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2016年07月26日(Tue)
消防艇誕生、進水式を間近から
夏休み子どもたちが思い出づくり
造船所見学、今年も全国で一斉実施


この地球で一番大きな工業製品の「船」を見に行こう−と子どもたちや家族を招いた進水式見学祭が7月21日、東京都江東区潮見2丁目の墨田川造船(株)で開かれました。7月上旬から8月中旬にかけて全国の造船所や舶用事業所で、地域に在住する小中学生を対象にして一斉開催される見学会の一つです。夏休みの自由研究や思い出づくりに、と招待された子どもたちは家族や友だちと一緒に、誕生した消防艇が初めて海に浮かぶ様子を間近から見たり、船をつくる材料に触れたりロープワークを体験したりしながら、用意された各種のイベントを存分に楽しんでいました。

進水した消防艇「ありあけ」

進水した消防艇「ありあけ」



この夏に全国で一斉開催される造船所・舶用事業所見学会は、日本財団、総合海洋政策本部、国土交通省が先頭に立って推し進めている「海と日本PROJECT」の一環です。昨年「海の日」20周年記念イベントとして開催したこの見学会を、今年も7月18日の「海の日」を挟み、さらに規模を拡大して集中的に実施することになりました。大型船や船に搭載する巨大なエンジン、配電盤を造っている現場、船の誕生を祝う式典・進水式、などを実際に見学することを通じて、船舶や物づくりに対する小中学生の好奇心を喚起し、海や船、地元産業の大切さを理解する機会を提供することを目的としています。

進水前の神事を見詰める子どもたちや家族、関係者

進水前の神事を見詰める子どもたちや家族、関係者



一連の見学会は日本中小小型造船工業会が主催し、日本造船工業会、日本舶用工業会の協力を得て、北海道から沖縄まで全国約50カ所で開催。模擬店や餅まき、ミニ遊園地など、さまざまに趣向を凝らした工場祭的な催しを行う造船所もあり、全国で計約5000人の参加を見込んでいます。墨田川造船の進水式見学祭には、江東区立枝川小学校の児童とその家族が招かれ、あいにくの雨模様の天気にもかかわらず200人を超す親子連れでにぎわいました。

進水直前の「ありあけ」

進水直前の「ありあけ」



さぁ進水

さぁ進水



この日、進水式を迎えたのは東京消防庁が発注した消防艇「ありあけ」。全長22.20メートル、全幅5.95メートル、深さ2.20メートル。最大速力16ノット(約30キロメートル)以上、最大搭載人数21人。関係者が参列して神事が執り行われた後、大勢の人たちが見詰める中「ありあけ」は船台から静かに滑り降ろされ、海に浮かんでいきました。最終的に完成して就航するまでには、さらに各種の工事が行われます。

ロープワーク、もやい結びに挑戦

ロープワーク、もやい結びに挑戦


造船所の敷地には子どもたちのために盛りだくさんのイベントが用意されました。
「ありあけ」の塗り絵、上手に描いていました

「ありあけ」の塗り絵、上手に描いていました


ヨーヨーすくいは大人気

ヨーヨーすくいは大人気

工作コーナーでは消防艇のペーパークラフトが配布され、「ありあけ」の塗り絵に夢中になっている子もいました。ロープワークを覚えようのコーナーでは、海での救助の時に活用できる、もやい結びに男の子が挑戦していました。造船素材に触れるコーナーでは、船を造るアルミなどの材料に触れ、映像・展示コーナーでは船のプロペラの模型が展示され、船造りの様子を映像で学ぶこともできました。東京消防庁の消防車も参加、子どもたちは助手席に乗せてもらい大満足。ヨーヨーすくいやカキ氷・ジュースの無料サービスは、ことのほか子どもたちを喜ばせていました。参加した中学2年の男子生徒は「進水式は初めて見ました。船台からあっという間に滑り降りていったので、ちょっとあっけなかったけど、夏休みのいい思い出になりました」と話していました。

墨田川造船の石渡博会長によると、造船に対する関心から、地方から東京に就学旅行で来た中学生が班行動で見学に訪れたり、中高校生が遠足で訪れたり、通学路にある児童が「いいですか」と見学に寄ったりするケースもあり、同社は地元の都立墨田工業高校生を今年は3人、一昨年は1人採用したそうです。


● 海と日本PROJECT ウェブサイト















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