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2008年12月03日

コラム さざなみ ☆日造協☆





昼間は晴れていて、夕方に驟雨の来る日が続いた。
雷が鳴りみぞれが降った。



十月二十七日月曜日から神田神保町で、
第四十九回 東京名物神田古本まつりがはじまった。
年に一度、百万冊の本が並ぶ。

本の回廊と称して、靖国通り沿いの歩道に、古書店と向かい合って
縁日の出店のような本棚が作られる。
本の背を照らす提灯の列がえんえんと続く。
仕事を終えて閉店間際に駆けつけた勤め人やOLで賑わっていた。



株価の暴落、急激な円高よって、経済が混乱している。
世のなか真っ暗闇のようだ。
夜の暗がりの中に、点々と どこまでも続く提灯の明りに、
何か希望のようなものを感じた。


この古本まつりに来ている人たちも、
生きるよろこびを与えてくれる言葉を探しているに違いない。

「世界の歴史」全百巻を五千円で買っていかれた中年男性。
わが子に読ませるのだろうか。


おほきな河のうへを
夜の汽車がとほる
むかうのはうにも
橋があるらしく
いちれつの灯がかわにうつつて
ひとつびとつ
ながいながいひかりになってゐる



八木重吉詩集 
「鞠とぶりきの独楽」より


写真はイメージです。
コラムをお楽しみいただける 参考になれば 幸いです。
posted by 日造協 at 15:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム「さざなみ」
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