客演の指揮者による演奏を楽しめるのが大きな特徴です。

今回の会場は錦糸町駅にあるすみだトリフォニーホールでした。ここは新日本フィルの本拠地でもあり、僕も何度か足を運んだことがありました。

そしてなんと、今回は1階の後方という素晴らしい席で聴くことができました!
インターネット経由でチケットを手に入れたのですが、学生席はS席が2,000円!
馴染みのない方には分からないと思うのですが、これ物凄くお買い得なのです。
例えばトリフォニーホールで海外のオーケストラの演奏をS席で聴いたら、軽く2万円程度は飛んでいってしまうのです。

学生でも聴きに来やすいように、という楽団の配慮が伺えてすごく嬉しく思っています。


019.JPG公演のチケットです

本日のプログラムは以下の通りでした。
(こちらでもご覧いただけます=新日本フィル公式ページ)

***

◆ラヴェル
亡き王女のためのパヴァーヌ

◆ラヴェル
ピアノ協奏曲 ト長調(Piano:荻原麻未)

◆サン=サーンス
交響曲第三番 ハ長調「オルガン付」op.78(オルガン:室住素子)

コンサートマスター:崔文洙
指揮:山田和樹

***

【ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ】

冒頭のホルンソロは首席奏者の吉永さん。
綺麗な出だしと伸びる音のヴィブラートが美しく、思わず目を瞑って聴いてしまいました。

7分という短い時間でしたが、オーケストラのサウンドが洗練されて美しく、初めて生で聴く新日本フィルの音のライヴ感を味わうことができました。

下の動画は新日本フィルの演奏ではないですが、曲を聴いたことのない人は試聴してみてください。




【ラヴェル:ピアノコンチェルト】

ピアノソロは、2010年第65回ジュネーヴ国際コンクールピアノ部門で日本人初優勝をされた、萩原麻未さんでした。

萩原麻未さんのインタビュー

曲はラヴェルのピアノコンチェルトでは最もメジャーな1曲です。ドラマから映画にもなった「のだめカンタービレ」でも、この曲は使われていました。

3楽章構成になっており、聴きどころは2楽章前半のピアノ独奏部分でしょうか。
また後半部分のイングリッシュホルンとの掛け合いは、息を飲むほど繊細で美しく、オーボエ奏者なら一度は憧れるパッセージなのではないでしょうか。

またホルンを演奏している身として気になるのは、1楽章の5分あたりにでてくるホルンソロです。
ピアノソロが休みの中、ソロホルンがpでハイトーンのメロディを演奏します。
このpで長いフレーズ(しかもハイトーンで!)を演奏するのが我々ホルン吹きにとっては格別に難しいのですが、本日の首席の吉永さんは見事に決めていらっしゃって、これまた感服でした。

ジュネーヴ国際コンクールのときの荻原さんの演奏は、1楽章のみですが下記のURLで聴くことができます。


荻原さんの凄まじいところは、そのピアノに向き合う姿だなと感じました。

ひとたびピアノの前に座ると目の色が変わる。
決して言葉面ではなく、今日の演奏では本当に演奏中の緊張感が張りつめていました。

これが演奏家の姿勢であり、ライヴでしか知ることのできないもう一つの”演奏”だなという感じを受けました。

荻原さんのピアノ、本当にブラボーでした。
正真正銘の「鳴り止まない拍手」。今でも脳裏に焼き付いています。

(前半終)