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2017年02月23日(Thu)
地球深部探査船「ちきゅう」を知りつくす
学生・院生29人が乗船体験
1泊2日で見学、研究者と交流


「ちきゅう」をバックにセミナー参加者全員で記念撮影

「ちきゅう」をバックにセミナー参加者全員で記念撮影

将来、海洋開発に携わる意思のある大学生・院生を対象に、世界最高水準の地球深部探査船「ちきゅう」の乗船体験セミナーが2月18日から1泊2日で、静岡県清水港に停泊中の同船で行われました。海洋開発の人材育成を目指す「日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアム」が実施したもので、日本全国から29人が参加、講師らに鋭い質問を浴びせていました。

「ちきゅう」は、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が運用する日本最大の科学掘削船です。2005年に完成し、巨大地震のメカニズムや海底下に住む生命の存在などを明らかにしています。また、新たなエネルギー源として注目されているメタンハイドレートなどの資源調査にも携わっています。総排水量は5万6752トンで、全長210メートル、幅38メートル。船の上の掘削用やぐらの高さは船底から130メートルあります。その掘削能力を活かし、海面から最高7キロの深さまで掘削できるようになりました。

今回のセミナーは、海洋開発に関心のある学生・院生に最高水準の掘削能力を持つ「ちきゅう」を見学してもらうと共に、掘削を支える技術を第一線の講師の講義により学んでもらおうというもの。定員は20人でしたが、それを大幅に上回る応募があったため、女性3人を含む29人に増やしました。大学も、北は北海道から南は九州まで計14大学に及んでいます。

日本財団の吉田室長の挨拶を聞く参加者

日本財団の吉田室長の挨拶を聞く参加者

ビデオを使って説明する田代広報部長

ビデオを使って説明する田代広報部長

参加者は18日朝、清水駅前に集合し、バスで「ちきゅう」が着岸している興津第2埠頭に移動、JAMSTECの田代省三広報部長らの出迎えを受けました。一行はビデオシネマルームに入り、まず日本財団の吉田正則海洋開発人材育成室長が「海洋開発に関心のある学生に全国から多数参加していただいた。参加者同士でネットワークをつくってもらえるとありがたい」と挨拶しました。続いて田代広報部長からJAMSTECについての説明を受けました。田代部長は「JAMSTECはJAXA(宇宙航空研究開発機構)と同じ国の組織なのに、JAXAの方が有名なのが悩みの種」と語り、笑いを誘っていました。

この後、一行は食堂で昼食を取りました。食堂はバイキング方式で、学生たちは皿一杯に肉類や野菜類を取り、思い思いの席でうまそうに食べていました。おいしい料理におしゃべりも弾み、学生同士で自己紹介しあう風景がみられました。

食堂で食べ物に舌鼓を打ちながら談笑する参加者

食堂で食べ物に舌鼓を打ちながら談笑する参加者



午後はラボカンファレンスルームで、2日間のセミナーのプログラム、オーシャンイノベーションコンソーシアムの説明に続いて、JAMSTECの倉本真一地球深部探査センター長から「ちきゅう」の概要について説明を受けました。オペレーションは通常、乗員、研究者ら約180人で運用していて、このうち約30人は外国人です。乗員は2シフトの24時間体制で作業をしており、食事は1日4回提供されます。

「ちきゅう」が他の掘削船と比べて画期的なのは、より深く掘削するため、「ライザー掘削システム」を搭載したことです。このシステムは、海底下を掘削するドリルパイプの周りをもう1つのパイプで覆い、そこに泥水を循環させているのです。これによって地層の圧力で掘削孔の壁が崩れるのを防ぎ、より深くまで掘削できるからです。倉本センター長は「今後深さ10キロまで掘り進み、地球上初めてマントルまで突き進みたい」と意欲を示しました。マントルは地殻の下にあり、地球の87%を占めているとされています。

ドリラーズハウスで熱心に説明を聞く参加者

ドリラーズハウスで熱心に説明を聞く参加者

この後、参加者はオーバーオールに着替え、ヘルメットをかぶって船内見学を行いました。地球深部探査センター員の案内で、泥水に圧力を加えて海底に移送するマッドポンプ、掘削機器の遠隔操作を行うドリラーズハウス、ドリルフロアでパイプ類を移送するハイドララッカーなどを見て回り、掘削システムを学びました。とくに、掘削の司令塔といわれるドリラーズハウスでは、ドリラーが刻一刻と変化するセンサー類を確認しながら、掘削をコントロールする様子を垣間見ることができました。

夕食後、参加者が6グループに分かれて「ちきゅう」に関する知識をクイズ形式で当てる「サイエンスカフェ」が開かれ、学生と研究者の間で活発な議論が行われました。

機関室を見学する参加者

機関室を見学する参加者

2日目の19日には、「ちきゅう」の技術に関する講義と船内見学が2回行われ、掘削機器を海面に下ろす場所「ムーン・プール」や機関室、船橋などを見て回りました。また、見学の後、「ちきゅう」の避難訓練に参加、岸壁に下りて整列し、点呼を受けました。

最後に、2日間のセミナーのまとめを行い、参加者全員が感想を述べました。学生たちは「これまで様々な船を見てきましたが、今回は初めて見る施設が多く、感激しました」「掘削の最前線で見学した経験を将来に生かしていきたい」などと語っていました。


● 日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアム ウェブサイト






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