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2016年04月27日(Wed)
パラリンピック競技特集(18)自転車
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リオ大会の出場枠が男子3人、女子2人に!

走路にシベリア松を使用した、長さ250メートルのバンクを猛スピードで走り抜ける―。我が国の自転車競技のメッカ、伊豆ベロドローム(静岡県伊豆市)で4月16、17の両日、全日本自転車競技選手権大会トラック・レース、日本パラサイクリング選手権・トラック大会が開かれました。2020年の東京五輪同様、東京パラリンピックもこの会場で競技が行われることに決まり、世界標準仕様のドーム型競技場はいつになく盛り上がっていました。

個人パーシュートで優勝の川本、2位の相園、3位の小林の各選手
個人パーシュート重度の部で優勝の川本(中央)、2位の相園(左)、3位の小林(右)の各選手

この大会は国内のトップクラスの選手が一同に集まり、年に一度、トラック・レースの種目別の日本一を決める大会です。初日に行われた開会式には、健常者と障害者の総計約200人が参加し、佐久間重光副会長の挨拶に続いて選手代表が宣誓を行いました。走路を見下ろす観客席にも、応援団や支援者が多数陣取り、選手に声援を送っていました。

タイムトライアルでスタートする相園選手
タイムトライアルでスタートする相園選手

パラリンピックの自転車競技は、身体障害者や脳性マヒ、視覚障害者が行う競技で、障害の種類や程度によってクラスが分かれています。トラック競技には四肢障害の選手が一般の自転車で参加、視覚障害の選手は健常者とコンビで乗るタンデム自転車を使います。競技種目には、タイムを競う「タイムトライアル」、ホーム・ストレッチとバック・ストレッチからスタートした2選手が対戦相手を追い抜く「個人パーシュート」などがあります。

視覚障害の選手が後ろに、健常者の選手が前に座るタンデム自転車競技
視覚障害の選手が後ろに、健常者の選手が前に座るタンデム自転車競技

自転車競技は、男女ともタイムトライアル、個人パーシュートの順で行われました。まず身体障害の500メートルタイムトライアル、続いて1000メートルの視覚障害者によるタンデム自転車、さらに身体障害者による1000mタイムトライアルの順にスタートしました。ただ、今回は男子の第一人者、藤田征樹選手が義足の調整のため欠場し、本来の勝負は回避された形になりました。

500メートル・タイムトライアルのレースには、藤井美穂選手が1人だけ参加、日本新記録を出して優勝しました。1キロメートル・タイムトライアルのタンデムでは、女子の鹿沼由里恵選手(視覚障害)と田中まい選手(健常者)のコンビが大会新で優勝、男子の大城竜之選手(視覚障害)と照井拓成選手(健常者)のコンビが2位に。身体障害の部では、石井雅史選手が優勝、2位に川本翔大選手、3位に相園健太郎選手が入りました。川本選手は障害のクラス分けで日本新を更新しました。

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タンデムで優勝の鹿沼・田中組(右)、2位の大城・照井組が表彰台に

後半の個人パーシュートでは、重度の身体障害の部で川本選手が日本新で優勝、2位に相園選手、3位に小林泰理選手が入りました。2,3位とも大会新を記録しました。軽度の身体障害の部では、石井選手が大会新で優勝、2位に阿部学宏選手、3位には小池岳太選手が入りました。また、視覚障害の部では鹿沼・田中組が大会新で優勝しました。

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個人パーシュート軽度の部優勝の石井(中央)、2位の阿部(左)、3位の小池の各選手

パラリンピックの出場選手数は、国際パラリンピック委員会が選手の獲得ポイントを国ごとに合算し、その多寡に応じて国単位で配分されます。すでに同委員会から日本側に対し、男子3人、女子2人の出場枠が伝達されています。これまでは女子の有力選手がいなかったため女子枠がゼロだったので、全体では一気に2人増えたことになります。日本パラサイクリング連盟は、選手個人がこれまでに得たポイントとこの日のレース結果を踏まえ、4月中にリオ大会の出場選手を決定する予定です。

