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2016年05月16日(Mon)
約2000人が長期の避難生活
避難者の83%、退去予定立たず
益城町での避難者の本格調査


熊本地震で避難生活をしている世帯の83%は退去の予定がなく、約2000人の被災者が仮設住宅などが整備されるまで避難生活を余儀なくされるほか、12%は現在もエコノミークラス症候群が懸念される車中泊をしている。震度7を2回観測するなど震災で甚大な被害が出た熊本県益城町の避難者を対象にした日本財団の調査で16日、こんな結果がまとまりました。
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被災者が暮らす避難所=4月26日、益城町総合体育館

 
調査では避難世帯の43%に上る家屋全壊世帯のうち85%が家屋の撤去など片づけが手付かずとなっているほか、震災前に就労していた人の4人に1人(24・3%)が地震発生後、職を失い非就労の状態にあるーなどの結果も出ており、日本財団では健康状態や就労に関する個別相談・支援メニューの提示、倒壊家屋の撤去見通しの早期提示などを益城町に提言、財団として可能な支援を検討する考えを伝えました。

避難所退去予定について

図1:避難所退去予定について


益城町は人口約3万4000人。熊本地震では20人の死者が出たほか、1026棟が全壊し約3400人が避難生活を送っています。調査は日本財団の委託を受けた一般財団法人ダイバーシティ研究所が5月5日から4日間、益城町に設けられた9ヶ所の避難所に避難している225世帯647人に対する聞き取り調査と、避難者の多い7ヶ所の避難者約3000人を対象にした環境アセスメント調査を中心に実施しました。

就労状況

図2:就労状況


聞き取り調査では、「足腰が悪くトイレに行けない」、「食料配給に並べない」といった身体障害者や要介護者が30人確認されたほか、就寝場所に関しては69%が避難所、12%は車中泊、16%は昼間、避難所にいるものの夜は自宅で寝る、などと答えている。車中泊はエコノミー症候群など震災関連死の危険性が指摘されているが、余震に対する恐怖や幼児やペットがいる、といった理由で避難所での就寝を避ける被災者が多いようです。

就労状況に関しては364人が回答を寄せ、震災前は過半の52%が就労していたが、震災でうち24・3%が職を失い、現在も就労中は39%まで減っています。家屋の被害状況は全壊37%、大規模半壊16%、半壊12%、一部損壊24%。全壊家屋の撤去が完了、ほぼ完了したのはわずかに6%。避難所からの退去に関しては回答を寄せた166世帯のうち83%が先の見通しのないまま「予定なし」と回答、57%は一時的住居の提供を求めており、仮設住宅などの早急な整備の必要性を裏付けています。

図3:就寝場所について

図3:就寝場所について


このほか食事に関しては20%が「必要十分を満たしていない」と答え、「野菜が食べたい」、「糖尿病に配慮した食事がほしい」などと答え、避難所のアセスメント調査では、調査対象となった7ヶ所の避難所とも、共用スペースや女性用・男性用の個室はなく、居住スペースの間仕切りや食事スペースを区分けしている避難所も各1ヶ所にとどまり、長引く避難生活を支える上で、新たな対応の必要性を示しています。

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大きな被害が出た益城町



調査結果を受け日本財団では、要援護者を中心に多様なニーズに対応できるよう、施設や設備、備品の整備の必要性など改善点を益城町に提言、今後日本財団としてどのような支援ができるか、益城町の意見も踏まえ検討することにしています。



● 熊本地震支援プロジェクトページ(日本財団 ウェブサイト)






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