• もっと見る

前の記事 «  トップページ  » 次の記事
2016年09月13日(Tue)
知的障害児のためのサーフィンスクール開催
波乗り初体験、海に触れ合い楽しく過ごす
神奈川・茅ヶ崎海岸、「海プロ」の一環


知的障害児のためのサーフィンスクールが9月10日、神奈川県の茅ヶ崎海岸で開かれました。知的・発達障害のある子どもとその家族が関東各県から参加。子どもたち全員がサーフィンを初めて体験し、海に触れ合いながら楽しい時間を過ごしました。このスクールは日本財団が推進している「海と日本プロジェクト」の一環です。

全員で記念撮影

全員で記念撮影



主催したのはNPO法人「Ocean’s Love」(同県茅ヶ崎市)。サーフィンを通じ知的障害のある子どもたちの可能性を広げ、健常者との交流を図ることを目的とした団体です。知的障害児や一般市民にサーフィンに関わる指導を行いながら、知的障害児と一般市民が一緒になってサーフィンを楽しむ場をつくり、知的障害についての啓発活動や情報提供にかかわる事業などを通じて、子どもの心身の健全な育成、スポーツの振興、自由で平等な地域社会の実現に貢献することを目指しています。併せてサーフィンの活動前後には、参加者全員による海岸のゴミ拾い活動も実施しています。

Ocean’s Love理事長の鈴木薫さんによると、活動はこの夏で12年目に入りました。茅ヶ崎でのスクール開催は今回が今年4回目。このほか今年は北海道と愛知、島根、宮崎3県で開催し、間もなく和歌山県でも開くそうです。今回のスクールには地元神奈川県のほか、群馬、千葉、埼玉各県から、知的障害や発達障害のある子ども14人とその兄弟姉妹8人、親御さん23人の計14家族と、多数のボランティア、スタッフを含め、総勢約170人が参加しました。

家族が到着する前に、スタッフとボランティア全員による、打ち合わせと安全確認が行われました。Ocean’s Loveの設立者でプロサーファー/モデル/ヨガスペシャリストのアンジェラ磨起バーノンさんは次のように呼び掛けました。

「今日は『愛』をテーマに選びました。誰かを愛する時に相手を理解しようと思う、その一歩が愛への道に近づくと思います。今日1日、障害児と触れ合う中で、障害者に対する理解度を深めてください。今日来られる子どもたちの中には、言葉でコミュニケーションができない子もいます。その子たちには皆さんの表情、皆さんの心が持つエネルギーやメッセージが、子どもたちとのコミュニケーションのツールになります。それを使ってコミュニケーションを取り、ぜひ皆さんが子どもたちのお兄さん、お姉さん、お父さん、お母さんになって、子どもたちと1日、楽しい時間を過ごしてください。皆さんがお父さん、お母さんになる代わりに、親御さんたちは一歩離れたところで自分の子どもの表情や成長などを見て、ほかの親御さんたちとのコミュニケ―ションを取る時間をつくっていただけたら幸いだと思っています」

到着した子どもたちは早速、ウエットスーツに着替え、サーフィンスクールが始まりました。子どもたちの自己紹介、全員の準備体操に続いて、スクール生1人に対し、おそろいのTシャツを着たボランティア5〜6人が1チームとなり、まず砂の上に置いたサーフボートを使って子どもたちにサーフィンのイロハを教えました。小川直久さんらプロサーファー2人による波乗りの披露もありました。

まずは砂の上で

まずは砂の上で

いよいよ海へ

いよいよ海へ

早く波が来ないかな(1)

早く波が来ないかな(1)

早く波が来ないかな(2)

早く波が来ないかな(2)



波乗りの実技を披露するプロサーファー小川直久さん

波乗りの実技を披露するプロサーファー小川直久さん

小川さんによると、この日の波はプロにとっては物足りないものの、初心者にとっては波が穏やかで水温も温かく「絶好の初心者日和」に恵まれたそうです。朝方は薄日の差す天気でしたが、時間がたつにつれて強い残暑に見舞われ、スタッフは水分補給への呼び掛けを盛んに行っていました。

