調査は、温暖化や酸性化、水産資源の枯渇など海洋の劣化が進む中、次世代を担う若者の海に対する関心を探るのが狙い。調査を実施した日本財団の笹川陽平会長は「日本は海洋国家と言われながら効果的なプレゼンスや具体策を提示できていない」と指摘するとともに、「これから海を守っていく子どもたちが、海に関心がない、海のことを知らない現状を危惧する」と語った。
調査は今年4〜5月、全国の15〜69歳の男女を対象に行われ、1万1600人が回答を寄せた。海との「絆(愛着)」、「体験」、海が持つ「役割」について計15の質問を設け、「非常によくあてはまる」から「全くあてはまらない」まで5枠の中から回答を求めた。
まず小学校の頃の海体験。海水浴を中心に磯遊び、潮干狩りが上位を占め、最も多くが体験している海水浴を見ると、40〜50代は90%以上が体験しているのに対し、10代は70%台と低く、小学校の頃に海に遊びに行った回数も40〜60代の過半が「年間2〜4回程度」以上となっているのに対し、10代の65%、20代の57%は1回程度以下にとどまっている。
これを受け「海にとても親しみを感じる」の問いに10代の42%、20代の36%は否定的な回答を寄せ、「海と接していると、心地よく感じる」に関しても10代、20代の30〜26%が「あてはまらない」と答え、肯定的回答の多いその他世代と違いを見せた。
海水浴やサーフィン、ダイビングなどを通じ「海に入ることが好きだ」との問いにも、10〜20代では「当てはまらない」とする否定的回答が40%近くに上り、若者の意外な“海嫌い”の一面を垣間見せている。
「生態系の変化や乱獲などにより、将来、魚が食べられなくなる」との懸念に対しても、80%以上は「よく知っている」、「見聞したことがある」と答えているものの、18%は「知らなかった」とし、中でも小学生時代、海に一度も行ったことがない人は44%が知らなかったとしている。
「海は日本人の教育に大切な存在である」との問いにも、60代の53%を筆頭に世代が高まるほど肯定的回答が増えている半面、次世代を担う10代は4人に一人(26.4%)がそうは思わないと答えている。
このほか各設問の肯定的回答を指数化した都道府県別にランキングでは、絆〈愛着〉、体験とも沖縄県がトップとなっているほか、体験の2位には内陸の栃木県、3位に山梨県が入り、注目された。調査結果を受け、日本財団では体験型の「学びの場」の提供やそのネットワーク作りなどに取り組むとしている。
発表会場には多数のメディアが詰め掛けた