2017年06月05日(Mon)
トップランナーの生き方学ぶ講義実施
「異才発掘プロジェクト ROCKET」
4期生募集、秋までに約30人選抜 日本財団と東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)が共同で進めている「異才発掘プロジェクト ROCKET」は6月1日、世界で活躍するトップランナーの生き方を学ぶ講義を東大先端研で実施しました。第4期スカラー候補生の募集を6月15日(木)から開始し、9月末までに30人程度を選抜する予定です。 ![]() トップランナー講義の全景 |
このプロジェクトでは、突出した能力はあるものの、不登校の傾向にあるなど現状の教育環境になじめていない小・中学生を選抜し、継続的な学習保障や生活のサポートを提供しています。2014年12月にスタートし、書類選考と面接で選ばれた、14年度15人、15年度13人、16年度31人、計59人のスカラー候補生が現在、参加しています。
「世界で活躍するトップランナーは、人と一緒に歩めず友人がいない孤独を悩む子どもたちと同じかもしれない。一人走り続けるトップランナーが語る強烈なメッセージは彼らの生き様そのもの。その言葉は、ためらう子どもたちが前に歩き始めるための背中を押してくれる勇気となるだろう」 こうした考えの下に、各分野で活躍するトップランナーによる特別授業を実施し、子どもの突き抜けた興味に応え、学ぶ意義を教えています。トップランナー講義はROCKET プログラムの大きな柱の一つです。 ![]() 講義をする気鋭のプロダクトデザイナー神原秀夫さん 今回講義をしたのは東大先端研の神原秀夫・客員研究員。神原さんは脚光と注目を浴びている気鋭のプロダクトデザイナー・アートディレクターです。「ぼくがセロハンテープを買ってもらえなかった理由」と題して話をし、スカラー候補生18人が受講しました。 ![]() 神原秀夫さんの作品、ROCKETプロジェクトのロゴ 実家が自動車の整備工場をしていて車の分解、組み立て、修理の様子を間近に見ていたせいもあって、子どものころは、電気製品やおもちゃなどの「分解」が大好き。でも手順なくばらしてしまい、元に戻せず親にしかられたことも。そんな積み重ねで分解がどんどん、うまくなっていったそうです。 ![]() 受講生の質問に白板を使って応じる神原さん 子どものころセロハンテープを買ってもらえなかった理由は、何か作りたいものがあったら無心になって一日で全部使ってしまうから。「セロハンテープ使用禁止」。接着方法がなくなれば、なくなったで、いろいろ工夫した神原さん。自宅が整備工場だったので接着材はたくさんあった。使用方法をよく読んで使う。接着しない方法で固定する。セロハンテープが手に入るまで放置して次に進む−。 神原さんは「自分でものをつくったり、直したりすると、何がいいものか悪いものか、売っているもののすごさ、ありがたみが分かるようになる。ものをつくることが好きな子は自分でつくってみてほしい」と呼び掛け、言葉で伝えられる、普通の人が絵に描ける、どういうもので、どういう効果があるか、複雑な説明が要らないのが、良いデザインだと説明しました。 その上で、神原さんは「自分の考えを広げてくれる、いい大人とたくさん出会い、ぜひ相手の人を説得する能力を身に付けてください。今はまだ名前のない職業がどんどん増えています。多分、皆さんが大人になったころ、名前のない新しい仕事がまた、できていると思います。既存の職業の枠をあまり気にせずに、自分で職業をつくってしまう、名乗ってしまう、というぐらいでもいいと思います」と受講生にエールを送りました。
● 異才発掘プロジェクト ROCKET ウェブサイト |