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2016年05月06日(Fri)
非常用トイレが活躍!
熊本地震の緊急対策支援第1弾
日本財団、避難所に500台配備


非常用トイレの使い方を説明する職員

非常用トイレの使い方を説明する職員

熊本地震は大分県に波及したり、本震・余震が続いたりで、被災者の避難所生活が長引いています。このため、高齢者や乳幼児など社会的弱者への配慮がますます必要になっています。日本財団は4月19日の緊急支援策の記者会見で、援護が必要な人たちに対するニーズを調査するとともに、避難所で不足している非常用トイレ500台の配備を発表しました。すでに現地では避難所への非常用トイレの配備が始まっていて、被災者に好評だということです。

日本財団が配備している非常用トイレは、「ラップポン」と呼ばれ、日本セイフティー株式会社(本社・東京)が2002年に独自開発した自動ラップ式のポータブルトイレです。通常のポータブルトイレに多いバケツがなく、バケツ洗浄の手間が省けるのが特徴です。使用後、熱圧着で個包装するため、匂いを閉じ込めます。しかも、排泄物に直接触れることがないので、衛生的です。さらに、水を使わないので水道代がかかりません。

ラップポンには、大きく分けると日常的な介護で使用する「ラップポン・エブリ」と、災害時に対応する「ラップポン・キュート」の2種類があります。日常的介護用は木製のイス型で、AC電源(コンセント)のみで稼動します。個包装に使うフィルムは単層で、防臭効果は2、3日です。本体の定価は1台9万2000円。

災害用のラップポンは、5層の特殊フィルムを使用するため、防臭効果は約1カ月続くそうです。緊急時に対応できるよう、バッテリーも使えるAC/DC併用の電源となっています。本体はアルミ製と木製の2種類があり、本体の価格は16万円からです。本体にバッテリーや専用個室、さらにフィルムカセットなどの消耗品も付けると、一式約30万円になります。同社によると、05年に発売して以来、災害用は1万台以上、日常介護用は3000台以上販売されているそうです。ともに介護保険が適用されます。

避難所に配備している災害用のアルミ製ラップポン
避難所に配備している災害用のアルミ製ラップポン


使用法は、まず専用フィルムをセットし、凝固剤を入れて用を足します。使用後、手元スイッチの作動ボタンを押します。約2分後、状態ランプが緑点灯に変わり、ピッピッピッという音がしたら処理終了です。それからトレーを引き出し、ラップされた排泄ゴミを指定のゴミ箱に捨てます。

日本財団では、4月下旬から熊本県内の避難所に非常用トイレの配備に着手、5月5日までに240台を配備しました。市町村別の主な内訳は、益城町が66台、熊本市が25台、嘉島町が32台などとなっています。また、日本セイフティー社も現地に社員15人を派遣、配備されたラップポンの使用法などの説明に当たっています。

益城町の広安小学校の避難所には、4月末までに3台が配備され、お年寄りや子供たちなど、屋外の仮設トイレを使えない人を中心に使用されています。同避難所の医師の話では、非常用トイレが設置されてから、おばあちゃんに笑顔が戻り、肌もつやつやしてきたと、その効果を指摘していました。



● 熊本地震支援プロジェクトページ(日本財団 ウェブサイト)
● 日本セイフティー株式会社 ウェブサイト






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