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2017年04月12日(Wed)
「漬もん屋 鉢瓶(はちがめ)」オープン
障害者就労支援事業、工賃向上が最大目標
伊万里で商家改修、カブトガニの方言店名に


障害者(児)とその家族が地域でごく普通に暮らせる社会づくりを目指している佐賀県伊万里市の特定非営利活動法人「にこにこくらぶ」は4月9日、古民家を改修した飲食店を市内の商店街に開設しました。 一般事業所での雇用契約が難しいとされる人たちに向けた店舗です。漬物をメインに地元の伝統食材を生かしたメニューと内容で独自性を発信。工賃向上を最大の目標に据え、地域活性化にも貢献することを目指しています。カブトガニを示す伊万里地方の方言「はちがめ」にちなみ、店名は「漬もん屋 鉢瓶(はちがめ)」と名付けました。今回の事業は日本財団が推進する障害者就労支援プロジェクト「はたらくNIPPON!計画」の一環です。

「漬もん屋 鉢瓶(はちがめ)」前で記念撮影

「漬もん屋 鉢瓶(はちがめ)」前で記念撮影


主催者あいさつをする、にこにこくらぶの田代一茂・理事長

主催者あいさつをする、にこにこくらぶの田代一茂・理事長

14日からの営業開始に先立ち9日は開所式を行いました。にこにこくらぶの田代一茂・理事長は主催者あいさつで、この事業の狙いは、仕事の拡充や質の向上によって障害者の自立を図り、社会参加を進めて「共に生きる社会」をつくっていくところにあると強調しました。日本財団の佐藤英夫・常務理事は来賓あいさつで、古歌にちなみ「かまどの煙は人々の生活の豊かさ、地域のにぎわいの象徴のように言われています。この店のかまどが、ここで働く皆さんの人生の豊かさに加え、地域がにぎわいを取り戻し、いっそうの発展をする象徴になるように」とエールを送り「日本全国でこうした店を展開していきたい」と述べました。

そろいのユニフォーム姿で出迎える当日スタッフの皆さん

そろいのユニフォーム姿で出迎える当日スタッフの皆さん

日本財団で障害者支援事業を中心的に担当している竹村利道チームリーダーは「往時の豊かな時代を示す懐かしい原風景が、地域の遺産として全国各地に残っている。そうした地域を障害のある人の力で活性化する、そんな展開をするべきではないかと、われわれは考えている。ぜひこの活動が全国に広がり、障害のある人がお荷物ではなく、地域の担い手になるような時代をつくっていきたい」と訴えました。

伊万里市の塚部芳和・市長は来賓あいさつで「どこの商店街も衰退化している中で新しい風が吹き始める、その取り組みがここのオープンではないかと考えている。伊万里市としても大変喜んでいる」と期待感を示しました。「伊萬里まちなか」の活性化に務めている特定非営利活動法人「まちづくり伊萬里」の早田文昭理事長は、鉢瓶に「伊萬里まちなか四番館」の名称を勝手に指定したとして、用意してきたプレートを田代理事長に手渡し「こちらの店が盛り上がっていけるよう、われわれも応援する。商店街と一緒にスクラムを組んでいこう」と呼び掛けました。

あいさつをする満野さん

あいさつをする満野さん

鉢瓶開設に奔走してきた、にこにこくらぶの満野厚美さんが最後に「まさか、こういう店が持てるとは思いもしなかった。障害の重い人が多いので、工賃アップは最初からの課題だった。1円でも、10円でも、100円でも上げたい、と考えていた。自分たちのやれることは漬け物しかない、と野菜の粕漬けをメインにやってきた。少しずつ販路が拡大していく中で今度は加工場の拡大が必要となった。そんな時に竹村さんと出会った」と日本財団からの助成を得ることにつながった経緯を説明しました。

受け付けをしていたスタッフにメニューを示してもらいました

受け付けをしていたスタッフにメニューを示してもらいました

その上で満野さんは「工賃アップに加え、この地域の活性化の一端を担えたら本当に素晴らしいと思う。今日が最後ではなく、今日がスタートだ。一生懸命頑張りたいと思う。2016(平成28)年度の月額平均工賃は何とか1万5,000円を超えた。これを17(同29)年度は3万5,000円、これは目標ではなく、絶対に実現する、と皆で話し合っている。これからも募集をかけて、こういう仕事をしたいという人を、できるだけ受け入れていきたい。いろいろと教えてもらうことばかりだが、商店街の皆さんの協力を得て、やっていけたらいいと思う」と話しました。

こんなメニュー内容です

こんなメニュー内容です

通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に、就労の機会を提供し、知識や能力の向上のために必要な訓練を行う「就労継続支援事業」のうち、雇用契約を結び利用するのが「A型」、雇用契約を結ばないで利用するのが「B型」です。「にこにこくらぶ」は06(平成18)年の設立以来、障害者の作業所運営や日中活動支援、障害者理解のための交流啓発活動、自主製品などの物品販売、特別支援学校・特別支援学級などの就業体験実習生受け入れ、よろず相談―など多様な事業を実施し、11(同23)年10月からB型事業に移行しました。

客席の間近に設置されたかまど

客席の間近に設置されたかまど

「漬もん屋 鉢瓶」はJR伊万里駅から徒歩10分ほどの商店街、仲町観音通り沿いの空き店舗を借り入れて改修した就労継続支援B型の店舗です。10人程度の障害者を受け入れる予定です。建物は伊万里が焼物の積み出し港として栄えたころの呉服店の名残で、推定築150年の土蔵造りかわらぶき2階建て、延べ床面積約165平方メートル。「アーケードを撤去し、白壁土蔵の昔の町並み残そう」と実施した06(同18)年の商店街改修工事に伴い、先に改修が施されてはいましたが、かつての梁(はり)や柱などはできる限り生かした上で今回、補強を加えました。追加や取り換えをした部分は、昔の色やイメージにはこだわらず、あえて今の「色」のままにして経年変化を待つことにしました。敷地面積は約261平方メートル。

ご飯が炊き上がりました。ふたを開けると白い湯気が立ち上がりました

ご飯が炊き上がりました。ふたを開けると白い湯気が立ち上がりました

試食会で出された「伊万里ランチ」です

試食会で出された「伊万里ランチ」です



店内には約30の客席を設け、伊万里の家庭に伝わる漬物を中心に、地元の特産品である伊万里牛、車エビ、塩クジラの粕漬け、魚介類のグリルをメインとしたランチメニュー4種と、地元日南郷のお茶と酒粕を使ったお菓子などを主力商品として提供。地元の農場や養鶏場、加工場から地域のこだわりの食材を取り寄せています。かまどで炊いたご飯も店の売りで、しかも、かまどはキッチンの奥にではなく、客席のすぐ近くに設置。まきを使い、ほかほかご飯が炊き上がる様子が客席から見られます。伊万里鍋島焼窯元・瀬兵窯の器で料理を提供、食を通して伊万里の文化を伝えます。

日本財団「はたらくNIPPON!計画」
福祉施設で働く障害者が得る月額工賃は全国平均1万5033円(就労継続支援B型、2015年度実績)。この工賃が3倍になることで、障害者年金を含めた月収により生活保護からの脱却が可能となります。日本財団は15年4月から「就労モデルの構築」と「人材育成」を2本柱として、障害者就労の環境改善を目指し「はたらくNIPPON!計画」プロジェクトを全国で展開しています。



● はたらくNIPPON!計画 ウェブサイト








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