• もっと見る
 
« 2020年12月 | Main | 2021年02月»
2021年01月12日(Tue)
正念場を迎える日本の国連外交
(産経新聞「正論」2021年 1月7日付朝刊掲載)
日本財団会長 笹川 陽平

seiron.png2020年、創立75年を迎えた国際連合をめぐるニュースのうち気になった一つに米国の民間調査機関ピュー・リサーチ・センターが行った国連に対する好感度調査がある。昨年6〜8月に先進14カ国を対象に行われ、13カ国が59〜80%の高い好感度を示す中、日本は29%と突出して低く、国際協調に対する支持率も最下位だった。

前年調査に比べ18ポイントの減少。パンデミック(世界的大流行)となった新型コロナウイルスに対する世界保健機関(WHO)の初動のまずさが大きく影響したと想像するが、我が国は1956年の加盟後、国連中心主義を外交3原則のひとつに掲げ、国連に対する好感度もかつては60%を超えていた。何故、これほど落ち込んだのか、不思議な気さえする。


2021年01月11日(Mon)
子ども基本法制定 通報増に世論の高まり
(リベラルタイム 2021年2月号掲載)
日本財団理事長 尾形武寿

Liberal.png子ども虐待、育児放棄、性的虐待、新生児の遺棄、いじめに伴う自殺...。目を覆いたくなるような悲惨な事件が連日のように報道されている。

わが国には「子どもは国の宝」という世界に誇る文化が根付いていたはずである。一昔前は東北地方などの寒村で、貧しさから子どもを奉公に出すことも珍しくなかった。しかし、可能な限り手を尽くした上での苦渋の選択だった。一言で子ども問題と言っても、当時と今では、その本質が違う気がする。



2021年01月07日(Thu)
与党元候補者3人の解放に見る新たな可能性
武装組織と国軍の一時停戦合意に意義
何が起きてもおかしくないミャンマー情勢

日本財団 参与 宮崎 正
風の香りロゴ
ミャンマー西部・ラカイン州の少数民族武装勢力アラカン・アーミー(AA)が拘束していた与党・国民民主同盟(NLD)の元候補者3人と国軍兵士3人を解放したー。1月1日ミャンマー発のこのニュース、日本での扱いは今一つだが、この国の最大課題である平和統一の先行きやNLDを率いるアウン・サン・スー・チー国家最高顧問の今後を占う上で注目に値する。

ミャンマーは人口約5300万人。約6割を占めるビルマ族と130に上ると言われる少数民族が住む。AAはラカイン州に多く住むアラカン族の武装組織。解放されたNLDの元候補者3人は昨年11月の総選挙で上院、下院、州議会選挙にそれぞれ立候補、選挙運動中の昨年10月、AAに拉致された。また国軍兵士3人は2019年11月、AAとの戦闘で拘束されていた。