サンバとマンガを併せ持つ日系人アイデンティティー
[2008年07月24日(Thu)]

ブラジル日系人のアイデンティティーについての記事のはずが、ブラジルでの日本製マンガの人気や在日ブラジル人の境遇などと広く話してしまいました。もちろんこの記事だけで自分の思いは伝え切れなかったのですが、英語圏の外国人にもアピールできるチャンスだと思って、長い時間話してしまいました。
日本には現在200万人程の外国人は既にいますが、これは人口の2%にも満たない割合ですので、日本人はまだまだ外国人になれていない状況です。今後日本の人口が少子高齢化により減少し、ますます外国人移民の存在が重要になってくると思います。しかし、このまま外国人の数が増えれば、「未知に対する警戒」という心理が動いて、外国人に対する風当たりが強くなる可能性もあります。
例えば警視庁が発表する報告書の中でも、誤解を与えるような文章も書いてありますし、メディアでの捉え方も公平なものばかりではありません。しかし、これらを見て行動を起こさなければ状況は変わらないでしょう。
私は日系人が日本人と外国人が上手く付き合うように手助けが出来ると信じています。顔が日本人で心が外国人を持ち合わせてる私達こそ、両側を繋ぐ架け橋になれると。
日系人は今でも母国では「日本人」と呼ばれ続けています。それは日本では「外人」の概念と同じく、自分達とは違うことをさし、軽蔑語としても使われていました。しかし先祖の努力と勤勉さが実り、母国では高い社会的ステータスを手に入れることに成功し、少なくとも現在のブラジルでは「日本人」は頭が良くて、信頼できる民族と認められています。最近では閉鎖的だった芸能界でも段々と日系人が成功をし始めています。もちろんサンバが踊れないとか、サッカーが下手とかは今でも言われ続けていますが、それもそのうちになくなると思います。つまり、日系人はブラジルでは100年かけて偏見を打ち壊すことに成功したのです。
しかし、その尊敬されている民族である日系人がデカセギとして20年前日本に来た時は、まさに100年前と変わらない待遇を受けたのです。安い労働力として見られ、日本人がもうやりたくない仕事ばかり与えられ、日本語が出来ないからバカにされたり、騙されたりなど日本人が移民した時と同じ苦汁を味わったのです。つまり、歴史が繰り返され、残念ながら移民した日本人がブラジルで苦しんだ時の教訓が活かされなかったとの見方も避けられないでしょう。
でも、視点を変えると悪いことばかりではないと私は思います。デカセギ現象が始まってまだ20年しか経っていません。この20年間ですでに単純作業から抜け出して、豊かな生活を送っている日系人も多少いますし、日本のトップクラスの大学を卒業している日系人もいます。日本のプロスポーツなどで活躍している日系人もいれば、大手企業で勤めている日系人も何人もいます。
顔が似いているせいか、日本語さえ話せれば、日本人には親しみやすく、警戒されなくて済む。ただし心はやはり外国人、ラテン特有なおおらかさ、修羅場を生き抜いた生命力、不安定な社会を経験して身に付けた応用力、“未来への不安”など当たり前でものともしない頼もしさなど最近の日本人に欠けてるものを幾つも持っています。これらに日本人特有の努力、計画性、勤勉さ、組織力、などを日本に住んでから身に着けば、最強の組み合わせになるのではないかと本気で思ったりもします。
日系人は両側のいいとこどりが出来る恵まれた存在だと自信を見つめ直し、自信を持って苦難に挑むべきです。「母国では日本人+日本では外人=自分はどっちでもない」のではなく、「=両方である」と自覚すればアイデンティティーの問題は簡単に解決でき、自分の可能性を幅広く活かし、成功できると思います。
そして多くの日系人が成功すれば「外人」は軽蔑語でなくなり、無根な警戒をされる所か、スポーツ以外でも賛同を得る日がくることを願っています。100年を経て南米で「日本人」がそうであるように。 猪嶋イーゴル
ブラジル
第五期生
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