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2016年10月03日(Mon)
「東京パラリンピック」の成功 国民の「盛り上がり」が全て
(リベラルタイム 2016年11月号掲載)
日本財団 理事長 尾形 武寿


Liberal.png9月7日に開幕したリオデジャネイロ・パラリンピックの開会式を見学した。オリンピック、パラリンピックの開会式、閉会式を観戦するのは初めて。テレビとは違う圧倒的な臨場感と熱気に圧倒された。

会場となったマラカナン競技場の収容能力は8万人。「入場券の売れ行き低調」といった事前報道とは逆に、競技場は通路まで観客で埋まり場外にも人が溢れた。
 8年前の北京五輪で見られたような大掛かりな出し物やアトラクションはなかったが、競技場に流れる強烈なサンバのリズムと一体となった観客の熱気が開会式を極限まで盛り上げた。

 159の国・地域から参加した4,300人の選手団も、リズムに合わせて踊り、歓声を上げながら行進。選手と観客がひとつに溶け込んだような会場の雰囲気に、スタンドにいた筆者も、気付いた時にはリズムに合わせ体を揺らしていた。

 観客の歓声が最高潮に達したのは4人のアスリートによる競技場内の聖火リレー。二番目に受け取った女性アスリートは右手で杖をつき、左手で聖火をかざして歩き始めたが、20メートルほど進んだところでよろけて転倒。結局、介助関係者が助けに入り次のアスリートに聖火を引き継いだ。この間、総立ちになった観客が競技場いっぱいにこだまする大声援を送り、開会式は最高潮に達した。

 リオ五輪、パラリンピックは最後まで資金難が報じられた。大会終了後、他に転用するということだろうか、オリンピックパークの施設には、鉄パイプを組んだだけの壁面や通路も目立ち、選手村など関連施設の使い勝手の悪さも報道された。

ジカ熱騒動や治安の悪さに加え、ジルマ・ルセフ前大統領が弾劾で罷免され、昇格したミシェル・テメル新大統領に対しても辞職を求めるデモが相次ぐなど政情も安定を欠いた。それでもリオ五輪・パラリンピックは「成功」と言っていいと思う。反対デモがあったにせよ、何よりも必要な国民の盛り上がり、予想以上の熱狂があったからだ。

それでは4年後の東京五輪・パラリンピックはどうなるか。メーン会場となる新国立競技場のデザイン変更、エンブレムの白紙撤回騒動など混乱が続き、小池百合子・新東京都知事は膨張する五輪予算を検証する方針を打ち出している。

それでも東京五輪、パラリンピックは最終的に問題なく行われると思う。こうした国家的イベントを緻密な計画の下に粛々と行うのは日本の“お家芸”だからだ。開会式の帰途、“日本通”のタクシー運転手と話すと「日本は技術の国。何もかも一部の隙もなく完璧にオーガナイズするでしょう」と笑った。

日本にはかつて社会全体が弱者を励まし共に生きる文化があった。戦後70年以上を経て地域社会が崩壊する中、残すべき多くの伝統が急速に失われている。

日本財団は東京・赤坂の財団ビルに「パラリンピックサポートセンター」を設け、各競技団体の支援を中心に東京パラリンピックの成功に貢献したいと考えている。 

パラリンピックでは、様々な原因で障害を持った人たちが極限の力を発揮し、誰もがその力強い姿から勇気をもらう。パラリンピックの成功は、誰もが参加できる共生社会、インクルーシブな社会の実現につながると考えるからだ。

そのためにも東京五輪・パラリンピックを是非、成功させたい。国民が一体となった盛り上がりこそ、その決め手となる。サポートセンター職員らと感動的なリオの開会式を視察して、そんな思いを新たにした。







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