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2012年05月14日(Mon)
千葉大の新設講座で意義と契機
(SANKEI EXPRESS【ボランティア被災地通信】2012年5月14日掲載)

「行動できなかった」学生の背中押す

日本財団学生ボランティアセンター
外海 陽子


 「前々からボランティアに参加してみたいと思っていたが、思うだけで行動してこなかった。そんな中、この授業のことを知り、被災地へ行けるということで受講しようと思った」

 「東日本大震災後に何かをしたかったけど、受験生ということで募金くらいしかできなかった。大学生になったらもっと違う活動もしてみたかった」
 千葉大学西千葉キャンパスの教室には、約50人の学生が集まった。学部は教育学部や文学部、さらには工学部、理学部、園芸学部、医学部など多岐にわたり、学年も1年生から4年生までと多様だ。彼らは、この4月に開講した「学生ボランティア実践論−基礎編」(千葉大学普遍教育センター提供科目・Gakuvo寄附講座)のオリエンテーションに参加した学生たちだ。

 この講座では、講義でボランティアの心構えや社会的な意味を学び、それを土台に実践活動として被災地でボランティア活動を行う。冒頭の言葉は、オリエンテーションに参加した学生たちの受講動機だ。

教育プログラムとして
 日本では、1995年の阪神・淡路大震災を機にボランティアに対する社会的認知が浸透し、「ボランティア元年」と呼ばれるようになった。しかし、大学が学生のボランティア活動を積極的に後押しすることはなかった。それから10年以上たった今、大学を取り巻く環境や大学の社会貢献に対する意識が変わり、学生のボランティア活動を大学の教育プログラムとして認めようとする動きが広がり始めている。その多くは、ボランティアに参加したことが認められれば単位を付与するというものであるが、さらにボランティアに参加しやすい環境を作ろうと、個性的なカリキュラムを提供する大学も出てきた。

 千葉大学の講座は、学生のボランティア活動に対して、単に単位を付与するのではなく、ボランティア活動をしっかりと教育プログラムの中に組み入れているところが特徴だ。

 「ボランティア活動は、学生の人間的成長を意図した教育活動として意義を持つ」。講義を担当する白川優治助教はそう話す。その上で「ボランティア活動は最終的には、学生による自主的な運営となることが望ましい」と指摘する。

 前期に行われる基礎編では、学校側が準備した活動に参加するが、後期の応用編ではボランティアのコーディネートや運営は学生が主体的に行うことになる。いわば二本立てで組まれていて、大学の担う役割は、学習の場の提供によるきっかけ作りである。

「恩返しをしたい」と参加
 ボランティアや社会貢献に対する興味を持ちつつも、そこから一歩踏み出し、実際の行動に移すことができない学生は多い。そういった学生にとって、大学がボランティア活動のきっかけを提供してくれることは、その一歩を踏み出す大きな契機になっている。

 全国から学生が集まる千葉大学には、東北出身の学生もいる。受講生の中には、石巻市出身の学生もいた。彼は受講票に「震災を乗り越えて今、こうして千葉大学に入学できたのは、震災時に支援をしてくれた、たくさんのボランティアの皆さんのおかげだと思っています。震災から大学受験までの1年間、自分を支えてくれた人たちに恩返しをしたいという思いから参加した」と記している。

大切な仲間を得る
「自分を支えてくれた人たちへの恩返し」

 それを自分一人ではなく、大学で出会った仲間とともに実践する。バックボーンの違う人間が集まり活動するのだから、ときには互いにぶつかり合うこともあるだろう。しかし、日常生活では得られない一つ一つの経験が人間性を豊かにするだけでなく、かけがえのない大切な仲間を得る端緒にもなる。千葉大学西千葉キャンパスの一教室から今、そんな物語が始まろうとしている。



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