2016年04月07日(Thu)
久住高原の新鮮野菜を福祉に生かす
生産 ‐ 加工 ‐ 商品提供と就労場所確保
大分の社会福祉法人「博愛会」 知的障がい者の雇用拡大を目指す社会福祉法人「博愛会」(大分市野田、釘宮卓司理事長)をこのほど訪ねました。同会の幅広い活動の中から、久住高原の野菜を「生産‐加工‐商品提供」とうまく循環させて、障がいのある人たちの就労場所の確保や、給料や作業分のお金の保障、働くために必要なトレーニングの提供、などに結び付けている活動の一端を、博愛会事務局長・釘宮謙悟さんに聞きましたので紹介します。 ![]() カフェシャリテで人気の久住高原サラダ(写真:博愛会提供) |
健康レストラン久住屋のサラダバイキング 博愛会は1950(昭和25)年設立で、2016(平成28)年4月1日現在、大分県内に障がい者支援施設8施設と養護老人ホームを運営しています。日本財団はこれまでも同会に対して助成をしてきましたが、今回は施設の中の「福祉農場コロニー久住」(大分県竹田市久住町)の居住棟の改善に支援をしました。 福祉農場コロニー久住外観(写真:博愛会提供) コロニー久住は、久住高原の雄大な自然環境の中で、1975(昭和50)年に開設した福祉農場です。開設時から知的障がい者授産施設として農畜産や・農産加工に力を入れ、生活支援や生活介護支援などにも積極的に取り組んできました。機能訓練や余暇活動の充実を図るため外部講師の指導で、音楽、レクリエーション、卓球、和太鼓、絵画、パソコンなどの創作活動も展開。食事会、買い物、誕生会など各種行事への参加は、利用者の楽しみの一つになっています。 コロニー久住では日中、豊後牛の繁殖・肥育、採卵用の養鶏などのほか、トマト栽培や水耕野菜の周年栽培、レタスなどの軽石土耕栽培、さらに水田班は5ヘクタールで米を、漬物加工班は高菜、梅干し、ラッキョウ漬け、福神漬け、はりはり漬け、などを作って働いています。 同施設の鉄筋2階建ての居住棟はこれまで、高齢者や足の不自由な利用者は1階の居室を使っていました。しかし建築後40年が経過するとともに利用者の高齢化・重度化が進み、1階の居室だけでは足りず2階も使用せざるを得なくなりました。食堂や風呂場、利用者の団らんの場となる喫茶室や大画面で見るシアタールームなどはすべて1階にあるため、高齢者や歩行困難な利用者が安全で快適な施設生活を送ることができるよう、日本財団の支援を受けて、新たにエレベーターを設置することにしました。 ![]() コロニー久住の完成したエレベーター(写真:博愛会提供) 博愛会の活動は、長年の積み重ねで多岐にわたっています。ここではコロニー久住で作った高原野菜が、障がいのある人たちの雇用や労働を生むのに、一役も二役も買っている実情を同会の特色として紹介します。 博愛会は1998(平成18)年4月、本部のある大分市野田に日本財団の補助を受けて「お弁当のキッチン花亭」を開設し、ここに2012(同24)年5月、カット野菜工場を併設しました。13(同25)年4月には、大分駅近くに指定障害福祉サービス事業所「博愛会地域総合支援センター」(大分市金池南)を開設、この1階に翌月、「健康レストラン久住屋」を、さらに15年(同27)年4月には、大分県立美術館OPAM(大分市寿町)内に「五感」で楽しむミュージアムカフェ「café Charité」(カフェシャリテ)」を、それぞれオープンさせました。 キッチン花亭の野菜カット工場(写真:博愛会提供) 健康レストラン久住屋と博愛会地域総合支援センターの外観 博愛会の活動を説明してくれた事務局長の その上で釘宮さんは「自社農園から直送した野菜の新鮮さと安心感からか、今やその大きなサラダが、双方の店の名物になっています。カフェシャリテで使っているドレッシングもコロニー久住で作っています」と教えてくれました。 現在、法人全体で84人いる「就労継続支援A型」の雇用を100人にするという大きな目標を立てて、頑張っている最中だそうです。 |