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2017年01月05日(Thu)
海洋開発人材の育成に向け長崎でセミナー
漁業と再生可能エネルギーの共生学ぶ
日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアム


海洋開発の人材育成に向け昨年10月、産官学で設立された「日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアム」の現場体験セミナーが昨年12月17〜19の3日間、長崎県の長崎、五島両市で開催されました。コンソーシアムでは2020年度の海洋開発人材育成システムの構築に向け、今年も海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」の見学を兼ねた体験セミナーや企業若手技術者の海外研修などを実施する方針です。

「はえんかぜ」を洋上から見学

「はえんかぜ」を洋上から見学


コンソーシアムには現在、企業12社、大学14校、公的研究機関4機関が参加しており、事実上、初の現場体験セミナーとなる今回は、東京大学や横浜国立大、早稲田大学など8大学から海洋開発分野での活躍を目指す大学生4人と大学院生8人が参加しました。

ROVの組み立て実習も

ROVの組み立て実習も



3日間にわたる体験セミナーは水産業や船舶に関する講義、遠隔操作水中ロボット(ROV)キットの組み立て・操縦体験から、日本初の水素燃料電池船「長吉丸」への体験試乗、刺し網魚の漁業体験まで密度の濃い内容。長崎県が先進的に取り組む洋上風力発電など海洋エネルギー開発を学ぶのが狙いで、環境省が五島市・崎山沖で進める浮体式洋上風車「はえんかぜ」の見学が研修のメーンとなりました。

五島の朝日に将来の夢を託す

五島の朝日に将来の夢を託す

「はえんかぜ」は世界初のハイブリッドスパー構造を採用し、細長い円筒形状で全長172メートル。96メートルが海上に浮き、風車の直径は80メートル。一行は3日目に海上タクシーで現場に移動し、間近に見る「はえんかぜ」の大きさに皆が驚いた様子。参加した学生からは「風車の実際のスケールや、想像より騒音が少ないのを実感できてよかった」といった感動の声が出ました。海中にある下部70数メートルの周りには藻がつき魚が集まっているといわれ、東京大学大学院1年の丸山瞭さんはセミナー終了後の体験記に「(風車は)海面から深いところまで軸が伸びており、その周りに藻がつくことによって魚が集まる漁礁になっているのは非常に興味深いと思います」と記しています。

民泊の思い出を記念の写真に

民泊の思い出を記念の写真に

「はえんかぜ」の最大のテーマは環境との共生。初日も「環境保全型の水産業」(征矢野清・長崎大教授)などの講義が並び、五島ふくえ漁業協同組合の熊川長吉組合長は「五島の漁業と再生可能エネルギー」と題した講話で、「はえんかぜ」が完成するまでの経過や漁業と再生可能エネルギーの共存、島の活性化などについて語りました。

ROVに関しては、2日目に長崎総合科学大学の准教授2人の指導を受け、組み立てや調整を実習、3日目には崎山港で、海中作業や工事で実際に使われるROVの操縦を体験。水中工事の第一人者として知られる渋谷潜水工業の渋谷正信社長が指導に当たり、講義の中で海の自然生態系との調和、漁業との協調の重要性を改めて指摘しました。

「長吉丸」の体験試乗も静かで乗り心地の良さが人気に。九州大学大学院1年の中川将孝さんは「今後、バッテリー技術が進歩すると、騒音に敏感な魚(マグロ等)を対象とした漁船に応用できるのではないか」と専門的な意見を体験談に寄せました。

このほか2日目は民泊施設に移り地元漁師らと交流。翌日早朝には刺し網漁も体験。12月には珍しく海は凪ぎの状態で、「漁業は初体験。船の揺れ、網上げ、海の潮を浴びることさえ楽しかった」などの感想も。獲れたばかりのカワハギやタイ、伊勢エビ、イカ、ナマコなどで朝食を楽しみました。

早朝の刺し網魚 豊富な魚が獲れた

朝の刺し網魚 豊富な魚が獲れた

セミナー全体に関する感想も「現場を知ることができた意味は非常に大きい」、「工学的な知識だけでなく、たくさんのことが学べた」、「自分の研究に生かしていくだけでなく、まわりの人にも伝えたい」と前向きの評価が高く、このようなコンソーシアムの活動に今後も参加したいですか、との問いには全員が「はい」と答えています。

履修証明書を手に記念撮影

履修証明書を手に記念撮影



終了式には参加学生一人ひとりに日本財団海洋開発人材育成推進室の吉田正則室長から履修証明書が手渡されました。「ちきゅう」の見学を兼ねた体験セミナーは2月にも静岡県・清水港で実施される予定です。


● 日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアム ウェブサイト
● 参加した学生の体験談(日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアム ウェブサイト内)






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