2013年10月08日(Tue)
あっ旋法の不在はおかしい 特別養子縁組研究会 初会合開く
特別養子縁組の普及に向け発足した「社会的養護と特別養子縁組研究会」の第1回会合が10月4日、東京・赤坂の日本財団ビルで開かれた。望まない妊娠で赤ちゃんを殺害したり遺棄するケースが相次ぐ中、特別養子縁組を広く定着させるための方策を探るのが狙い。事務局を務める日本財団の笹川陽平会長は「研究会で今後の方向性を見出していただき10年、20年機能するような組織づくりを進めたい」と意欲を語った。
初会合が開かれた社会的養護と特別養子縁組研究会 |
メンバーは委員長の高橋由紀子帝京大法学部教授ら学識経験者や養子縁組に取り組む民間団体代表、メディア関係者ら計9人。この日は民間団体関係者や一部、代理出席も含め20人を超す国会議員もオブザーバーとして出席し関心の高さを示した。
挨拶する笹川会長 会合では高橋教授が「日本の特別養子縁組の課題とドイツの制度について」報告。この中で高橋教授は、日本には養子法はあるが養子縁組あっ旋法がなく、あっ旋に関する統一的な基準や方法も確立されていない。国が養子縁組を児童福祉と位置付け、児童相談所と民間あっせん機関の関係や費用負担の在り方などを整備していく必要がある、と指摘した。 その上で養子縁組あっ旋を児童福祉(少年援助)のひとつとして国・州の義務的任務を定めているドイツの制度を紹介。(1)全国に500を超す公的あっ旋機関のほか70の民間斡旋団体もあり、2011年には1690件の他人養子が実現している(2)出生後8週間以内の実親の同意を無効。いったん同意すれば親権は停止し撤回は認められない(3)今年8月には秘密出産法が制定され、妊娠女性は少なくとも16年間、匿名性が保障されているーなど、この国の制度の特徴を説明した。 このほか他の委員や出席者からは「赤ちゃんには愛着の対象として特定の保護者が必要。日本の行政にはこの視点が欠けている」、「日本は特別養子を国の対策とするのか、しないのか、まずその点を明確にすべきだ」、「日本の児童相談所は職員が約2年で異動する。これでは十分な取り組みができない」といった意見も出された。(宮崎正) |
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