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2016年11月07日(Mon)
小児在宅ケアの専門人材を育成
鳥取大医学部に支援センター開設
自宅訪問し子供や家族の地域生活支援


鳥取大学医学部附属病院(鳥取県米子市)にこのほど小児在宅支援センターが開設されました。鳥取県と日本財団が進める日本一のボランティア先進県プロジェクトのひとつ「難病の子どもと家族の地域生活支援」の一環で、難病や小児がんの子どもの在宅ケアを支援する医師や看護師、介護士などを育成するのが狙い。当面、5年間で最低18人の専門職を育て米子市を中心にした鳥取県西部地区で患者や家族の支援を行う予定で、地域の拠点病院がこうした人材育成に取り組むのは全国的にも珍しいケースとなります。

センター開所式でテープカットをする関係者

センター開所式でテープカットをする関係者


難病の子どもは現在、国内で20万人を超すと推計され、小児医療の向上で以前なら難しかった命が救われるようになった反面、退院後の在宅ケアをどのように支え、看護を担う家族の精神的、身体的負担をどう減らしていくかが大きな課題となっています。

センターは附属病院の第2中央診療所2階に設けられ、在宅ケアの技能を持った医師や看護師ら4人でスタート。在宅ケアに関心を持つ地域の小児科医や訪問看護師らに同行して難病の子どもの家庭や特別支援学校などを訪問、実務を通じたトレーニング(OJT)によって訪問診療や訪問看護の実務を身に付けてもらうほか、鳥取大学医学部の医学生や看護学生も授業の一環として参加させ人材育成の輪を広げる考えです。

挨拶する笹川会長

挨拶する笹川会長=左=と平井知事

平井知事


11月2日にはセンターで開所式が行われ、平井伸治知事、笹川陽平日本財団会長、北野博也鳥取大学理事、清水英治病院長、県政顧問の山田憲典不二家代表取締役会長、前垣義弘支援センター長の6人でテープカットを行いました。

北野鳥取大理事

北野鳥取大理事=左=と前垣センター長

前垣センター長


これに先立ち笹川会長は「難病の子どもと家族が孤立しない、支え合いの社会を創る」をスローガンにした日本財団の取り組みを紹介した後、「難病児を抱える家族の負担は想像を絶する。センターでは直接家庭に出向き、子どもや家族をサポートする人材を育てていただきたい。さまざまな試行錯誤があろうが、素晴らしい成果を挙げ、全国に広めていただきたい」と挨拶。

平井知事も「事業は尊い命をどう守るか難しい課題。医師会、看護師会など関係者と協力して取り組み、医療と福祉を融合させた新たなサービスのモデルを作りたい」と語り、北野理事も「難病の子どもと家族が孤立しないよう地域で支える人材育成、小児在宅ケアシステムの確立に向け、地域の中核医療機関として引き続き努力したい」と述べました。

小児在宅支援センターの新しい看板も掛けられた

新しい看板も掛けられた

前垣センター長によると、鳥取大学医学部に入院歴があり、現在、通院治療を受けている難病の子どもは約40人に上っており、こうした家庭の協力を受ける一方、訪問治療を志す医師や看護師の希望を募り、来春には研修実務をスタートさせたいとしています。

訪問診療は高齢の患者を対象に行われていますが、小児を対象にした訪問診療は担い手が少ないこともあって全国的にも遅れているのが実態です。センターでは当面、目標とする18人で県西部地区をカバーする一方、在宅ケアを必要とする難病児は鳥取県内で500人を超えており、今回の試みを通じて県中部、東部にも訪問診療を広げたい、としています。


● 鳥取県 x 日本財団 共同プロジェクト ウェブサイト






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