2016年03月04日(Fri)
手話言語法の制定に向けて
1788の地方議会が意見書採択
わずか2年半で100%達成 手話を日本語と同様の言語と認める「手話言語法(仮称)」の制定を求める意見書が3月3日、全国1788の地方議会で最後まで残されていた栃木県芳賀町議会で、全会一致で採択されました。2013年6月、石川県白山市で初めて採択されてからわずか2年半での100%達成。法制定に取り組む「全日本ろうあ連盟」(石野富志三郎理事長)や日本財団では、国に対し手話言語法制定の働き掛けを強める方針です。 会見で握手する尾形理事長=左=と石野理事長 |
1788議会の内訳は都道府県議会が47、市町村議会が1718、東京都の区議会が23。全日本ろうあ連盟では「手話言語法制定推進運動本部」を設け、各議会に意見書の採択を求める全国運動を展開していました。ろうあ連盟は、意見書の内容に多少の違いはあるものの、法制定により手話を日本語と同じ公的言語と認め、広く使用できる環境整備を求める点で一致している、としています。 100%採択の意義を語る石野理事長 100%達成を受け3日、石野理事長、日本財団の尾形武寿理事長らが東京・赤坂の日本財団ビルで会見し、石野理事長は「政府がなかなか動かないという現実がある」とした上で、「100%達成はゴールではない。今後、議会で採択された力、民意をもって、さらに政府への働きかけを強めたい」と決意を述べました。 また尾形理事長は「ひとつの案件で、すべての地方議会がこうした意見書を採択するのは、初めてではないか。これに勝る力はない」と指摘、その上で「できることなら2018年ぐらいまでには法を制定し、東京五輪・パラリンピックが行われる2020年までに環境整備を進めてほしい」と述べ、全国で初めて手話言語条例を制定した鳥取県の平井伸治知事も「これを機に全国にウエーブを広げて行きたい」と、お祝いのメッセージを寄せました。 尾形理事長は早期の法制定に向け発言した 手話は既に世界約30カ国が憲法や法律などで公的言語と認めており、昨年末には韓国でも手話言語法が制定されています。また国内の33県市町が手話言語条例を制定、27自治体が制定準備を進めるなど、手話を公的言語と認める動きは大きな広がりを見せています。 会見に臨んだ関係者 手話は2006年に国連総会で採択された障害者権利条約でも正式に「言語」と規定され、わが国も2011年に改正された障害者基本法に「言語(手話を含む)」と記され、初めて法的に認知しました。しかし、これにより手話言語法は不要とする考えもあり、全日本ろうあ連盟では、公用言語として広く使用する環境整備を進めるためにも個別法が欠かせない、として手話言語法の制定を求めています。 ● 全日本ろうあ連盟 ウェブサイト |