救急医療と緊急医療の違い [2006年12月02日(Sat)]
病院船の必要性の論議は、よく出てきますが。
ここで、災害時の救急医療活動と緊急医療活動がどうもごっちゃになっているようです。 ごっちゃになって勘違いしている人が多いです。 移動速度(スピード)は、飛行機やヘリコプターの方が船よりも速い事は誰もが知っています。 国内災害時を例にすると、震災の場合は骨折・火傷・脳挫傷・内臓破裂などの外科治療を必要とする外傷が発生すると思います。一刻一秒を争う早く救出・治療しないと生命に係わる事なので、それはヘリコプターによる搬送やドクターヘリ・救急車・ドクターカーの活躍する部門です。現在、国内の病院は耐震補強を行っていますし、災害拠点病院もあります。負傷者は病院に搬送し・治療を受けます。船の到着を待って悠長に救助するとは誰も言ってません。 ただ、病院は通常ベット数一杯の入院患者いるわけで、それにさらに災害負傷者が入ってくるのです。 訪問看護の災害時支援マニュアルの検討詳しく書かれています 病院の外来では、治療を優先する患者を判断し医師に告げ、搬入時呼吸停止状態(DOA)の患者も次々に運ばれてきたが、心肺蘇生術を行う場所もないほど外来は人であふれていたため、廊下で挿管や輸液ルート確保を行う状況だった。(神戸市立西市民病院)在宅療養者に対しては、地震発生から1週間後に訪問できた。脊髄小脳変性症の患者(気管カニューレ、バルンカテーテル、胃瘻チューブ挿入中)については、停電で吸引器が使えず、病院に連絡をとろうとしたが、途中で近所の人が自家発電機を貸してくれた。 そこで、病院を少しでも軽くするのが、病院船の役割です。病院の入院患者の中から、慢性疾患などの特別生命に支障のない患者を病院船に移動収容すれば、ベット数1000の病院船ですから、災害地の病院に救急処置患者1000人分の空きベットを確保できるのです。 病院に入院していない在宅で、日常的に酸素が必要な人、定期的に人工透析が必要な人、人工肛門を使っている人、ペースメーカーを埋めている人などは、外見からは分かりませんが、災害時に医療行為が受けられなくなると、生命に関わる人がいます。また、体力がないので、避難所などでみんなと同じようにできないこともあります。 難病患者の場合、病気によって症状は様々です。ALS(筋萎縮性側索硬化症)、筋ジストロフィーなどの難病にかかっている人のうち症状が重い人は、在宅で人工呼吸器などを使用していることがあります。 財団法人 日本障害者リハビリテーション協会のHPから 日本オストミー協会というのは、大腸がんや膀胱がんなどで、人工肛門、膀胱をもった患者の団体です。平成元年に社団法人になり、全国で会員が約1万2,000人ほどいます。各県、政令都市に支部をもち、 65支部あります。人工肛門は、お腹の左にある方と右にある方がいます。膀胱をとった方は、腎臓から直接尿を出しています。したがって、常時、尿や便が出っぱなしになっていますので、補装具という蓄便袋や蓄尿袋を体につけています。 中越地震でも、新潟県の340人ほどの会員のうち、被災地には67人がいました。災害時にその装具をもち出せればいいのですが、もち出せない場合もあるので、協会としては常時、1週間から10日分は何か所かに分散して保管するようにという指導をしています。 災害時に健常者と同じ、体育館等の大部屋の避難所で生活できない災害弱者の患者さんを病院船が収容するのです。陸上のライフライン(電気・ガス・水道)が復旧するまで・仮設住宅が完備されるまで、陸上のライフラインに影響されない、水と電気が独立している病院船が役割分担します。 だいたい救急は、わかりましたが緊急とは何でしょう?国際緊急援助隊の派遣に関する法律と言う法律があります。その中に国際緊急援助隊があります。救助チームの派遣到着まで平均1.4日が国際緊急援助隊制度の評価に書かれています。ここで言う緊急と言葉の定義は災害発生から72時間以内と言う単位です。決して救急車到着時間のように1分1秒単位ではありません。 |