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2017年04月17日(Mon)
難病の子ども支援者トレーニング始まる
鳥取大医学部附属病院
小児在宅支援センター


小児在宅支援センターの活動を説明するチラシ「生きるをつなぐ」

小児在宅支援センターの活動を説明するチラシ「生きるをつなぐ」

難病や小児がんの子どもの在宅ケアを支援する拠点として鳥取大学医学部附属病院(鳥取県米子市)に開設された小児在宅支援センターで、子どもを支援する医師、看護師、介護士らのトレーニングが4月から始まりました。鳥取県と日本財団が進める「みんなでつくる“暮らし日本一”の鳥取県」プロジェクトのひとつ「難病の子どもと家族の地域生活支援」の一環。こうした拠点で支援者トレーニングが実施されるのは全国で初めてで、当面5年間で18人の専門職育成を目指しています。

小児在宅支援センターは昨年11月、難病や小児がんなど、医療的ケアが必要な子どもの在宅支援を行う医師、看護師、介護士などの専門職を育成する目的で設立されました。センター長に鳥取大学医学部の前垣義弘・脳神経小児科教授、副センター長に玉崎章子・特命准教授が就任し、専任看護師1人、事務員1人の計4人体制でスタートしました。

センターの活動を説明する玉崎副センター長(右)と今川由紀子職員

センターの活動を説明する玉崎副センター長(右)と今川由紀子職員

難病や小児がんの治療を受けている在宅の子どもは全国で20万人を超すと推計され、退院後の在宅ケアをどのように支え、家族の精神的、身体的負担をどう減らしていくかが課題となっています。こうしたケアを必要とする子どもは鳥取県内に約500人いますが、鳥取大学医学部附属病院に通院している子ども約40人の家族への聞き取り調査では、訪問看護や訪問介護を受けている子どもは2割程度でした。重度の小児患者の在宅ケアを行う専門職が足りないのが主な理由です。

このため、小児在宅支援センターでは、訪問治療を志す医師、看護師、介護士らを募り、実務を通じて専門性や実践力を身につけてもらおうと、OJT(On the Job Training)プログラムを開始しました。トレーニング方法は以下の3つのパターンに分かれています。
<第1のパターン>玉崎副センター長と専任看護師が地域の訪問看護ステーションの看護師らと一緒に家庭を訪問し、医療的ケアを指導します。
<第2のパターン>玉崎副センター長と専任看護師が保育園や学校、福祉事業所などを訪問し、教員や看護師に子どもの観察のポイントや緊急時の対応を指導します。
<第3のパターン>鳥取大学医学部附属病院で医師、看護師、社会福祉士が外来診療に立会い、診療の仕方などの指導を受けます。
いずれもトレーニング期間は6ヵ月を基本としています。

小児在宅支援センターの看板の前に立つ玉崎副センター長

小児在宅支援センターの看板の前に立つ玉崎副センター長

人材育成プログラムの初仕事は、生後5ヵ月の重症新生児のお宅への訪問でした。訪問看護、リハビリスタッフが訪問するのに合わせて、玉崎副センター長と専任看護師が同行し、発達の促し方や乳児との係わり方について指導しました。
玉崎副センター長は「トレーニングの期間は半年をメドにしていますが、ゴールは職種によって、あるいは子どもと支援者のニーズによっても異なります。当面は附属病院のある県西部をカバーする専門職を育成し、さらに県中部、東部にも広げていきたい」と話しています。センターでは、半年間のトレーニングを受けた専門職に、受講終了証を授与することを検討しています。

同センターでは6月4日(日)、鳥取県東伯郡北栄町六尾の「610キッチン」で「遊び」をテーマにするシンポジウムを開き、難病の子どもたちとの遊び方や、遊びを通した支援のあり方を討論します。


● 鳥取県 x 日本財団 共同プロジェクト ウェブサイト
● 小児在宅支援センター ウェブサイト







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