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2016年03月23日(Wed)
パラリンピック競技特集(16)水泳
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リオ大会の内定、16人から19人に

プール際まで車いすで来る選手。飛込みができないため、プールに入ってスタートする選手。コーチからタッピングバー(合図棒)でゴールの接近を教えてもらう選手。障害によって異なりますが、周囲の人の支えで泳ぎ切り、喜び合う光景が目に付きました。静岡県富士市の県立水泳場で3月6日行われたリオ大会の競泳代表選考会は、選手たちと応援団が一体となり、蒸し暑いほどの熱気に包まれていました。

女子50メートル自由形を終え、5回目のパラリンピック内定を喜ぶ成田選手
女子50メートル自由形を終え、5回目のパラリンピック内定を喜ぶ成田選手

この選考会は、日本身体障がい者水泳連盟日本知的障害者水泳連盟の共催で行われました。いつもは春季水泳記録会として実施されていますが、今回はリオ大会日本代表の推薦選手選考会を兼ねていました。ドーム型の水泳場には、50メートルコースが9つあり、選手がゴールすると、直ちに電光掲示板に結果が表示される仕組みになっています。観客席は総ヒノキ造りで、約2,700人を収容できる大きさです。

男子自由形のレースで一斉にスタートする選手たち
男子自由形のレースで一斉にスタートする選手たち

今回の選考会では、水泳連盟の「派遣標準記録」を突破した選手に、そのまま代表推薦(内定)を出す一発選考方式が初めて実施されました。派遣標準記録を突破しなかった選手については、選考委員会で選考規定に基づき、推薦するかどうかを審議します。国際パラリンピック委員会は国ごとに推薦枠を決めており、今回の日本の推薦枠は男子12人、女子7人の計19人です。前回のロンドン大会では16人だったので、リオ大会では3人増えることになります。

選考会で選手が日本記録を更新、または派遣標準記録を突破すると、音楽とともに電光掲示板に「おめでとう!」の文字が表示されました。プール脇では、レースが終わるごとにメディアによる有力選手インタビューが行われていました。

選考会の結果、男子5人、女子1人が派遣標準記録を突破、日本代表に推薦されました。そのほか、選考委員会の審査で男子7人、女子6人が推薦選手に決まりました。今後、日本パラリンピック委員会の審査を経て日本代表が正式決定します。

日本代表に推薦された主な選手のインタビューをお伝えします。トップバッターは女子で唯一人、派遣標準記録を突破して推薦された成田真由美選手(45)です。過去4回連続してパラリンピックに出場し、金メダル計15個を獲得、北京大会後にいったん引退した「レジェンド(伝説)」のカムバックです。

成田選手は女子50メートル自由形で優勝した瞬間、プールサイドでこぶしを突き上げ、喜びを表しました。この後のインタビューでは「派遣標準記録を突破できてうれしい。これから東京パラリンピックを広めていきたい」と語り、満面の笑顔を見せました。リオ大会の目標を聞かれると「北京大会でメダルを取れず悔しい思いをした。今は新しい気持ちで戦いたい。東京大会が決まり、もう一回泳いで子どもたちに伝えたいと思ったのが復帰のきっかけです」と話しました。

成田真由美選手続けて成田選手は「私が勝ったということは、若い世代がまだ育っていない証拠ともいえるので、今後若者の発掘をしていきたい」と、抱負を語っていました。

成田選手は川崎市出身。中学生の時、横断性脊髄炎のため下半身がマヒし、車いす生活に。1996年のアトランタ大会から4大会連続で出場して金メダルを次々獲得、「水の女王」と呼ばれていました。現在、東京大会組織委員会の理事を務めています。

木村敬一選手男子では、昨年の世界選手権で優勝した木村敬一選手(25)が選考会でもバタフライ、平泳ぎ、自由形(いずれも100メートル)の3種目で派遣標準記録を突破、日本代表に推薦されました。

インタビューで木村選手は「十分な準備をすることができ、結果を出せました。今までよりもエネルギーが発散できた感じです」と喜びの声を上げました。リオ大会の目標を聞かれると「メダルを取りたい」と、表彰台への意欲を示していました。

木村選手は滋賀県出身。2歳の時に病気のため失明しましたが、母親に勧められ、小学4年生から水泳を始めました。小学校卒業後、上京して筑波大学付属視覚特別支援学校に入学、水泳部で頭角を現しました。北京、ロンドン大会と連続出場し、ロンドン大会では100メートル平泳ぎで銀メダル、100メートルバタフライで銅メダルを獲得しました。現在、東京ガスに勤務。

過去3大会に出場してメダルを5個獲得している鈴木孝幸選手(29)も50メートル平泳ぎ、150メートル個人メドレーで派遣標準記録を突破し、日本代表に推薦されました。

鈴木孝幸選手鈴木選手はインタビューに答えて「1月から英国でリオ大会に向けて練習してきました。(派遣標準記録を突破した)2種目ともよくできたと思う。プレッシャーはとくにありません」と語りました。今後については「これから英国に戻り、しっかり練習します」と話していました。

静岡県浜松市出身。先天性の四肢欠損で、右腕のひじから先、両足の一部がありません。6歳から水泳を始め、17歳でアテネ大会に出場、150メートル個人メドレーで銀メダルを獲得しました。北京大会では50メートル平泳ぎで金メダル、150メートル個人メドレーで銅メダルを獲得しました。ロンドン大会では、50メートル平泳ぎ、150メートル個人メドレーとも銅メダルでした。早大卒業後、株式会社ゴールドウインに勤務。

100メートル平泳ぎに出場した中村智太郎選手(29)も派遣標準記録を突破、リオ大会への切符を事実上、手に入れました。

中村智太郎選手インタビューで中村選手は「今年は持久力をつけることを重点にやってきたので、バテずに泳げた。これからは、もっと泳ぎを工夫しながらやっていきたい」と話していました。

兵庫県出身で、生まれつき両腕がありません。両親は一人で何でもできるよう、厳しく育てたということです。5歳の時、溺れないように、という親の勧めで水泳を始めました。高校生の時、シドニー大会をテレビで見て感動し、アテネ大会に出て銅メダルを獲得しました。北京大会ではメダルに届きませんでしたが、ロンドン大会で銀メダルを獲得、リベンジを果たしました。現在、HISAKAに勤務。

日本の競泳アスリートたちは今秋のリオ・オリンピックに向けて、次々に記録を塗り替えています。パラリンピックに出場する選手たちも今回の出場内定を受け、練習にいっそう磨きをかけ、本番で活躍してくれることでしょう。



競技紹介水泳
水泳は一般の競技規則に準じて行われるが、障害の種類や程度によって規則の一部が変更されている。たとえば、下肢に障害があり、飛込みが困難な選手は水中からのスタートが認められている。また、視覚障害の選手の場合、ゴールやタッチの際、壁にぶつからないよう、コーチがタッピングバーを使って選手の体に触れて知らせることが許されている。

● 日本身体障がい者水泳連盟 ウェブサイト
● 日本知的障害者水泳連盟 ウェブサイト
● 日本財団パラリンピックサポートセンター ウェブサイト 






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