2016年06月13日(Mon)
女性に特化した支援活動
熊本地震で女性に必須の物資配布
「ガール・パワー」に支援金決定 熊本地震で被災地の支援活動を展開しているNPO法人のなかに、女性に特化した支援活動を行っているユニークな団体があります。その名もズバリ、「一般社団法人日本女子力推進事業団(東京都新宿区、略称ガール・パワー)」で、大半が働く女性の集団です。震災後、すでに4回現地を訪問し、ハンドクリーム、ふき取りシート、ブラトップなど、女性に欠かせない物資を届け、被災地の女性から感謝されています。日本財団が同事業団に支援金100万円を支給することを決めたのを契機に、池内ひろ美代表理事ら幹部3人に話を聞きました。 ![]() 「ガール・パワー」の団旗を掲げる池内代表理事=右=と西川礼華専務理事 |
![]() 西川専務理事と話し合う池内代表理事=右 日本女子力推進事業団が設立されたのは13年9月。3人は女性をテーマに別々に社会貢献活動をしていましたが、東日本大震災の支援先でたまたま知り合い、「一緒に活動しよう」と決めました。話し合っているうちに、「21世紀の最大の社会的課題は女性」ということで意見が一致、女性問題に取り組んでいくことになったそうです。 発起人にはジャスト・ギビング・ジャパン代表理事の佐藤大吾氏、安倍首相夫人の昭恵さんらが名前を連ねていて、昭恵さんは現在も顧問をしています。これまでに、インドの少女の衛生教育、日本の女子高生、女子大生のキャリア教育、女性企業家育成などのプロジェクトに取り組んでいます。 ![]() 支援物資を車に積み込むNPOメンバー(「ガール・パワー」提供) 熊本への第1陣は池内代表理事ら6人で4月27日、現地入りしました。東京から福岡までは飛行機で行き、福岡でレンタカーを借りて、持参する物資を買い込み、熊本に向かいました。現地に数日間滞在し、避難所や病院を回って物資を配布しました。 ![]() 訪問先の施設で職員たちと記念写真(「ガール・パワー」提供) 池内代表理事らによると、避難所などに支援物資を運び込んでも、男性が被災者への配布を担当すると、女性の方が気を使って必要な品物を要求できないことが少なくないといいます。東日本大震災の時に実際にあったのは、仕切り役の男性が女性に生理用品を1日分として1個ずつ配布しましたが、女性からすれば1日1個では足りないので、もっと欲しいと思っても言えなかったということです。池内代表理事は「男性には女性への気配りができない人が多い。避難所の仕切り役は男性と決め付けず、女性もできるようにするなどの配慮が必要だ」と話していました。 また、池内代表理事は1995年の阪神淡路大震災の際、大阪府交野市の自宅で被災し、一時避難所に入りました。その時、支援者から届けられた下着類の中に、シミがついた古い下着が入っていたため、惨めな気持ちになったそうです。「その時はとても口に出して言える雰囲気ではありませんでした。でも、物資を送る人はもらう人の気持ちも考えてやって欲しいですね」と話していました。 ![]() 小田急百貨店新宿店で5月に開かれた熊本フェアに参加した池内代表理事=左(「ガール・パワー」提供) また、女性が必要としている支援ニーズについて被災者からヒアリングを行い、何が必要か、何が足りないかをまとめ、白書的なものを作成する計画です。 池内代表理事は「企業の支援でも、女性の視点が抜けているところが少なくありません。被災地で女性の下着のニーズが多いことを知らない下着メーカーがありました。支援とニーズのギャップが大きいことを具体的に指摘していきたい」と話していました。 ● 一般社団法人日本女子力推進事業団 ウェブサイト ● 熊本地震支援プロジェクトページ(日本財団 ウェブサイト) |