日本パラサイクリング連盟権丈泰巳理事長同連盟の権丈泰巳理事長(43)=強化委員長兼務=は、今大会の結果について「大会で日本新記録や大会新記録がいくつも出た。本番でモチベーションをあげてタイムを出せたので、いい大会だった」と評価していました。リオ大会に向けて抱負を聞くと、「これまでパラリンピックに出場した選手は全員が入賞している。リオ大会でも、その伝統を引き継いでいきたい」と語りました。

さらに、東京大会の目標を聞いたところ、「選手たちに強調しているのは、世界の中の自分の順位を意識して何をやらないといけないかを考えなければいけないということです。この意識を高めて練習しないと、東京大会では良い成績は取れない」と気を引き締めていました。

石井雅史選手男子のベテランは石井雅史選手(43)。元々競輪選手として活躍していましたが、2001年に自転車で練習中、車にはねられて大ケガをしました。とくに頭部を強打し、足と手に障害が残ったため、障害者スポーツに転向しました。
個人パーシュートで優勝した際のインタビューでは「大事な大会と思って練習してきました。障害者でもこういう走りができるのだということをたくさんの人の前で示したかった」と、喜びをかみ締めていました。

川本翔大選手男子のホープは、急成長中の川本翔大選手(19)。生後2カ月で左足切断を余儀なくされましたが、高校を卒業するまでは障害者による野球に熱中していました。高卒後、生まれ故郷の広島県の会社に入社しましたが、自転車競技をやるよう勧められ昨年10月、大和産業に転職しました。会社ではアスリート雇用となり、今は自転車競技の練習に明け暮れているそうです。

自転車を始めてから半年後の今大会に初出場、1キロメートル・タイムトライアル、個人パーシュートともクラス別の日本新を出し、一躍脚光を浴びました。川本選手に今の心境を聞くと、「自転車に向いているといわれ、始めたが、自分でもこんなに早く良いタイムが出るとは思わなかった」と驚いた様子。急成長の理由を聞くと、「分かりません。私は小さい時からスポーツが好きで、最初は友達とサッカーをやっていました」と話していました。

将来の目標を聞くと、「東京大会で金メダルを取りたい」と、早くも東京大会を見据えていました。この大会で日本新記録が出たため、連盟では川本選手のリオ大会出場も検討しているそうです。

鹿沼由里恵選手女子の期待の星は、タンデム自転車の鹿沼由里恵選手(34)。先天性の弱視で、最初はクロスカントリースキーの選手でした。10年のバンクーバー大会に出場し、4種目で入賞しました。その後、練習中に左肩のじん帯を痛め、自転車競技に転向しました。現役競輪選手の田中選手とコンビを組み、14年のロード世界選手権のタイムトライアルで金メダルを獲得、リオ大会でもメダルが期待されています。

リオ大会の目標を聞くと、「4年間、準備してきたことを忘れずに、メダルを目指してがんばりたい。ここまでやれたのも、田中さんとコンビを組むことができたからです」と話していました。

藤井美穂選手女子のホープは、藤井美穂選手(21)。先天的に右足切断を余儀なくされ、車いす生活を続けています。1年前、関係者に誘われて自転車競技を始め、大会では500メートル・タイムトライアルで日本新記録を更新しました。「自己ベストを出せたので、うれしい。これからも新記録を出し続けたい」と語りました。

リオ大会の女子出場枠が一気に2人に増えたことを告げると、「もちろんリオ大会に出たいが、まだ足りないところがありすぎるので、少しずつ改善していきたい」と抱負を述べました。


競技紹介自転車
手足切断などの身体障害、視覚障害、脳性マヒの選手が参加する。トラック競技には、タイムトライアル、個人パーシュート(個人追い抜き)、スプリントの3種目、ロードで行われるものにはタイムトライアルとロードレースの2種目がある。使用する自転車は、切断や軽度の脳性マヒの選手が使う一般的な自転車、視覚障害の選手が「パイロット」と一緒に乗るタンデム自転車(2人乗り)、体幹のバランスが悪い選手用の3輪自転車がある。

● 日本パラサイクリング連盟 ウェブサイト
● 日本財団パラリンピックサポートセンター ウェブサイト 






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