2013年6月17日(月)
第12回トルコ日本語教師大会に呼んでいただき、トルコのほぼ中央にあるカイセリのエルジェス大学にやってきました。
世界遺産カッパドキアに近い商業の町で、住民のうち日本人はエルジェス大学の2人の先生だけだそうです。
ホテルも町の店の人も、英語が全然通じません。人も車も多いけれど、どこかのんびりしたアジア的雰囲気が漂っています。
さて、夏休みの広くて静かなキャンパスに到着すると、ポスターがささやかにお出迎え・・・。

副学長にご挨拶して、いよいよ、10時開会式開始。
10時半〜11時半 基調講演「多読ー多読の考え方、効果、実践方法ー」
参加者は16人と寂しかったのですが、トルコ人の先生方がとても熱心に聞いてくださいました。

「アンカラの日本語教室では『よむよむ文庫』はよく読まれています」
「自分が学習者だった頃にこんな本があればよかったのに・・・」
「多読って全然知らなかった。やってみたい」
「実は、昨年、半年やってみたけれど、このまま続けていく自信がない。どうしたらいいのか・・・」
「電子ファイルにする予定はないのか」等々。
聞けば、トルコの大学生は、会話は上手だけれど、読み書きにはあまり熱心ではないとか。早い時期に、多読のやさしい本を読むことで、読むことへの敷居が低くなればいいなあと思いました。
午後からは、発表が6本。
トルコ人の先生方の発表は、みなさん日本語がものすごく聞きやすい。トルコ語は日本語と語順が同じで習得しやすいとは聞いていましたが・・・。
2013年6月18日(火)
今日は、午前中に3本発表があり、午後から、多読のワークショップ。
ワークショップは、アシスタントの1,2年生の学生さんにも加わってもらい、日本語が超達者な先生方も前列に並んでいただき、絵本やその他の本を紹介後、レベル0から開始。途中、聞き読みもしてもらいました。日本人の先生方には英語の字のない絵本から。

さて、感想は・・・。
トルコ人教師
「納豆は、日本人でも嫌いな人がいますか」
「ごはんが左で味噌汁が右って、常識ですか?知らなかった・・・」
「レベル2と3のギャップが大きいと感じた」
「漢字もこういう本を使いながら教えた方がいいと思った」等々。
日本人教師
「字のない絵本を『読む』のがとても難しいと感じた」
これをきっかけに多読に何らかの可能性を感じて取り入れていただけたらうれしいです。
その後、学科長から立派な盾をいただいてしまいました。

今回、こちらの先生方とお話しして、トルコの日本語教育事情についてもずいぶん勉強させてもらいました。
日本語の本はおろか教科書も手に入れるのが大変だということ、その上、インターネット環境も十分ではなく、日本人と会話するチャンスも全くないとのこと。ここの学生は、試験料の高い日本語能力試験とは無縁のようです。「多読の本もPDFファイルで売ってくれたらうれしい」とも言われました。つまり、送料がばかにならないということ。
ある先生には、「電子化したほうが絶対、個人ユーザーにとってはいい」と言われました。
私たちもまだまだ考えていかなければならないことがありそうです。
(粟野)