先日「建築めぐり」を試みた諏訪の方から連絡があった。
下諏訪倉庫が所有していたある繭倉が取り壊されることになったという。
私はこの繭倉を実際に目にしたことがなく、詳しいことは見当がつかないが、おそらくある程度のヴォリュームを持った由緒ある建物で、この地域の産業を長年に亙り支えてきたのだろう。取り壊されることは誠に残念だ。
にっぽんmuseumでも、こうしたケースに対し何らかのアクションが起こせたらと、常々思う。無論、ナショナルトラストのように買取、保存などということは考えられないにしろ、一般の方々が分かりやすい様に建物の情報を記録し、ネット上で紹介する、これ位のことはやっていきたいところだ。
街の中の文化・歴史をたっぷりと吸収してきた歴史的な建物は、たとえ「詠み人知らず」のものであっても立派な文化観光資源として活用できる。
一方、同じ信州だが、昨年の冬に視察で訪れた上田にも古い繭倉があったことを思い出した。
繭倉の階高は普通の建物よりかなり低いので、外観は一層ごとにできる水平の帯がグルグルと巻かれたようになり、かなり目立っていた。半円アーチの小さな窓も並び、中世ヨーロッパの簡素な建築物にも見えるから面白い。
新幹線からもよく見えるので、今度行かれる方は、上田の駅に到着する直前に北側の車窓に注目していて欲しい。
こちらの繭倉は、老朽化で重量のあるものを載せられないため、発泡スチロールの倉庫として活用しているそうだ。
古い建物を有効利用することはなかなか難しいものだが、これはいいアイディアだ。
地域産業へのオマージュを表すものとして、長く残っていて欲しいものだ。
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