この後、子どもたちは実際に海に入り、波乗り体験が始まりました。ボードから何度も落ちながらボランティアの声掛けや励ましを受けて繰り返し挑戦を続け、そのうちに「やった」とばかりに、ボランティアとハイタッチする光景が、あちこちで見られるようになりました。

ごみ拾いをした後は昼食。ハンバーグ弁当に加えて、希望者にはバーベキュー料理のフランクフルトやトウモロコシも添えられ、子どもたちを囲み、チームごとにいただきました。この後は、フォトフレームに貝殻装飾をする「思い出づくりの時間」。子どもたちは思い思いに、用意された貝殻を施着剤でフォトフレームに貼り付け、自分の作品を作り上げていました。最後に参加者全員が集まって記念撮影をした後、アンジェラさん、鈴木さんらが子どもたちにお土産をプレゼントし、子どもたちと家族は、スタッフ、ボランティアとの別れを惜しみながら帰っていきました。

みんなで昼食をいただきました

みんなで昼食をいただきました

フォトフレームに小さな貝殻を飾り付けました。子どもたちの思いでづくりです

フォトフレームに小さな貝殻を飾り付けました。子どもたちの思いでづくりです



全てのプログラムを終了した後、アンジェラさんが、知的障害児のためのサーフィンスクールを始めたいきさつや今後の目標について話してくれました。

「きっかけはやっぱり障害者の兄の存在でした。兄と一緒に日本の社会の中で生活をしていく中で、まだまだ障害者に対して理解やサポートが少ないなというのを感じ、その中で自分が大人になったら何か障害者の方々のためにできることはないかなと思っていた時に出会ったのがサーファーズヒーリングというアメリカ本土の、自閉症の子どもたちにサーフィンを教える団体です。その団
アンジェラ磨起バーノンさん

Ocean’s Love の設立経緯や今後の願いなどについて話すアンジェラ磨起バーノンさん

体がハワイに来た時に、当時ハワイで暮らしていた私はたまたまボランティアとして参加しました。その時子どもたちの表情の変化や海が持つヒーリング(癒し)のエネルギーが、大きく子どもたちに影響を与えるものだと感じ、本当にきらきら輝く子どもたちの笑顔を海の中で、海の上で見たときに、やっぱり自分が、プロサーファーとして、そして一人の人間としてするべきことは、これをハワイでなく、もっともっと障害者に対しての理解やサポートを増やしてもらいたいと思っている日本でスタートするのが私の人としての役目だと思い、スクールを始めました」

「Ocean’s Loveを12年前に始めた茅ヶ崎の海だけではなく、日本全国の海から陸へノーマライゼーション(障害者や高齢者がほかの人々と等しく生きる社会や福祉環境の整備、実現を目指す考え方)を発信し、障害児や障害者の方々が、海へ行きたいなと思ったら行くことができる海の環境づくり、サーフィンをしたいなと思ったら、そういう新しいことにチャレンジすることに対しての理解力があるコミュニティーづくり、をしたいと思っています」

「ですから、できるだけ開催地を増やしていきたいと思っています。同時にスタッフが足りないので、できればこういう活動に興味を持っていただき、知っていただき、じゃ僕らも、私たちも、同じようなことができる、波がないところでも、海に触れることだけでも、できるなと思ってくださる方々がどんどん増えていき、障害者に対して優しい海であって、その海から町へノーマライゼーションが発信され、都会の中でも、町の中でも、障害者の方々が何か困っていたら、あっ大丈夫ですか、とヘルプの手を差し伸べられるような人が増えていく社会になっていただくことが、私たちのこれからの願いです」


● 海と日本PROJECT ウェブサイト
● Ocean’s Love ウェブサイト












 4人に1人、「自殺を考えたことがある」  « トップページ  »  誰もが自分らしく暮らし続けるために