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第10回「多読のためのリライト講座」 [2013年06月22日(Sat)]
第10回「多読のためのリライト講座」

 6月16日  10:30〜16:30

  ここ2週間ほど、「から梅雨」だったのに、何と今朝から雨模様。にもかかわらず12人のもの方が参加してくださいました。
 今回は、ハワイやカリフォルニアで日本語教育に携わっている方や、横浜市で日本語講師をなさっている方などが、時間をやりくりして参加していただいたケースが多かったようです。嬉しい反面、なんとしても意義ある講座にしなければ申し訳ない、と緊張しました。
 参加した方で、英語であれ日本語であれ「多読」という学習法を知っているという方が、ほとんどでした。最近、NPO多言語多読の何らかのセミナー参加者の中で、「もう多読を知っている率」が高くなっているのを感じます。

 多読についての話と、授業の実際をDVDを使ってお見せした後、英語多読の体験に入りました。ORTの文のないシリーズから1冊ずつ読んで(?)いただき、だんだんに文の多くなるレベルのものを体験していただきました。朗読CDを聴きながら読む方法も試していただいたのですが、読み手のスピードが速すぎたり、聞き取りにくかったりすると感じる方もいて、多読学習には聞き読みが必須というわけでもない、という少し深い話もしてしまいました。

rewrite-2.jpg

  英語のレベル別読み物も、棚から何冊かとって体験していただきました。ORTと比べて、字の小ささ、1ページあたりの文の多さに恐怖を感じた様子の方もいましたが、スターターレベルのものを読んでみて「あ、読める」と言って安心した表情になられたのが印象的でした。語彙と文型がコントロールされているというのは、つまり、そういうことなのです。
 一方、よむよむ文庫や、多読文庫と比較して、英語のレベル別読みものの字の小ささと文の密集度を、不思議に思われた方もいました。それに対して、受講生の中から、「英語の読みものは、学習者の、ある程度の学習歴を見込んで作られているのではないか」「日本語に比べて、表記がシンプルなので読めるのではないか」などの意見が出ました。

昼食休憩のあと
午後1時半から、いよいよリライト作業の体験です。
  4人ずつ3つのグループに分かれて、イソップの「北風と太陽」を、多読用読みものの0レベルにしていただきます。作業に取りかかる前に、まず「北風と太陽」って、どんな話だったっけ?という「思い出す時間」を設けました。ああ、皆さん知っていらっしゃって、一安心。記憶の中のストーリーも、皆さんほとんど一緒でした。
  タイトルは、「北風」は難しいから「風」にしよう、というグループと、「北風と太陽」というたとえ話を日本人との会話に取り入れる時のために、「北風」という語を使おう、というグループに分かれました。
 行き詰まると、各グループとも、絵に吹き出しを入れてセリフとして言わせよう、というアイデアが出てきたり、北風が吹く強さを増すところは、だんだん字を大きくするのはどうか? などと、みなさん、短い時間の講義と多読体験をしただけとは思えない柔軟な発想をなさっています。3グループとも、1時間で、絵まで入って見事完成。グループごとに発表しました。
 よむよむ文庫の「風と太陽」を見ていただきました。絵に語らせて、「吹く」「〜ほうが」などの使用語彙表からは逸脱した語も使っていることを、知っていただきました。

rewrite-3.jpg

  次に、芥川の「蜘蛛の糸」をレベル3でリライトしていただくことに・・・。イソップのときと同じメンバーのグループで取り組んでいただいたので、案を出す方、まとめ役、その間に絵を描く方など、緩い役割分担まで出来ています。手こずるだろうと思っていた冒頭の部分は、案に相違して、皆さん、かなりスムーズにリライトしていました。「ここは絵の力で・・・」などと、私たちの読みもの作成会でも飛び交う言葉が、聞こえてきます。
  カンダタが蜘蛛を踏み殺すのをためらうシーンを、交通標識のように×を付けた絵にしているグループがあって、面白かったです。ちょっと、絵に語らせすぎ?
  また、いくつかの語を抜き出して、絵で「注」を付ける工夫をしたグループもありました。
  1時間半で、第1章の、お釈迦様が蜘蛛の糸を垂らす辺りまで進みました。各グループで発表し合った後、よむよむ文庫の「蜘蛛の糸」を見ていただき、最初に極楽と地獄、そしてお釈迦様について、説明を入れていることを紹介しました。

最後に、質問と感想の時間です。
質問
・多読授業を取り入れた場合、評価や採点をどうしたらいいか?
・多読授業は、何分くらいが望ましいか?
・自分自身、英語の本を読む場合、どうしても辞書を引きたくなってしまう。日本語学習者の 辞書引きは、どうしても禁止しなければならないか?
 (ここまでは、授業に関しての質問ですね)
・イソップ寓話など、教訓の部分まで出さないと、原書と意図が違ってしまうのではないか?・芥川など、筋を追うだけでなく、その作品の味を生かした読みものにすべきなのではないか?
・手作り本を1冊作るのに、どのくらいの時間がかかるのか?
   (こちらは、リライトに関しての質問ですね)

感想
 何人かの方から、「多読の本を、既に使っていたが、このようにして作られていたのだと、今日初めてわかった。自身で作ってみて、大変な作業だと実感した」という声がありました。
  また、カリフォルニアの大学で日本語を教えている方から、「同じ物語を、レベルの低いものから高いものまで何段階か作ってみるのはどうか?」 というアイデアも出されました。
 
  参加された方全員が満足されたかどうかはわかりませんが、多読文庫を買って帰られた方も多く、「多読」を 取り入れた日本語授業や、教材製作の手がかりを得て下さったように思いました。
                                    松田 記
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