学習者の目、輝いていますか? [2011年08月08日(Mon)]
8月7日(日) 第6回 日本語多読勉強会 於:しんじゅく多文化共生プラザ ハイジア
例年、電気通信大学で開いていた勉強会を初めて「しんじゅく多文化共生プラザ」で開催。 午前中に準備をしていると、ハイジアのアルバイトから電話がと。まだ空きがあったら、ぜひ参加したいという区立中学の英語の先生。窮屈でもよかったら、ぜひどうぞと返事する。 日本語学校、大学、ボランティア、インターナショナルスクール、定時制高校、など”多読”をキーワードに集まった参加者。スタッフ、発表者を含めると約50人。 時間は短い、空間は狭い、場所は見つけにくい、ということで、心配したが、なんとか、5分遅れで開会。 始まりは、やはり、この人!電気通信大学元准教授、現在非常勤講師の酒井邦秀先生の話。 ![]() 多読を始めたときから今まで、いやこれからも含めて、世間の多読に対する反応の変化をBernal’s Ladder の4段階に当てはめて、しょっぱなから、笑う。 1あり得ない〜2ありえるけどそんなのすぐに廃る〜3軽んじるわけにはいかなけど、オリジナルじゃないじゃない、昔からあるよ〜4わたしだってずっとそう思ってたんだ・・・今、「英語多読」はそんな段階(笑) 多読は、何で、学習者の目を輝かせる?! 教科書ではない、やさしい読みものから読むと・・ 外国語の本が読める!外国語の本で泣いたり笑ったりする!つらくない!わくわくする! そりゃ目も輝くはずです。 それに引き替え、英語と日本語の教科書の会話のある意味シュールと言えるほどの意味のなさ、何回聞いても面白い。 ![]() 聴き読みの大切さ、シャドーイング、最近では多読的おしゃべり(多話)も実践。 教師は1対1で向き合って支援することに徹する。 ほんの5分ほど参加者に英語多読を体験してもらって終了。 続けて当研究会代表粟野真紀子が、日本語の多読授業の実際を、DVDの一部を見せながら話す。日本語学校、ボランティア教室の様子がよくわかる。 英語できないから電通大にいるんですという学生と日本語を勉強するために来日した留学生や就学生とは、基本的に違う。日本語の場合どうしても自己診断でレベルの高いものを読みたがる傾向があるので、英語の3原則に”やさしいレベルから読む”を加え4原則にしている。 ![]() 休憩をはさみ、いよいよゲストスピーカーの登場。 トップバッターは、旧ユーゴスラビアの国セルビア共和国から。ベオグラード大学言語学部東洋学科日本語・日本文学専攻課程(長い!)客員講師、高橋亘先生。 ![]() 「ベオグラード大学大学の多読時間の取り組み」 2010年8月の多読勉強会に参加、多読に関心を持ち、赴任先のベオグラード大学で11月から試験的に始める。12月からは、近隣の図書館を借りて、本格的に取り組む。週1回、1時間半、授業外の時間に実施。自由参加。 日本語で本を読むことで、日本語学習へのモチベーションがあがり、日本好きも増加。 一方、授業時間外であること、本の数が少なく、読みつくしてしまう学生も多い、ことで、参加数が減少。そこで、対策を考えた。 対策@SNSを利用した広報の強化。 A寄贈書籍の活用(シルクロード雑学大学より)。 Bおもちゃ、雑誌、マンガ、などを借りる(大使館より)。 結果、日本文化体験にもなり、参加者増加。剣玉、独楽、だるま落し、などのおもちゃは、効果抜群であった(笑) 多読を通じて、地域との連携。ブログ、SNSを活用して、ブックレビューや感想の書き込み、など、プラスαの部分を充実したい。本の確保も工夫したい、と、今後の課題をあげて終了。 ☆これからに期待します!本の確保には、協力したいですねえ。セルビアに日本好きが増えること願っています。 セカンドバッターは、西町インターナショナルスクールで17年に渡って日本語を子供たちに教えているキオ・千佳先生。 「いつもと違うブックレビュー;GarageBandを使って」 ![]() 「よむよむ文庫」に出会うまで、生徒たちは、自分だけの力で日本語の本を読むことはできなかった。「先生、この本は辞書を使わなくても読めます」というコメントが多くの生徒からきている。自分の力だけで読めることが楽しくてしかたない様子。 そして、読んだ本のなかから、一冊選び、感想を録音、イラストなどつけて学校のサイトに載せるという活動をしている。 この活動を通して読む、書く、話す、聞く、4技能のすべてがどんどん上達していくのを実感している。 ☆外国語の本を自分だけの力で読める!!これが、いいのです。 質問ひとつ。このサイトは、外部からは見られないのか?考えてみます、との応え。交流ができるといいと思う。 次に当研究会の松田緑が、多読用読みものと、その作成について話す。続けて、作成会にずっと係わってきたメンバーが、作成の魅力について語ってくれた。 最後はQ−Aの時間 会場の質問から。 @日本人でも文学作品を読めない中高生に「よむよむ文庫」を使うのはどうか? A:中学で教えている会員から。日本人と同じレベルの外国籍の生徒には、使っている。 A多読のクラスに参加している家族が、始めはいつも聴き読みをしていたが、この前は音声のほうが早いので、本だけ読んだ。本当は、聴き読みがいいのか? A:その人が一番、リラックスしえたのしく読める状態がいいので、どちらでもいい。 B事前に寄せられた質問の中から、レベル4以上の「橋渡し」教材の選び方を粟野が説明。 なるべく写真や挿絵が大きく文字が少ないもの。さらにルビ付きがのぞましい。 宮崎駿のアニメブックスは好評。読みやすいらしい。 ジュニア用のルビ付きの本、雑誌ポプラディアなど、あるいはマンガ。 時間切れで、あとは、どうぞ、個人的に質問にいらしてください。ということで、雷雨激しき中、閉会。 大慌てで片付け。反省多々あるも、大盛況でした。みなさま、ありがとうございました!! (川本) |