CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る

前の記事 «  トップページ  » 次の記事
2017年02月15日(Wed)
子どもたちが当たり前に地域で暮らせる社会を目指す
関西のNPO法人などが連携
特別イノベーター優秀賞受賞


インタビュー後、記念撮影に応じる高亜希代表理事(右)と河内崇典代表理事

インタビュー後、記念撮影に応じる高亜希代表理事(右)と河内崇典代表理事

関西のNPO法人などが連携して「子どもたちが当たり前に地域で暮らせる社会」を目指す団体「Collective for Children」(略称・CFC、昨年末、一般社団法人に格上げ)を立ち上げ、昨年9月の「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム」で特別ソーシャルイノベーター優秀賞に選ばれました。4月の活動開始を目指し、急ピッチで準備を進めている団体幹部らに話を聞きました。

2月上旬、大阪市北区にある高層ビルの貸室に、若者たちが三々五々集まってきました。関西で起業家やNPO法人などの活動をしている人たちで、CFCの説明を聞き、子どもの貧困問題で連携できるかどうかを話し合うためでした。最初に挨拶に立った河内崇典代表理事(40)は「我々のプロジェクトが日本財団から特別ソーシャルイノベーター優秀賞を受けたので、関西の皆さんと一緒に連携してやっていきたい」と協力を呼びかけました。

高亜希代表理事(37)が行ったCFCの概要説明によると、子どもの貧困を放置すると日本の社会的損失は約40兆円にのぼるといわれ、河内代表理事と話して「何とかしたいよね」と意気投合。昨年9月に行われた日本財団ソーシャルイノベーションフォーラムに応募して優秀賞を受賞しました。これを受けて解決策について議論を積み重ねた結果、0歳から20歳まで切れ目のない子どものセーフティネットをつくることで意見がまとまりました。だが、自分たちの団体だけでは無理なので、関西の各団体に呼びかけ、今の枠組みを越えてやっていこうと決めたのです。

CFCの概要を説明する高代表理事

CFCの概要を説明する高代表理事

高代表理事は「どこから支援をスタートさせるか、今行政側と議論を進めている。当面、関西地区の自治体を選び、200人〜300人程度の小学校区を対象にしようと考えている」と述べました。高代表理事は1年目の目標として、20年後に成果の出る仕組みとパッケージづくりの研究を挙げ、「何が課題なのか、子どもの支援に入ることで分析・研究していきたい。また、行政とどうすればうまくいくかも研究したい」と語りました。

各団体がやりたいことなどを書いたメモを披露する枡谷礼(あや)路(じ)理事

各団体がやりたいことなどを書いたメモを披露する枡谷礼(あや)路(じ)理事(右端)

この日、説明会に集まった団体は、合計14団体。代表理事を出している「み・らいず」(障害・医療的ケア・就労)、「ノーベル」(保育・病児保育・母親相談支援)のほか、「ブレーンヒューマニティー」(学校教育・不登校)、「チャンス・フォー・チルドレン」(教育バウチャー)、「あっとすくーる」(学習支援)、「生涯学習サポート姫路」(学習支援)、「D×P」(通信制・定時制高校向け支援)、「淡路プラッツ」(子ども・若者支援)、「ファザーリング・ジャパン関西」(父親の子育て啓発)など。団体ごとに代表が事業内容を説明し、協力できる事業を列挙しました。また、CFCでやりたいことや、期待することを明らかにしました。

この後、河内代表理事と高代表理事に、フォーラムに応募したきっかけや今後のCFCの見通しなどについてインタビューしました。

― フォーラムに応募したきっかけは何ですか。

(河内さん)関西には社会起業家同士のコミュニティ「エッジ」があり、私が代表をしています。日本財団の方からソーシャルイノベーター募集の紹介があり、子どもの貧困問題で支援が壁にぶつかっているため、NPO法人が単体でなく、ネットワークで連携する形で応募しました。

(高さん)河内さんから応募の話を聞いたときは、話し合うというより、即座に「応募しよう」ということになりました。

(河内さん)「ちゃんと(賞を)取りたいね」ということで意見が一致しました。そのため「1団体では日本財団の求めているものは生み出せない。我々が申し込むことで他のNPOとも一緒にやれるだろう」と考え、共同で応募しました。


― 子どもの貧困問題については前々から考えていましたか。

(河内さん)我々の事業は障害者支援が中心ですが、発達障害の子どもの支援をしていて、子どもの貧困を目の当たりにしていた。各NPOの話を聞いていて、根本的な課題には貧困があるのではないかと考えていました。

(高さん)私たちも働く女性をサポートする病児保育をやっていて、家庭に入ってみると、食べ物が貧しく、服装も汚く、不衛生の部分があったりして、貧困問題を解決しないと何も変わらないのではないか、と思うようになりました。


― 大阪府では高校中退者が全国トップで、定時制高校には過去に虐待を受け、不登校になったりする子どもが多いといわれていますが。

(河内さん)我々の「み・らいず」も貧困問題と取り組んでいる。各団体が色々な問題と取り組んでいるので、まず情報を共有しようとワークショップを開いて課題を共有しようとしている最中です。


― 行政との連携が大事と言われますが、なかなか難しいのではないですか。

(高さん)本当にこれからです。自治体とも協議していますが、現場の人たちと実際に連携できるかどうかがカギなので、一緒にやれるポイントを探しています。この1年で信頼関係を築いて提携しようと考えています。

質問に答える河内代表理事(右)と高代表理事

質問に答える河内代表理事(右)と高代表理事



― NPOなどの団体との連携はどうですか。

(河内さん)関西は阪神淡路大震災以降、社会起業家のコミュニティ「エッジ」の中で育っているが、フィールドが違うと、お互いにどんな支援をしているか分からないことが多い。今日初めてNPOなどの団体とワークショップを開いたところ、14団体も集まってくれたので、私たちも驚いている。今回の課題に対する関心が高いからで、これまでは音頭とりがいなかったのだと思う。


― NPOは横の連携が難しいともいわれていますが。

(高さん)私もNPOを立ち上げたころは「私が変える」と思ってやってきたが、なかなか難しいことが分かってきた。連携してやっていくフェイズに入ったのかなと思う。

(河内さん)最初はNPOセンターなど仲介する組織があったが、課題がセンシティブになったので、グリップしにくくなった。連携がなかったのは、音頭とりがいなかったからだろうと思う。今回我々が連携の話を持ち込むと「何で組むのか」と驚かれた。共同して新たなサービスを生み出せればいいなと思っています。


― 特別イノベーターに選ばれた3組の中では出遅れている感がありますが。

(河内さん)他の2組はすでに活動しているが、我々はこれを機にタグを組んだ。元々あるリソースを生かすということと、行政や地元との調整に時間がかかる面がある。

(高さん)優秀賞をいただいてからだいぶ議論も深まった。行政との対話を定期的に持てるようになったことも大きい。本当にこれからかなと思うが、進んでいる感はある。


― 20年計画で息の長いプロジェクトになりそうですが、成功する自信はありますか。

(高さん)議論すれば、理解がどんどん深まっていくことを感じている。NPOから色々な気付きを教えてもらい、それらをパッケージに組み込んでいけば、サイクルが見えてくる感じがする。


CFCは、NPO法人の横の連携をベースに社会課題を解決しようという画期的なプロジェクトです。それだけに難しい面もあるが、河内・高両代表理事の明るい性格と経験に基づく調整力で目標達成に向かって進んでいけると期待されています。


● 日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2016 ウェブサイト
● Collective for Children ウェブサイト






 上位20作品をWebに公表  « トップページ  »  先生が「海」を学ぶユニークな旅